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組み込みエンジニアへの転身指南

第16回 組み込みエンジニアに求められる語学力

淺井麻里(パソナキャリア)
2008/09/25

「したいことをするため」「条件のいい仕事に就くため」など、人はさまざまな理由で転職する。組み込み業界も例外ではない。同業界を舞台にした転職活動の喜怒哀楽を、キャリアコンサルタントがこっそり教える。

 「英語は得意ですか」と聞かれて、胸を張って「はい」と答えることはできますか?

 組み込みエンジニアに求められる要件として、「語学力」はよく挙げられるポイントです。今回は、組み込みエンジニアのキャリアにおける語学力の重要性と、実際の転職市場での評価について考察します。

組み込みソフト開発でも進む国際化

@IT自分戦略研究所カンファレンス
上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催
日時:2008年9月27日(土)
11:00〜18:00(受付開始 10:30〜)
場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B
詳しくは開催概要をご覧ください。

 製造業においては東南アジアをはじめ、海外へ生産拠点を移転することが珍しくなくなってきました。

 組み込みソフトの開発においては、オフショア開発を含め、ソフトウェアの開発拠点を海外に移転させることは、これまで積極的に行われてきませんでした。「国内から海外に仕様を伝える際のコミュニケーションがうまくいかない」「機種特有の部分を意識してプログラミングする必要があるため、新たな開発者を育てることが難しい」「ハードウェアとソフトウェアの連携が重要だが、試作機の作成は日本で行うため、ソフトウェアの開発拠点を海外にすると非効率」などがその理由です。

 しかし、組み込みエンジニアの不足が懸念される昨今、状況は変化しています。組み込みソフトの開発においても(長期的な視点を含めて)海外の労働力に頼らざるを得ない、と考える企業が増えています。そのため、組み込みソフトの開発拠点を海外に置くメーカーが増えつつあります。

 結果として、組み込みエンジニアも海外拠点とのやりとりや、海外赴任の可能性が高まっています。組み込みエンジニアに語学力が求められるのには、こうした背景が存在します。

メーカーで語学力が必要とされるケース

 メーカーを中心に、キャリア開発において語学力が重要視されています。メーカーでのキャリアアップや、上流から開発にかかわりたいと考える人にとっては、英語は避けて通れません。具体的に必要になる2つのケースを紹介します。

●海外拠点への赴任や、海外とのやりとりを行うために必要

 前述のとおり、組み込みソフト開発において海外へ拠点が移るケースは増えています。そのため、海外赴任の可能性は十分にあります。

 一般的に赴任する期間は数年です。赴任後はポジションが上がって帰国するケースがほとんどです。海外赴任は、社内でキャリアアップをするパスとして有効です。

 また、海外拠点があるということは、海外とのやりとりが必要になるということです。そのため、海外に赴任することはなくても、海外のエンジニアとやりとりする必要が出てきます。

●昇進・昇格条件にTOEICの点数が含まれている

 海外に拠点がなかったとしても、メーカーによっては、ある程度のポジションに昇格するために、TOEICの点数を必須としている企業が多く存在します。

 各種の部門長など管理職といわれるようなポジションだけでなく、現場でエンジニアとして働く主任などのポジションでも、TOEICの点数が求められるケースがあります。

転職時に必要なのは「これから学んでいく」という気概

 メーカーに転職したいけれど、語学力に自信がないから……という人がいるかもしれません。

 しかし、海外とのやりとりを密に行わなければならないポジションを除き、高い語学力を求める求人は、実はほとんどありません。

 実際のところ、語学力を求めるといっても、英語アレルギーがなければよいレベルです。今後学んでいく、という気概さえあれば、問題はありません。

そんなに心配する必要はありません

 そうはいうものの、英語は苦手なのでメーカーへの転職をためらってしまう、という人へ、英語アレルギーをなくすための安心材料を2つ挙げます。

●母語でないもの同士の会話が多い

 英語が母語でないもの同士が話す分、聞き取りにくいことなどもあるかもしれません。しかし、かえって必要最低限のシンプルな表現や会話になります。そのため、ブロークンな英語であっても、意思さえ通じればどうにかなることが多いようです。

●実物が助けてくれる

 業務で使う表現は限られています。必要な表現さえ覚えれば業務はまわります。また、プログラムや仕様書を見ながらのやりとりが多いので、実物を示しながら伝えることができます。

決め手はコミュニケーション能力

 英語はツールです。重要なのは、技術力と伝える意思です。

 転職において、メーカーで重視されるのは「コミュニケーション能力」。語学力が必要なかったとしても、さまざまな部署の人と円滑なコミュニケーションを取りながら、業務を進める能力は必須です。

 英語によるやりとりもコミュニケーションの一環です。キャリアカウンセリングでコミュニケーション能力が高いと感じた人は、TOEICの点数が低くても、転職先で英語を使う環境に配属された場合、コミュニケーション能力を生かして活躍しています。

 もちろん、語学の勉強は無駄ではありません。しかし、単にTOEICの点数を気にするよりも、周囲と連携しながら業務を進めた経験の方が、役に立つことでしょう。

筆者プロフィール
淺井麻里(あさいまり)(パソナキャリア)●大学卒業後、半導体製造装置メーカーを経て、パソナキャレント(現パソナキャリア)に入社。企業営業担当として2年間製造業の企業を担当。現在はキャリアアドバイザーとして、電気・機械・化学などのメーカー系人材の転職サポートを行っている。


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