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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第11回 ビジネススキルを学び、キャリアの幅を広げる

中村京介
2004/1/30

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:福永博臣氏(27歳)
プロフィール大学卒業後、システム開発会社に就職、客先常駐のエンジニアとしてJavaを使った案件などを担当。2003年11月に楽天に転職、ECプロデュース部門のエンジニア。

■最初の配属先は「営業開発部」

 2003年11月に楽天に転職した福永博臣氏(27歳)の現在の肩書きは、ECプロデュース部門 RMSショッピングエンジンプロデュース部のエンジニア。流通総額を最優先する営業部門と、それを技術的な制約の中で実現する開発部門との間には、プロジェクトを進めるうえで、時として衝突が生まれることもある。

 福永氏はエンジニア志望で入社したが、最初の1カ月間は営業部門、次の1カ月間はプロデューサーとして営業部門と開発部門の橋渡し役といえる仕事を担当した。それは開発のスケジューリングを行ったり、営業の要望を聞いて要件定義をまとめたりするものだ。

 「プロデューサーの仕事はプロジェクトを立ち上げて、システム構築を開発部門に依頼し、完成までの納期を決める。1カ月の間、いくつかのプロジェクトをプロデュースしました。いまはその経験を生かし、エンジニアとしてシステム構築を行っています。まだ入社間もないので、1つのプロジェクトしか担当していませんが、これから成果を挙げれば、手掛けるプロジェクトも増えていくと思います。転職前は、技術一辺倒だったので、これからはプロジェクトを運用する知識とか、チームマネジメントのスキルも身に付けていきたいです」

転職前は、技術一辺倒だったので、これからはプロジェクトを運用する知識とか、チームマネジメントのスキルも身に付けていきたい

 そう語る福永氏の表情を見ると、今回の転職が成功であったと推測できる。それは、現在の仕事内容に対する満足度だけでなく、楽天という会社の社風も大いに関係しているようだ。

 「楽天では、毎週月曜日の朝8時から1時間、全社員がそろってミーティングを行います。そのときにどの部門が今週どれくらいの売り上げを出し、どこまで目標を達成したか、もし達成できていない場合には、その目標を達成するための施策を皆の前で発表する。一言でいえば、社内が“透明”です。上下の隔たりも少ない。上司に提案しようと思ったらすぐにできる。実際、三木谷社長もよく社員に話し掛けています。自分の気持ち次第でいくらでもできるわけです」

 サービス業であることを強く意識し、社内に徹底されている点も気に入っている。福永氏は入社後1カ月間、「営業開発部」の名刺で営業活動をしていた。「自社のサービスを知らなければ、システム開発をしても良いサービスを顧客に提供できるはずがない」という哲学に基づくエンジニア研修の一環からである。

 「入社して1カ月間は、新規出店の獲得をやっていました。ノルマがあって、これを達成しなければ開発部門にいけない(笑)。営業中は毎日終電でキツかったのですが、終わってから振り返ると、営業のつらさとか、営業マンはどういう考えを持っているのか、また実際にシステムを利用する楽天の店舗さんの状況も分かり、いまの仕事に役立っています」

理工系出身者に追いつくために猛勉強

 そんな福永氏がITと出合ったのは大学時代のことだ。

 「就職活動を行う半年ほど前に、インターネットをつないでHPの無料スペースにHTMLでページを作りました。普通にタグを書くだけではなく、動きを出すためのタグを書いてみたのです。これが実際に画面に表示されるのを見て、興味を感じました。大学では歴史を勉強していましたし、それまではワードやエクセルくらいしか使ったことがなかったのですが、その経験がきっかけになって、気付いたら技術者の世界に入っていました」

 就職先は客先常駐型の開発会社。創業30年の会社で、汎用機ではかなりの業績を挙げていた会社だった。福永氏の技術面のバックグラウンドは、ここで形成されたといってよい。当時は、理工系出身者に負けたくないと思い、猛烈に勉強したという。

 「入社して、まず4月から8月まで研修。この間に、Oracle Master(Silver)やJavaの資格を取り、システムの基本を学びました。同期でトップクラスの理工系出身者が3、4人いたのですが、3年か4年後には彼らに追いついてやろうと意気込みました。その会社は、私が入社する2年くらい前からJavaを使った案件を手掛ける部門がありました。勉強のかいあって、研修終了後その部門に配属されました。その後、大手SIerの先端技術研究の部門に出向してJavaを使った開発の仕事を担当しました」

半年間にわたる“修業期間”

 この出向先で1つの壁にぶつかることになる。

 「研究部門でしたので、高い技術知識を備えたベテランエンジニアばかりだったのです。そのため、出向してしばらくはほとんど仕事がもらえませんでした。出向後の半年間は技術の勉強ばかりしていました。ホントに悩みましたよ、このままエンジニアを続けていていいのか……」と。

 しかし、この半年間にわたる“挫折の日々”こそが、後々エンジニアとしてのキャリア形成に重要な意味を持つ。

 「出社してサンプルプログラムを作り、勉強ヅケの毎日でした。ただ、当時はJ2EEが日本に広がり始めたころでドキュメントは全部英語。先端技術ばかりを扱うので、私の悩みをよそに、周囲からはすごくうらやましがられましたね。結局、いま振り返ると、この半年の“修業期間”がなければ体系的に技術スキルを習得することはできなかったと思います。そして、技術力に自信がないために転職する決心も持てなかったのではないでしょうか」

 苦悩の半年間を経て、出版業界で印刷物管理を行うパッケージの技術サポート、次いで、銀行のコールセンターの案件ではコア部分の詳細設計を手掛けるなど、次第に技術力を求められる仕事を任されるようになってきた。

 「J2EEをやったことがないメンバーが5、6人いたので、私が先行してコーディングしていかなければいけませんでした。メンバーを引っ張っていくという責任感を持ちながらの作業でしたが、とてもヤリガイを感じました。仕事はかなりハードで、睡眠中以外は仕事をしているという状態だったのですが(笑)」

 その後本社に戻り、新人研修向けにJavaの講師や、客先常駐という形で、いくつかのプロジェクトに参加する日々が1年半ほど続く。「転職」の2文字が現実味を帯び始めたのはこの時期だった。

 「大手SIerの先端技術部門に出向していた1年半と、その後の1年半はまったく仕事の濃度が違いました。最初の1年半は技術レベルの低い地点からスタートしたので、エンジニアとしてスキルを高めるには、最適の期間でした。反対に転職までの1年半は、ちょっと調べればこなせる仕事が圧倒的に多かったので物足りなかった。自分の成長スピードが鈍化していると思いました。それが転職を考え始めた要因の1つでした」

ビジネススキルを磨ける会社に転職したかった

 将来のキャリアについて危機感を感じた福永氏はついに転職を決意する。そこで、@ITジョブエージェントに出合い、複数の人材紹介会社の中から、レスポンスが一番早かったリーベルを選んだ。そして、いくつかの転職先が浮上し、最終的に選んだのは楽天だった。

 「自分の中では、データベースやUNIX、さらにJavaについてもまだまだ勉強が必要だと思っていましたので、転職先の第1条件は最新技術を勉強できる会社です。その一方で、ずっと技術だけでやっていくつもりはなかった。5年後10年後には、もっとビジネスをプロデュースするような仕事、例えばITコンサルタントや、プロジェクトマネージャとしてチームマネジメントをやっていきたいという思いもありました。技術的にもレベルが高く、ビジネススキルを磨ける楽天を選んだのです」

ネットワーク、データベース、そしてセキュリティなどの知識を身に付け、要件定義から開発、運用までをすべて手掛けられるようになりたい

 入社後の研修期間では営業やプロデューサー職を経験し、現在は当初の希望どおりエンジニアとしてプログラミングを行っている。前職と比べてプログラムを書く作業は減ってきたが、技術への思い入れが以前と変わったわけではない。いまはXMLの習得に強い関心を抱いている。休日など空いた時間には、新しい技術を勉強することも欠かさないという。

 「30歳までには技術的なベースをしっかりと固め、どのような状況に置かれても自分1人で対処できるようにしておきたい」と強調する。そして、技術的なベースをしっかりと築くことは、将来、マネジメントの道に進んでいく際にも欠かせない要素と考えている。

 「プロジェクトマネージャなど、プロジェクトを引っ張る立場になったときには、要件定義の段階で、技術的に何ができて、それにはどのくらいのコストがかかるのかを瞬時に判断できなければダメだと思うのです。いちいちエンジニアに確認するようでは、プロジェクトの進ちょくにも影響を与えると思います。その意味で、技術の勉強は将来への下地です。ネットワーク、データベース、そしてセキュリティなどの知識を身に付け、要件定義から開発、運用までをすべて手掛けられるようになりたいと思います」

 福永氏のキャリアを大きく2つのステージに分けるとすると、技術的なバックグラウンドを築く第1ステージと、これをビジネスの中で応用していく第2ステージということになるだろう。30歳まであと3年と迫った福永氏のキャリアは、今回の転職で、まさに第2ステージへ向け、好調なスタートを切ったといえるだろう。

担当コンサルタントからのひと言
 福永氏の場合、Javaを中心としてWeb系の技術ベースがしっかりしていたので、今後の方向性を合わせることから始めました。

 楽天さまを紹介したのは、「いままでの技術を生かせる環境であること」と「ビジネススキルを磨きたい」という福永氏の希望に沿う会社である点などからです。

 福永氏が備えている技術力の高さと、彼の高い成長意欲が評価されて、今回の転職は成功につながったのだと思います。

リーベル 代表取締役 石川隆夫氏

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