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転職目的別・これが私の生きる道

第5回 経理8年のスキルを生かし、会計ソフトのコンサルに

アデコ 山口孝之
2008/9/26

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目的別の実例を挙げながら、転職における成功・失敗の要因を探る。皆さんの参考となる「道」を探してほしい。

 ITエンジニアである皆さんは、どのような得意分野をお持ちですか。

 かつての大型コンピュータの時代に比べ、昨今のシステムは高度化、複雑化しています。ITエンジニアが身に付けておくべき技術分野も広範囲になっています。加えてシステムの導入目的自体が、「手作業を自動化したい」から「業務改革を起こしたい」「新しいビジネスモデルを創造したい」に変わってきました。それに伴い、ITエンジニアに期待されるスキルは、IT技術だけではなく会計や経営の部分にまで及んでいるようです。

 逆にいうと、それらの守備範囲の中で得意分野を持ち、それを生かして職業選択をすると、比較的に転職は楽にいくと思います。

 キャリアコンサルタントが、「転職の目的」にスポットを当てて、事例とポイントを解説する本連載。第5回は「得意のスキルを生かしたい」という転職目的を取り上げます。

当時の日本では稀有(けう)な才能を持っていた熊田さん

@IT自分戦略研究所カンファレンス
上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催
日時:2008年9月27日(土)
11:00〜18:00(受付開始 10:30〜)
場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B
詳しくは開催概要をご覧ください。

 私が5年前、知人の紹介で転職支援をした熊田さん(仮名)の事例をお話ししましょう。当時27歳で、某地方銀行に常駐し、大型コンピュータのアプリケーションの保守業務を担当していました。COBOLで書かれたアプリケーションの保守がメインで、たまに改修要件がまとまると、新規でアプリケーションを作成することもありました。本人いわく「あまり刺激的な仕事ではなかった」ようです。

 実は熊田さん、アメリカの大学を卒業していました。進学時の動機は「本場で情報システムを極めたいから」。日本の有名私立大学の情報系学部にも合格したそうですが、あえて海外留学の道を選んだそうです。

 帰国後に就職したのですが、「転職したい」と思うようになり、知人経由で私と知り合ったというわけです。

山口(筆者) 熊田さん、転職したいというのは聞いてます。でも理由までは聞いてない。なぜ転職しようと思ったのですか。

熊田 うーん、そうですね、そういわれてみると……。

山口 遠慮はしないでください。私は面接官ではありませんから。転職をしようと思ったのは、どんなことを考えてですか? 思ったままを教えてください。

熊田 思ったままというなら……。ひと言でいうと、つまらない……。そう、つまらないからです。僕はITエンジニアの仕事は好きだし、何よりソフトウェアを開発して、それが何か目的を持って動くとき、「やりがい」を感じるのです。でもいまの仕事は、少し刺激が足りない。

山口 いまの職場に不満を持っているんですね。じゃあ、何がどうなれば刺激的な仕事になると思いますか?

熊田 そうですね、うまくいえないけれど、正直いまの仕事は僕じゃなくてもできる。そう思うのです。

山口 分かりました。では次の質問です。熊田さんがITエンジニアの集団の中に入ったときに、これは自分は秀でていると思うものって何でしょう?

熊田 オープンソースでしょうか。それならほかの人よりも知識やノウハウはありますよ。学生時代から継続してやってますから。

 そうです、熊田さんは5年前の日本では珍しくオープンソースの開発団体に所属し、世界中のITエンジニアと協業して、あるミドルウェアの開発を行っていたのです。

オープンソースのスキルを生かして転職活動

 私は熊田さんに、いくつかのシステムインテグレータ、ITコンサルティング会社を紹介しました。当時、オープンソースのソフトウェアはコストの面で大きな優位性を持ち、徐々に企業情報システムの場で活用され始めていました。信頼性の担保のため、各社ともオープンソースコミュニティからの情報を収集し、活用する必要に迫られている、そんな中での転職活動だったのです。

 熊田さんは、すべての書類選考に合格。どの企業も、面接前から熊田さんという転職希望者に大きな期待をかけているようでした。業務経験ではなく、あくまでも趣味で行っていた熊田さんの活動ですが、そもそも業務でオープンソースソフトウェアに取り組んでいるITエンジニアは珍しかった時代です。熊田さんの数年に及ぶ経験は、非常に価値のあるものと映ったようです。

 いくつかの採用内定を勝ち取った熊田さんは、結局、あるシステムインテグレータに入社し、オープンソース関連の企業情報システムの研究開発および社内啓発活動などを開始しました。熊田さんいわく「とても刺激的な仕事」に取り組めているそうです。

ITエンジニア経験は少ないが、経理のキャリアは8年の田中さん  

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