最終回 面接では「素」の自分を出して
キャプラン
山田雄督
2005/7/8
転職を決意しても、実際にはどこから手を付けていいか分からない……。そんな転職初心者のために、選考段階から内定、退職、入社に至るまで、転職の各局面の重要なポイントを解説する。ここだけは押さえて転職を成功させよう |
前回「企業は応募書類のここを見ている」では、企業に応募する際のマナーについて説明しました。今回は、企業に応募して書類選考を通過した後の面接のポイントについてお話しします。
面接日時の調整から面接後の振り返りまで、時系列にポイントを解説していこうと思います。ごく当たり前のことばかりですが、意外に「あっ」と思うことが隠されているかもしれません。
■面接前
・日時の調整から、すでに面接は始まっている
書類選考を通過すると、企業から面接日時についての連絡がきます。企業から日時を打診される場合と、皆さんから日時の候補を提示する場合があります。
時間帯は原則として平日の業務時間内です。最近は平日の業務時間外で実施可能な場合も多くなっていますが、遅くとも午後8時開始くらいが限度ではないでしょうか。また、面接の回数を経るごとに、役員など上役の方が出席する関係で、業務時間内に実施されることが多くなります。
※人材紹介会社を使って応募している場合には、基本的に人材紹介会社経由で日時を調整することになり、この段階では企業と皆さんが直接やりとりすることはありません。 |
1.早めに何らかの返答をする
迅速に面接日時の候補を返信できればベストですが、多忙な方は予定がなかなか立てられず、すぐに確定できないこともあると思います。その際には、日時が未定であることと確定できる期限を必ず返信しましょう。確定までに長い時間を要する場合には、例えば数日置きに経過報告するなどの配慮も必要です。
返信の仕方、あるいはスピードからビジネスマナーや転職意欲を判断される可能性もありますので、きめ細かく対応するようにしましょう。
2.日時の候補は複数提示する
皆さんから面接日時を提示する場合には、企業からの指示がなくても3つほど候補日時を提示した方がよいでしょう。
3.面接の所要時間を聞く
面接の所要時間は通常1時間程度ですが、企業によっては2時間程度を要することもあります。面接後に仕事などの予定を入れている方もいらっしゃるかと思いますので、所要時間は事前に聞いておくようにしましょう。
■面接当日
・身なりは第一印象の鍵
新卒のとき、面接にどのような服装で臨んでいたか覚えていらっしゃいますか。現在私服で勤務している方は、特に注意が必要かもしれません。身なりは最も印象に残りますので、ビジネスでお客さまに会うつもりで服装に気を付けることを忘れないようにしてください。
以下のポイントは、あくまでも一般的なケースについてです。デザイナーなどクリエータ系職種の方などは、その方のセンスを身なりから見るなどの理由で、企業から特に指示があるかもしれません。その場合は指示に従ってください。
1.服装
私服は厳禁です。スーツ、ネクタイ、革靴のビジネススタイルで臨みましょう。靴下の色は、スーツの色と調和していることがポイントです。白や派手な色のものは避けましょう。
2.髪型など
きちんと整髪し、髪の色を極端に変えている方は戻す必要があります。ひげはすべてそる必要はありませんが、髪と同様にきちんと整えることが必要です。
3.かばん
普段リュックサックで通勤されている方も、できる限り手提げかばんで行くようにしましょう。
・持ち物のチェックは念入りに!
以下に記載したものはすべて必須ではありませんが、例えば直前に書類や資料を読み返したくなることもあります。念のために持っていることで、精神的に落ち着けると思います。
必須
|
任意
|
・面接場所への到着は早過ぎず、遅過ぎず
面接場所に着く時間は5〜10分前が理想的ではないでしょうか。早過ぎても間延びして緊張感がなくなってしまいますし、遅過ぎると焦ってしまいます。
時間に余裕がある方は、30分前くらいには現地に到着して、喫茶店で会社概要でも眺めながらリラックスできるとよいですね。
業務時間外に面接に臨む場合には注意してください。正面玄関から入れずに通用口から入らなければならないこともありますので、その場合は上記よりも早めに現地に到着した方がよいかもしれません。
・そのほかの注意事項
1.遅れそうな場合、面接開始20分前には連絡する
面接時間に遅れることが分かった時点で、どれくらい遅刻してしまうかを連絡してください。開始時刻以降では、せっかく連絡した意味がなくなってしまいます。場所が分からなくなった場合も同様です。どのような事情があるにせよ、無断で遅刻することは厳禁です。
※人材紹介会社を使って応募している場合には、人材紹介会社にできるだけ早めに連絡してください。 |
2.面接日時確定後の変更はできる限り避ける
特に就業中の方は、急な業務の都合などで面接日時を変更する可能性もあるかと思いますが、できる限りそうならないように予定を組んでください。日時を変更すればするほど、自己管理能力や企業への転職意思を疑われてしまう可能性があります。
3.説明会形式の選考会に要注意
最近は説明会を開いて、その後希望者のみ筆記試験を行う形式が増えてきています。説明会だからといって油断は禁物です。面接と同じスタイルで参加するようにしましょう。たまに説明会ということで緊張がほぐれてしまい、かばんを机の上に放り出し、ヘッドホンなどがはみ出たままで参加される方がいるようですので注意しましょう。
■いざ面接が始まって……
・基本的なスタンス
1.簡潔明瞭に回答することを心掛ける
ほとんどの場合に聞かれる職務経歴は、1分前後で表現できるようにまとめておきましょう。
2.面接者の目を凝視しない範囲で見る
相手の目を見るのが苦手な方は、鼻筋あたりを見るのがベストです。
3.腕時計を見ない
4.現在(以前)の会社の悪口をいわない
5.面接者に反発しない
考え方に相違がある場合は、ただ反発するのではなく必ず自分の考えを添えましょう。
6.質問の趣旨が分かりにくいときは率直に質問する
7.面接者がくだけても、節度ある態度を崩さない
8.現職(前職)の守秘義務に関する質問は、その旨を伝えて丁重に断る
質問されたことすべてに回答したくなるとは思いますが、むやみやたらに披露し過ぎると「守秘義務はどうなっているのかな」と逆に疑問を持たれてしまう場合があるようです。
・入社意思確認の注意点
最終面接では、面接中に入社意思を聞かれる場合が多くあります。その際には、確実に入社する場合を除き、口頭だからといって安易に入社を承諾しない方がよいでしょう。可能性を広げるために複数の企業に応募している方や、最終面接後に再度検討をする方にとっては特に重要です。
あいまいな表現で企業側に誤解を与えることも避けましょう。即答しない理由をある程度伝えることも必要です。
・想定される質問
以下に一般的なものを記載しますが、あくまでも参考程度にしてください。あまりに質問とその答えを意識し過ぎると、本音で話しているかどうかを疑われてしまう場合があります。基本的には「素」で臨むことが一番だと思います。
経歴について
|
応募企業について
|
家族について
|
希望について
|
本人について
|
そのほか
|
■面接後
・面接が終わった後の振り返りは次のステップに重要
面接が終わると「ほっと一息」つく気持ちになると思いますが、いま受けたばかりの面接には、次のステップにとって重要なことが隠されています。もうちょっと「ほっ」とするのを我慢しましょう。
1.面接を振り返り、次回や他社の面接に有効活用する
面接の本番では緊張していても、後から「本当はこう伝えたかったのに」と悔いる気持ちが出てくるのではないでしょうか。それを踏まえて、質問とそれに対する答えをまとめるようにすれば、自分の面接マニュアルができていくと思います。
2.人材紹介会社経由で応募している場合、情報提供することでほかの転職希望者と助け合う
人材紹介会社経由で企業に応募した方は、面接でどのようなことを質問されたかを、差し支えない範囲で人材紹介会社の担当者に教えてもらえると幸いです。これらの情報はほかの求職者にとって非常に重要ですし、皆さん自身もほかの企業を受ける際に面接の様子を事前に聞くことができます。
面接日時の調整から面接後の振り返りまでを見てきましたが、いかがでしょうか。当たり前のことばかりかもしれませんが、転職活動をしたことがない方には、参考になることがあったのではないでしょうか。
ほどよい緊張感を持ったうえで「素」の部分を出すことは、転職のミスマッチを防ぐために重要なことの1つだと思います。この記事が面接の環境面を整備するための参考となり、皆さんが面接で「素」を出すための一助となれば幸いです。
筆者プロフィール |
キャプラン 山田雄督氏 大手生命保険会社に入社し、営業管理業務、社内SEに従事。2004年より現職。多数のエンジニアと接した経験を生かし、IT関連の技術職、営業職のキャリアコンサルティングを担当。求職者の可能性を幅広く追求し、引き出すことを心掛けているという。現在、@ITジョブエージェントのパートナーとしても活躍中。 |
@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。
現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。
これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。