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「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント

第9回 やっぱり、プロマネ経験がないとダメ?

アデコ
藤田孝弘
2007/9/21

あこがれと現実

 岸本さん(仮名)は、外資系ハードウェアベンダに勤める40歳の社内SE。早期退職制度に申し込み、近々退職することが決定しています。そのため、至急転職活動をしたいという相談で、私の会社を訪ねてきました。

 話を聞くと、入社当時から所属する部門の業務が海外拠点に移管されたため、部門が閉鎖となるそうです。以前からITコンサルタントという仕事にあこがれていた岸本さんは、これを機に転職をしてキャリアアップをしようと考えたということでした。

 大学を卒業し新卒で入社して以来、自社製品のカスタマーサポート部門の情報システム部に所属していた岸本さん。国内システムの運用サポートに加え、世界共通パッケージのアジア圏全域の導入および運用、導入時の社内調整といった海外と連携した業務に従事していました。アプリケーション開発の経験やマネジメントの経験はありません。

 岸本さんが相談に来たのは、目指す方向に合致する企業が存在するのかを知るためでした。しかし求人情報を見て、やはりがく然とします。コンサルティングファームに応募するには、ERPなどの導入経験や、プロジェクトマネージャとしての経験が必須となっていたのです。岸本さんの経験とは大きなギャップがあります。しかし、すでに退職が決まっていることもあり、高いハードルへのチャレンジのつもりで応募することにしました。

コンサルティングファームへの挑戦、そして再出発

 まず岸本さんは、会計系のコンサルティングファームからベンチャー系のコンサルティングファームまでに、幅広く応募しました。面接に応じる会社は数社ありましたが、1次面接以降のプロセスに進める会社はありません。やむを得ず、選択肢を広げるためにベンダのプリセールス職にもチャレンジしました。扱う製品は限定されますが、コンサルタントに近い仕事ができると考えたのです。しかし反応は芳しくありません。

 転職活動を開始してから3カ月、退職してからも2カ月が経過していました。このままではブランクが長くなるばかりです。企業側の対応も厳しくなることを恐れ、岸本さんはあせります。

 そこで、次のような手順でもう一度活動の方向を見直すことにしました。

  1. 自分の強みを再認識する
  2. 活躍できる職種を再検討する
  3. 決定した職種で目指すキャリアパスの可能性を考える
  4. 具体的な企業情報を集める

 結果、岸本さんは、前職と同じく外資系の社内SEに狙いを定めました。グローバルシステムの導入・運用経験と語学力でほかの候補者との差別化を図れば、プロジェクトマネージャ経験がないという弱みをカバーできるのではと考えたためです。

 情報システム部門のSEであれば、ERPなどの導入を経験できる可能性があります。つまり岸本さんは、一足飛びにITコンサルタントを目指すのではなく、強みを生かすことのできる社内SEとしていまの自分に足りない経験を積み、将来的にITコンサルタントを目指そうと考えたのです。

 応募先として、国内・外資含め10社ほどの企業を選び出し、岸本さんはアプローチを開始しました。国内の企業では、やはりマネジメント経験が不足している点を指摘され、書類選考で不採用。しかし外資系の数社で面接に進むことができました。そして最終的に、外資系のハードウェアベンダと医療機器メーカーで内定をもらうことができたのです。

 岸本さんは2社のうち、外資系のハードウェアベンダへの入社を決意しました。前職では経験できなかったERPの導入プロジェクトが近々始まる予定があることに加え、海外と連携したシステムの導入経験者である岸本さんを「マネージャ候補として迎えたい」といってくれたためでした。

 岸本さんは今後、新しいステージで経験を積み、さらなるチャレンジへの準備をすることでしょう。

プロジェクトマネージャにも引けを取らない強み

 ここまで、2つの事例を紹介しました。登場した2人は、求人スペックに合致するようなマネジメントの経験がないにもかかわらず、キャリアアップ転職を実現することができました。この成功の要因は何だったのでしょうか。

 山崎さんは、一貫して金融業界の業務系エンジニアとしてキャリアを積み、深い業務知識が認められました。岸本さんは、外資系企業の社内SEとしての経験が長く、国内と海外との橋渡しができるITエンジニアとして高く評価されました。

 2人に共通する成功要因として、次の点が考えられます。

 1つは、ある分野で長年経験を積んだ結果生まれた専門性が、プロジェクトマネージャに引けを取らない強みとなっていた点。もう1つは、短期間での情報収集ができた点だと思います。

 求人案件の中には市場に出てこないものも多いですので、人材紹介会社などの支援を受けて活動することをお勧めします。専門性の高いスキルを持っていれば、マネジメントスキルが少し足りなくても十分に可能性があると思います。

 キャリアアップを目指そうと考えているのなら、ぜひチャレンジしてみてください。

 

今回のインデックス
やっぱり、プロマネ経験がないとダメ? (43歳、山崎さんの場合)
やっぱり、プロマネ経験がないとダメ? (40歳、岸本さんの場合)

筆者プロフィール
アデコ 人材紹介サービス部 シニアコンサルタント
藤田孝弘
1965年生まれ、滋賀県出身。大学卒業後、人事系コンサルティング会社に就職。人材採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに約10年従事。その後IT専門の人材サーチ会社にて、ITコンサルタントやITエンジニアを中心とした人材のキャリアコンサルタントを約5年経験。アデコに転職し現在に至る。これまでIT業界を中心に3000人以上の転職支援を行っている。

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