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「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント

第13回 「前向き」な転職理由じゃないとダメでしょ?

アデコ
高野和幸

2008/1/24

数年前と比較すれば、転職は身近なものになってきている。だからこそ気を付けたい「転職でキャリアアップ」の思い込みについて、「ウソ・ホント」の視点で考えてみたい。

みんながみんな、キャリアアップを目指してる?

 年が変わっても、ITエンジニア不足の現状は解消されないままです。企業にとって、優秀な人材の確保は成長に不可欠な条件であり、売り手市場の様相は今年も変わらないだろうと予想されます。

 そうはいっても、1人で複数の内定を勝ち取る人もいれば、チャレンジし続けてもなかなか良い結果が得られない人もいます。経験やスキルだけではなく、現在の自分に満足せずに努力し続けられる「成長意欲」がこの差を生んでいるケースも少なくありません。「さらに技術を磨き、将来的にはITコンサルタントを目指して成長していきたい!」といった具合に、根拠を持って熱く語ることができれば、面接官の印象もぐっと良くなることは間違いないと思います。

 しかし、すべてのITエンジニアが仕事中心の人生を選択し、プロジェクトマネージャやITコンサルタントへのキャリアアップだけを目指して転職するのでしょうか? もちろんそんなことはありません! それ以外の転職理由を抱えている人も多くいます。

 今回は、キャリアアップ以外の転職理由でも成功した事例を紹介したいと思います。

子育て奮闘中! でも、仕事も大切にしたい

 多賀さん(仮名)は34歳。あるシステム開発会社に所属し、大手の保険会社に常駐して仕事をしています。まじめな仕事ぶりと明るく豪快な性格から、社内の若手からの信頼も厚い人気者です。本人も環境には十分に満足をしていて、ずっとこのまま働き続けたいと願っていました。しかし、ある出来事がきっかけとなり、どうしても転職することが必要になってしまったのです。

 多賀さんは、2歳の娘さんを持つワーキングマザーです。出産後の1年間は育児休業を取得し、翌年職場に復帰。それ以来、娘さんを保育所に預けて、子育てしながら仕事をしていました。

 あるとき、20時に娘さんのお迎えを担当していただんなさんが、夜勤のある部署に異動することになってしまったのです。そうなると、お迎えには多賀さんが行かなければなりません。保育所は自宅の最寄り駅から徒歩10分ほどのところですが、常駐先まで2時間近くかけて通勤をしているため、終業定時の18時には帰宅しなければならない計算となります。

 そこで多賀さんは、会社に事情を話してみました。毎日早く帰宅しなければいけないわけではなく、だんなさんがお迎えできる日には深夜残業も問題ないことを説明し、協力を求めたのです。しかし、「お客さまにそんな相談はできない」と冷たい言葉が返ってきただけ。

 そもそも会社は、育児休業の取得にも消極的でした。多賀さんはすっかり会社が信頼できなくなり、だんなさんの異動までにもっと育児に協力的な企業を見つけたいと考え、転職活動を開始しました。

「転職理由」という大きな壁

 しかし、多賀さんの転職活動はすぐに暗礁に乗り上げてしまいます。

 転職Webサイトを利用していた多賀さんですが、サイトの求人情報だけでは自分が知りたいこと、つまり育児に対して理解のある企業なのかどうかが分からないことに気付き、がく然としました。

 残業時間が短いらしい、出産や育児休業の制度があるらしいことまでは分かるのですが、労働時間をある程度自分でコントロールできるのか、制度の利用実績がどれだけあるのかまでは分からず、そのためになかなか応募に至ることができずにいたのです。

 どうにか踏ん切りをつけていくつかの企業に応募すると、豊富な経験を持つ多賀さんのことですから、ほとんどの企業から面接のオファーがきました。しかし、今度は面接で大きな壁にぶつかることになります。

 面接では必ず質問される「転職理由」。本当のことを打ち明けてはマイナスの印象を与えてしまうのではとの不安から、本音を隠してキャリアアップなど聞こえの良さそうな理由を練り上げて面接に臨みましたが、面接官からツッコミを受けるとしどろもどろ。結果は散々でした。

 だんなさんの異動までのタイムリミットが迫り、多賀さんは派遣社員としての就業も考えましたが、正社員として責任のある立場で、1つの企業にじっくりと長く勤めたいという希望を変えることはできませんでした。

 知り合いの話から人材紹介会社の存在を知り、半信半疑でスカウトサイトに登録した多賀さんと私が会ったのは、ちょうどそんなときのことだったのです。

「求人企業に、本当のことをお話ししてはどうですか?」  

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