スキルやキャリアのため転職を考えているエンジニアに
特集:ITエンジニアのための転職基礎講座
不況の中でもITエンジニアの数が足りないため、企業が欲しているITエンジニアの数は常に満たされないまま。そのため、企業は1人でもいい人材を獲得しようと、賃金や待遇も上がる一方。そのため、これなら他の企業に転職しようかと考えるITエンジニアもいるだろう。しかし、ITエンジニアにとって重要なのは、最終的に何がしたいかだ。その実現のためにスキルやキャリアを高める。必要であれば、転職も1つの方法だろう。本特集では、そんなITエンジニアのために、実際に転職する前にどんなことを考えるべきか、どんな転職サービスがあるのか、そしてどんなことに気をつけるべきかを、人材紹介でコンサルタントの経験がある筆者が解説しよう。 |
千葉康介
株式会社セキュアシンク
2001/5/22
Part 1 転職は目的を実現するための手段 |
ZDNetで「レイオフ」という言葉を検索してみよう。検索結果を読むと、米国の「ハイテク不況」の影響で、名だたるIT企業が続々とレイオフの発表をしたことがわかる。アットマーク・アイティのニュースからも、米国の深刻なレイオフの状態が伝わるはず。
ITエンジニアに逆風が吹いているわけではない。米国情報技術工業会(ITAA)によれば、2000年には85万人の熟練ITエンジニアが不足するだろうと公表していた。しかし、現在は不況の影響のためか、2001年のITAAの発表ではITエンジニアの不足数は42万5000人と、昨年に比べて半減し、多少改善に向かっているように見える。
それでは日本のITエンジニアの状況はどうだろうか? 日本ではここ数年、企業の規模を問わずリストラの嵐が吹き荒れている。実際、新聞には「希望退職」や「リストラ」に関する記事が数多く掲載されている。しかし、同じ新聞の日曜版には、多くの求人広告が掲載され、その多くはITエンジニアや金融の経験者、それも即戦力を求めるものばかり。
こうした数字を裏付ける日本でのITエンジニアの需給に関する資料は、なかなか入手できない。一部には、30万〜40万人ほどのITエンジニアが不足しているとする資料があるが、調査方法や時期がわからない、根拠となる数値が古いなど、あまり参考にはならない。
とにかくわかっていることは、ITエンジニアが圧倒的に不足しているということだけだ。
■重要なのはスキルとキャリアを見極めること
このような背景があるため、ITエンジニアの人材(労働)市場は現在、供給(ITエンジニア)不足の売り手市場だ。
売り手市場では、労働者(ITエンジニア)のほうが立場が強くなるため、企業はどうしても給与や待遇などの面で優遇しようとする。そのため、ITエンジニアの中には、いまいる会社よりも魅力的に見える会社があるように見えるかもしれない。フリーや契約社員として仕事を請け負ったほうが、受け取る収入が増えるかもしれない。
しかしすぐに転職を考える前に、ITエンジニアとして考えてもらいたい点がある。それは、転職などの決断が、自分のキャリアやスキルの向上に役立つのかどうかという点だ。
特に考えてほしいのは、短期的な結論ではなく、ITエンジニアとしての最終的な目標は何か、その目標を達成するには、どのようなキャリアやスキルが必要なのか。それをきちんとブレークダウンして考えてほしい。
キャリアやスキルをあげる手段は、何も転職だけが唯一の方法ではない。自分の目的実現のため、現在の会社でキャリアやスキルを磨けないと判断したときに、転職を検討すればよい。つまり転職は、ITエンジニアの目的実現のための手段である。
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Index | |
ITエキスパートのための転職基礎講座 | |
Part 1 転職は目的を実現するための手段 | |
Part 2 転職支援サービスを理解しよう | |
Part 3 転職支援サービス活用法 |
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