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加山恵美
2006/7/5

常に不安と危機感を抱えて働くエンジニア。日常の危機感や働き方に関する意識は、4年前と比べてどう変化しているだろうか。アンケート結果から見えてくるエンジニアの姿とは。

4年前と比較して不安は減少

 @IT自分戦略研究所とJOB@ITが2006年春に行った読者調査によると、エンジニアが将来に対して抱く不安/危機感は4年前に比べて減少していることが分かった(2002年夏に@IT自分戦略研究所が実施した読者調査結果との比較による)。

 両調査の回答者の年代分布と職種はおおよそ共通している。平均年齢は2002年実施分が30.6歳、2006年実施分が32.8歳であり、20代後半から30代前半が半数以上を占める。職種はシステム開発やITコンサルタントなど、何らかの形でシステムに携わるものがほとんどだ。

 「あなたはエンジニアという仕事を続けていくうえで、将来的な不安/危機感を感じることがありますか?」という質問に対し、「日常的に不安/危機感を感じている」と回答した割合は2002年で46.9%、2006年で35.1%。11.8ポイント減少している。その分「ときどき不安/危機感を感じる」と「まったく不安/危機感はない」が増加している。4年前と比べて日常的な不安が減ってきていることが分かる。特に「あまり不安/危機感を感じない」という回答が4.6%から10.8%へ6.2ポイント増加していることは明るい材料だ(図1)。

図1 エンジニアの将来的な不安/危機感 2002年と2006年との比較

 これは@IT自分戦略研究所、JOB@ITの読者層に限る傾向か。いや、そうでもないらしい。米ライトマネジメントが世界18カ国の常勤労働者を対象に実施している「雇用についての意識調査」によると、日本では2003年11月以来、雇用安定感が順調に上昇しているという。これは日本全体で失業の不安が減っていることを示している。日本全体で考えても雇用に対する意識は回復基調にあるようだ。

危機感は自分のスキルアップに集中

 @IT自分戦略研究所とJOB@ITの読者調査に戻ろう。「危機感の要因」を尋ねた結果は、2002年、2006年の調査ともに「スキルアップの機会/時間/資金不足」が1位だった。今回2006年の調査では全体の59.4%になり、2002年の36.7%に比べてかなり上昇した。ほかにも「技術サイクル短期化/所有スキル陳腐化」「自分の適性や市場価値の有無」など、スキルに関する項目は2002年と比べ増加している(図2)。「ITに携わるエンジニアとしてスキルアップを続けなくてはならない」という傾向は、ますます顕著になっているといえる。

図2 危機感を感じる要因 2002年と2006年との比較(複数回答)

 スキルに加え、仕事内容やキャリアの方向性に関するものが危機感の要因として挙げられる割合も、2002年の調査に比べ増えた。将来のビジョンはあるが現在の仕事と結び付けられない「やりたい仕事と会社方向性のミスマッチ」もあれば、将来のビジョンそのものが分からない「今後のキャリアプランが描けない」もある。いずれにしても将来のビジョンについては関心が高いが、難しいテーマだ。

 逆に、2002年と比べて減少が目立つものといえば、「短納期化と既存プロセスのギャップ」「元請け下請けや人月評価などの業界慣習」「開発拠点の海外移転による空洞化」など、業界全体の動向に原因があるものだ。短納期化や開発拠点の海外移転(いわゆるオフショア開発)など、最近では4年前ほど危機感を伴って話題になることが少ないからだろうか。それともこうした変化は、(少なくとも意識では)受け入れられるようになってきたのだろうか。

 業界ではなく自分自身に危機意識を持つ傾向が高くなってきたのは、「業界の情勢は受け入れざるを得ない。ならばその中で生き残るために頑張らなくては」と考えているためだろうか。やはりエンジニアが頼りにするのは自分のスキル。スキルを磨き、常に最新動向に追いついていかなくてはならないと考える人が大半のようだ。

 自由記述のコメントは不安や危機感の有無によらず、「常に最新情報を得るようにしている」「資格取得を目指す」など自己啓発に関するものが多い。スキルアップについてはIT技術に限らず、ビジネススキルなど幅広い視野を持つ人も多く見受けられる。

   

今回のインデックス
 エンジニアの危機感は自分のスキルに (1ページ)
 エンジニアの危機感は自分のスキルに (2ページ)
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