第4回 勉強会発のXOOPSディストリビュータ
加山恵美
2008/2/8
無数にある開発コミュ二ティやユーザー会といった組織。一体どんなことをしているのか。そこではどんな人たちが活動しているのだろうか……気になっている人も多いだろう。コミュニティのメンバーに話を聞き、その実像を探る。 |
「ホダ塾」。PHPで作成されたオープンソースのCMS(Content Management System)であるXOOPSの勉強会から始まり、いまはXOOPSのディストリビューションの制作に取り組む。XOOPSへの愛着と建学精神を軸に、メンバーの自主的な研究成果がうまく実を結んでいる。コミュニティの経緯や活動へのモチベーションなどを聞いた。
■XOOPSはダサくないぞ! と勉強会発足
――コミュニティ発足のきっかけと活動内容を教えてください
栗山武司(hodaka) 「2005年7月のOSC(Open Source Conference)に参加し、XOOPSにかかわる人たちの層の広さに気付きました。コア開発者からモジュール開発者、デザイナーなど、実に幅広い。ただ、当時はXOOPSのデザインは海外中心で制作されていたためか、日本人には不評でした。『(デザインなんて)見えればいいじゃないか』という意見もあるが、『XOOPSはダサくないぞ』という気持ちもあり『ホダ塾』勉強会を開催することにしました」
箕輪望(fabi) 「月に1度、オフラインで顔を合わせて勉強会をしています。各自で制作したモジュールやデザインなどを見せ合うなどしています」
栗山 「当初は1年限定の活動として始めましたが、もう2年半ほど活動しています。開発者とデザイナーなど立場が違うといろいろと刺激があるようです。うちのコミュニティには実にいろんな人がいます」
伊藤貴史(tohokuaiki) 「現在の主な活動として、XOOPSのディストリビューションの制作をしています。昨年から制作に取りかかり、2008年3月3日のリリースを目指しています。」
――自己紹介をお願いします。普段は何をなさっていますか
栗山 「キーネクスト 代表取締役 栗山武司、ITコンサルタントです。勉強会を呼びかけました。もともとプログラミングなどが好きで、XOOPSはどちらかというと趣味の感覚でモジュール提供などをしていました。最近ネットでは発言を控え見守っていますが、オープンソースの動向や技術の進歩には目を見張っています」
箕輪 「Web制作者です。当初は仕事の幅を広げるためにXOOPSを習得しようと思いましたが、いまでは自分の興味や関心の対象になっています。おもちゃ感覚ですね。2006年4月にXUGJ(日本XOOPSユーザーズグループ)を立ち上げました。XUGJ立ち上げ当初は『すぐに人が来なくなるのでは』と思っていましたが、意外と続いています」
伊藤 「Web制作者です。もともとWebサイト運営の仕事をしていたところ、XOOPSを知りました。当初はプログラムスキルがありませんでしたが、XOOPSを通じてWeb技術を習得し、XOOPSのモジュール作成も手掛けるようになりました。仕事の方は独立し、ディレクションからプログラミングまでWebサイト制作を包括的にやっています。あと、実は私の父が栗山さんと同級生ということを後から知り、驚きました」
argon 「デザイナーです。MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)に関するWebサイトを立ち上げようと調べているうちにXOOPSに気付いて使うようになり、勉強会に参加しました。ホダ塾ではモジュールアイコンなどビジュアルデザインを中心にかかわっています」
後藤峰陽(GIJOE) 「ネットワークエンジニアです。システム構築の仕事をしています。5年くらい前にXOOPSを知り、『やるなら徹底的に』とのめり込んでいます。ホダ塾ではモジュール作成などプログラミングをしています。IDは当初やっていたゲームのキャラクター(G.I. Joe)から命名したのですが、ログインにも使うIDだからピリオドなしで登録したら誤読や誤認の多いこと。『ギジョエさん』とか『ジジョウさん』とか。ピリオドを入れて登録しておけばよかったです(苦笑)」
伊藤 「後藤さんは著書もあるんですよ。『Customizing XOOPS 〜自由にデザイン・自在にHack』や『PHPサイバーテロの技法―攻撃と防御の実際』など。自分が実際にXOOPSを通して体得したことなので、参考になりますよね」
■ディストリビューション制作を目指すようになった理由
――コミュニティはどんな雰囲気ですか?
栗山 「ホダ塾では『自主・自立・自助の精神を尊ぶ』、『相互扶助と敬愛』、『私心が無く、公への貢献意欲を持続する』など、5つの建学精神を掲げています。これに賛同し、XOOPSを好きな人が何らかのコミットをしようと集まっています。一見さんはお断りではありませんが、各自で目標を立て成果物を公表し合うようにしています」
伊藤 「月例の勉強会では円卓を囲み、全員が発表者となります」
栗山 「ホダ塾の人材は本当に多彩です。公共団体関係者で、つくば市にある小学校サイトをXOOPSで構築するのに貢献した人もいます(参考:つくば市教育委員会指導課)。これはXOOPSの事例としても大規模なものになるのでは」
伊藤 「事例といえば、東京証券取引所から情報を生中継するサイト「STOCK VOICE」もXOOPSです。ここで公開している番組がBS11(BSデジタル放送局)に提供されています。XOOPSだから何ができないってわけではありません。必要なところだけ便利に使えばいいと考えています」
――勉強会から、ディストリビューションの制作を目指すようになったのは?
箕輪 「XOOPSからXOOPS Cubeへのフォークがあり、ソフトウェア自体に大きな変化が起こりました。本家のXOOPSと違い、XOOPS Cubeだとコアとなるシステムしかなく、必要なモジュールはそれぞれ入手する必要があります。初心者だとダウンロードしてもすぐには使えず、途方にくれてしまう人もいるようです」
伊藤 「XOOPS Cubeもそうですが、XOOPSにはほかにもフォークしたプロジェクトがいくつかあります」
箕輪 「Linuxしかり、いいソフトウェアほどフォークするのでしょうね」
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