コミュニティ活動コラム ピックアップ(1)
コミュニティの世界へようこそ
@IT自分戦略研究所
2008/11/20
コミュニティ活動は、エンジニアたち個々人が会社という枠を超えて広がっている。エンジニアが本音を語る投稿メディア「エンジニアライフ」から、コミュニティ活動に関する情報をピックアップする。 |
■コミュニティの世界へようこそ
グローバルナレッジネットワークの横山哲也氏は、『IT技術を修得するには』で「コミュニティに参加しよう」と説く。
IT技術を修得するには、まず参考書で勉強し、オンラインヘルプを読むことだ。だが、それでも分からないことがあったらどうするか。横山氏は「メーリングリストなどを含むコミュニティに参加してみよう」と語る。コミュニティの場で、思う存分、分からないことを質問しよう。
メーリングリストで同じような質問が何度も出されると、「過去ログを読め」といわれるかもしれない。だが、横山氏は「同じ質問が何度も行われることは問題ないと思う」と主張する。健全なコミュニティは、同じ質問を排除しない。その代わり、質問に答える人が変化する。
「先週、自分の質問に答えてもらったら、今週出た同じ質問には自分が答えるべきである」。あなたが質問に答えてもらったら、次はあなたが質問に答える番なのだ。コミュニティは同じ問題を抱える者同士の交流の場である。誰かが一方的に質問したり答えたりする場ではない。
「コミュニティ活動に参加することは、社会で認められるエンジニアへの第一歩である」(横山氏)
■コラムニストたちが所属するコミュニティ
世の中にはさまざまなコミュニティが存在する。エンジニアライフのコラムニストたちもまた、コミュニティに所属している人が少なくない。その中から、コミュニティを紹介したコラムを取り上げる。
●アジャパ、XPJUG、オブラブ
チェンジビジョンの水越明哉氏は、「アジャイルプロセス協議会」「XPJUG」「オブジェクト倶楽部」の3つのコミュニティに参加している。
いずれも「アジャイルソフトウェア開発」系コミュニティだ。水越氏によれば、いずれのコミュニティもテーマは似通っているが、組織形態は随分と異なるのだという。
アジャイルプロセス協議会は企業単位で参加する企業コミュニティ。通称「アジャパ」。主な活動はイベントやセミナーの開催だ。
XPJUGは個人単位のコミュニティ。年会費もイベントの参加費も無料で、「最もコミュニティらしいと思うコミュニティ」(水越氏)だという。XPユーザー会というイベントの開催を行っている。
オブジェクト倶楽部は永和システムマネジメントの社内コミュニティ。厳密には永和システムマネジメントの社員にならないと入れないが、年2回の大規模なイベントは社外の人間も参加するという。略して「オブラブ」とも呼ばれる。
●もじら組
小沢英裕氏は、自らが所属する「もじら組」を紹介している。
もじら組とは、Webブラウザ「Firefox」などのMozilla製品のコミュニティだ。Mozillaの日本語化や文書の翻訳などを行ってきた。現在はBugzilla日本語版の運営やメーリングリストの運営、各種オープンソースイベントへのブース出展、イベントの開催などを行っている。
現在のもじら組とは「看板」であるという。Firefoxに何か協力したいと思ってもじら組に入っても、「いいことはない」と小沢氏は断言する。
それでも、仲間として信頼され、メンバーとして認められれば、「もじら組スタッフ」を名乗って活動できる。もじら組という看板を使うことができるようになる。
●ハチロク世代
長崎で働く田中康太郎氏は、多くのコミュニティに参加している。コラムでは、「ナナロク世代」のパロディである「ハチロク世代」というコミュニティについて紹介している。
「1986年生まれは、学生時代に携帯電話が普及し、大学入学付近で“Web 2.0”サービスが普及し始め、よりインターネットが身近にあった世代」だ。長崎という地方に身を置きながら、インターネットを介して同年代のグループに参加することで、田中氏は「さまざまな人と知り合え、自分の世界が広がっていくのが実感できた」のが大きな恩恵であると語る。
西尾泰和氏と天野仁史氏によるテクニカルトークイベント「1000人スピーカプロジェクト」の初の地方開催は長崎だった。田中氏は、ハチロク世代を通じて長崎での開催のきっかけを作れたと語る。コミュニティは「地方」という壁を破る力を持っている。
■勉強会の様子をのぞく
コミュニティが開く勉強会。そこでは、どんなことが行われているのだろうか。もちろん内容はさまざまだが、ランカードコムの村部淳也氏が勉強会の詳細なレポートを3回にわたって公開している。
RBC(Ruby Business Commons)はほぼ毎月勉強会を行っている。「とにかく1日で動くものを作ってしまう」「全員が先生で、全員が生徒」というコンセプトのもと、その場でチームを作ってプログラミングを行う。
グラフィックを簡単に扱うことができる「Ruby-Processing」をテーマとした「イケテルJRuby勉強会@福岡」のレポートでは、まず円陣を組み、それぞれ基礎を学んだ後、チームごとに作品を制作して発表するまでが文章と動画で紹介されている。
勉強会ってどんなものなのだろう、と思っている読者にとって、雰囲気をつかむのに役立つはずだ。
■コンテストに応募し、クールなエンジニアたちと出会う
フィードパス 山本大策氏のコラムも、コミュニティ活動の参考になるだろう。
山本氏は、自作のWebサービスで「マッシュアップアワード」というコンテストに応募し、協賛企業賞を受賞した。このコラムでは、受賞の様子とともに、コンテストに応募することの3つのメリットを提示している。
コンテストに応募することで、まずは締め切りが設定され、「最低1つはアプリケーションを作らないといけない状態」に自分を追い込むことができる。加えて、ほかの参加者の作品と比較し、自身の実力を確認する機会となる。
そして最後に、「スキルの高い人たちと知り合うきっかけが生まれます」と山本氏は語る。モチベーションの高い開発者たちと出会い、交流することで、大いに刺激を受けるのだという。
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今回取り上げたのは下記6人のコラムだ。読者のコミュニティ活動に役立てば幸いである。
横山哲也 | Go, Go, Go, in Peace | |
水越明哉 | コミュニティの裏側を見せちゃいます | |
小沢英裕 | 地方エンジニアリングライフに四苦Hack | |
田中康太郎 | ハチロクエンジニア | |
ランカードコム | 長崎発! オープンソースのネタとツボ | |
山本大策 | ゆるゆるビジョンぱつぱつライフ |
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