エンジニアライフ時事争論(6)
勉強会では教えてはいけない
@IT自分戦略研究所
2009/8/25
一言で「勉強会」といっても、人ごとに異なったアプローチがある。
まず「勉強会へ参加」する人がいる。そして「勉強会を主催」する人。最後に「勉強会に参加しない人」だ。エンジニアたちは、どのような意識とスタンスを持って、勉強会に関わっているのだろうか?
特集「勉強会の夏、カンファレンスの夏」の番外編として、@IT自分戦略研究所 エンジニアライフのコラムニストに「勉強会とカンファレンス」というテーマでコラムを執筆してもらった。勉強会を開催する人、勉強会に参加する人、勉強会に参加したことがない人の生の声を紹介する。
■「勉強会恐怖症」克服完全マニュアル
まずは勉強会に参加する人の心得から紹介しよう。
『恋愛感情で仕事はできるか?』の森姫氏は、勉強会に初めて参加する完全マニュアルを紹介している。
「勉強会って何か怖い」。勉強会に参加したことがない人は、多かれ少なかれ、このような不安を抱えているかもしれない。特に「地方出身」で「自分のスキルに十分な自信がない」場合はなおさらだ。しかし森姫氏は、勉強会恐怖症を克服すためには、5つのステップを踏むだけでいいという。順を追って紹介しよう。
まずは情報収集から始めよう。ステップ1「セミナー情報を得る」、ステップ2「開催地までの交通手段を調べる」でしっかりと情報収集をして予算を組んでおく。ステップ3は「開催地の名物・名産を調べる」だ。これは最重要ポイントだと、森姫氏は語る。勉強会といえども旅である。どうせ旅をするなら、楽しみがたくさんあった方がいい。勉強会に行くだけよりも、勉強会と観光に行く方がテンションも上がる。最後の2ステップは簡単だ。参加することを決めて、周囲に決意を表明する。最後は電車に乗ればいいだけだ。
■勉強会では教えない
勉強会を主催する際の心得はどうだろうか。
『ソフトウェア開発に幸せな未来はあるのか』を執筆するにゃん太郎氏は「勉強会では教えない!」と断言する。にゃん太郎氏が開催する勉強会には独特のルールがある。板書は一切しない、資料は図のみ。予習も暗記もさせないという。
にゃん太郎氏の狙いは「参加者が能動的に考えること」だ。「話を聞いていると、何となく分かった気になるが、それは気のせい。受け身では何も身に付かない。能動的に考えれば、しっかりと技術を身に付けることができる」という。
福島情報処理センターに勤める荒川淳氏とさとうかおり氏の2人は、どちらも社内勉強会を主催するために頑張っている。
『IT戦隊シンジンジャー』の荒川淳氏は、入社1年目にして社内勉強会「シス研2009!」を開催した。
先輩ももちろん負けていない。『いっちょまえのSEになる! 元インストラクタの成長日記』のさとうかおり氏は、後輩Oracleの勉強会「シス研2009! 〜Oracleマスターへの道〜」の開催準備に意気込んでいる。
準備段階で大切なのは「勉強会のレベルを決めること」だという。勉強会のレベルを決めて対象者を明確にすることによって、「せっかく参加したのに全然分からなかった……」というミスマッチを防ぐことができるという。もう1点大事なポイントは上司を味方につけることだ。本業をしっかりこなした上で、勉強会に参加する。「上司の理解を得ることが重要だ」とさとう氏は語った。
■勉強会開催の難点とは
同じように、勉強会開催のアドバイスをくれたのは『地方からの戯言』のAhf氏だ。
勉強会開催の難しい点は「どのネタにするかを選ぶこと」「どこまで内容に盛り込むかの判断」「リハーサル時間の確保」だという。
「がんばって用意した勉強会でも、参加者の反応がないのは堪える」とAhf氏は語る。しかし、それでめげるAhf氏ではない。「あくまで主催者のやりたいという気持ちが大事。やってみたいという気持ちがなければ、良い影響は生まれないと思う」と意気込みを見せた。
■勉強会に参加しないけれど
『真の顧客満足を目指して』のビガー氏は、あまり勉強会に参加しないという。「書籍と自己演習で事足りる」からだ。しかし、「勉強会に参加する意味」もあるという。
書籍と勉強会の違いは「さまざまな人の視点」ことだ。同じテーマでも、人が変われば意見も変わる。同様に、自分で学んだことを他者の視点から客観的に評価してもらうという意味でも、勉強会は意味があるという。
『オブリガート 〜感謝されるテストエンジニアになる〜』を執筆する第3バイオリン氏は、参加したことがない立場から「参加してみたい勉強会、カンファレンス」について語ってくれた。
テストエンジニアの第3バイオリン氏が気になっているのは、ソフトウェアテストワークショップ「WAKATE」と「ソフトウェアテストシンポジウム(JaSST)」。「WAKATE」は1泊2日の合宿形式で、学生サークルみたいな雰囲気がある。一方、「JaSST」は論文発表や講演がメインで、まるで学会のようだ。
『これはもうダメかもわからんね インフラ系SEの波瀾万丈伝』の田所稲造氏は、“JWNTUG”(ジャンタグ・日本ウィンドウズNTユーザー会)の復活を訴えている。 JWNTUGはWindows NTを使いこなすための集まりで、日本で唯一「ユーザー側代表」だった。生の声を聞けたJWNTUGは、技術者にとってまたとない機会だったという。「もう一度良き慣習を復活させて欲しい」と田所氏は望んでいる。
以上、勉強会に関わるエンジニアの声を紹介した。いろいろな意見の人がいるが、共通しているのは「積極性を持つこと」と「楽しむ」ことだ。彼らの声を参考にして、勉強会に参加する人は勉強会開催へ、勉強会に参加したことがない人は勉強会参加へと、次のステップに進んでみてはいかがだろうか。
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