第7回 勉強会はKPTで振り返るべし
はなずきん
2009/6/3
IT系の勉強会は日々、全国各地で開催されている。「IT勉強会カレンダー」の管理人で、自らも勉強会を運営しながらさまざまな勉強会に足を運ぶ筆者が、毎月面白い勉強会をピックアップする。 |
5月は229件の勉強会やイベントをIT勉強会カレンダーに登録していましたが、新型インフルエンザの国内感染拡大の影響で、残念なことに何件かの勉強会やイベントが延期や中止になったり、オンラインのみに変更されたりしました。
「高専カンファレンス」は公式Wikiで「新型インフルエンザ対策」を掲載。勉強会の主催者は、こうしたリアルな対策にも注意する必要性があるのだな、と感じた月でした。
■勉強会に行ってみた(?)
〜2009年5月「東京Basic Technology勉強会」
2009年5月13日と20日に開催された某社社内勉強会「東京Basic Technology勉強会」のオンライン中継に参加しました。
勉強会情報 |
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勉強会名: 東京Basic Technology勉強会 開催場所: オンライン 開催頻度: 1回/週(2009年予定)※現時点で セッション内容: IT全般の基礎 |
「設立のきっかけ」に書かれているとおり、もともとは社内のみで行われていたこの勉強会。社内勉強会なので参加者層が固定化してしまい、マンネリ化の打開策の1つとして「Ustream.tvを利用した社外への公開」を行うことになったそうです。Ustream.tvは、いろいろな勉強会がオンライン中継手段として用いているサービスですが、今回は「本来ならばクローズドな社内勉強会を公開する手段」として用いられています。
IT勉強会カレンダーで「オンライン」という言葉を検索すると、オンライン中継を提供していたり、オンラインのみで行われていたりする勉強会を見つけることができます。
「オンライン」でIT勉強会カレンダーを検索 |
オンライン勉強会では、以下のサービスを併用するなど、さまざまな工夫がなされています。
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- Ustream.tv
- IRC
- Lingr(2009年5月末でサービス終了)
- Skype
オンライン中継を利用した勉強会の最大のメリットは、さまざまな事情で会場に来ることができない人や、地方在住の人でも、首都圏やほかの地方で開催されている勉強会に参加することができる、ということでしょう。また、オンラインのみで勉強会を行う場合、会場を押さえるなどの手間や手続きが必要ないため、学生などでも手軽に勉強会を主催できるというメリットもあります(実際、居住地区が離れた学生が行っている「Online.sg」という勉強会もあります)。
今回は19時開始ということで、わたしは自宅で夕飯を準備しながらセッションを聞いていました。こういうことができるのもオンラインならでは、ですね。
一方、オンラインのみだと参加者の顔が見えなかったり、話を進めるスピードの調整が難しかったり、というデメリットがあります。オンライン中継による参加の場合は、会場の盛り上がりが見ている人に伝わりにくい、というのも難しいところです。しかし、「まずは勉強会を開催してみよう!」という人にとっては、有効な手段の1つだと思います。
さて、東京Basic Technology勉強会は先に挙げたとおり、オフラインの場で行われている社内勉強会の中継ですので、メインは実際の会場の方です。オンライン参加者は、事前にサイトで公開されたテーマや資料などを確認してUstream.tvに接続し、勉強会に参加します。
第1回は、5分間で話者が参加者に伝えたいことを話すライトニングトークが3本。初回ということもあり、ITにこだわったテーマではなく、まずは「話す」ということに主眼を置いているように感じました。
初めて人に何かを伝えるプレゼンテーションを行う場合、ライトニングトークは最適だと思います。5分間という決められた時間の中で、どのように言葉を組み立て、スライドを見せて話をするかという、プレゼンテーションの基礎が学べます。東京Basic Technology勉強会が掲げる「基礎を勉強する」というテーマを見事に体現した1時間だったと思います。
勉強会終了後、KPT(Keep:続けること、Problem:問題点、Try:試みること)をまとめページに設けているのもこの勉強会の特徴です。終了後に発表者やオンライン参加者が書き込みをすることで、定型のアンケートを採るよりも気軽に次回以降の改善を行えるでしょう。翌水曜日の第2回では、KPTを基にマイクの位置調整などが行われていました。
第2回は「たのしい宿題発表会〜慣れない言語で車輪の再発明をしよう〜」というテーマを設け、ライトニングトークではなく、ディープなセッションが行われました。発表者が普段は使用していない言語を使用し、指定された1000件のデータをソートして、そのことによって気付いたことを発表するというもの。今回はJavaScriptによるソートの発表が行われました。次回以降も、さまざまな言語で同一のテーマを扱うため、言語の違いを感じ取れる勉強会になっていくと思います。
【対象とする参加者】
- コンピュータサイエンスの基礎を学びたい方
- プログラミングの基礎を学びたい方
- 勉強会に参加してみたい/勉強会を開催してみたい方
- ハードウェア/電子工作に興味がある方
- WifeHackに興味/関心がある方
このように、東京Basic Technology勉強会は対象とする参加者の幅を広く設けています。今後、オンラインだけではなく、オフラインの勉強会も参加者を受け付けて開催する予定だということです。新たな展開を期待しています。
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