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開発合宿へ行こう!

合宿で開発漬けになる人たちの理由

鷹木創
2008/9/16

近年、盛んになってきた「開発合宿」。どのような様子で、どのような利点があるのだろうか。田口元さんが主催した、2006年12月の開発合宿のレポートから考える(編注:ITmedia Biz.IDに掲載された記事を再編集して掲載しています。肩書きは当時のものです)

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会社ではなく、個人でつながる

@IT自分戦略研究所カンファレンス
上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催
日時:2008年9月27日(土)
11:00〜18:00(受付開始 10:30〜)
場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B
詳しくは開催概要をご覧ください。

 開発合宿とは、Webアプリケーションなどを開発するための合宿のことだ。「百式」を運営する田口元さんは、ブロガー仲間ら数人を誘い合って開発合宿を行ってきた。「check*pad」などのサービスも、こうした合宿の中から生まれた。

 サービスやプロダクトを開発する際、会社のプロジェクトチーム単位で合宿を行うことをはそれほど珍しいことではない。大手メーカーはもちろん、はてながこうした合宿を効果的に行っていたことは有名だ。

 2006年当時、プログラムスキルに自信がなかった田口さんは、技術向上の方法を模索していた。そんな時、「はてなのような合宿がしたい」と思ったのが、定期的な開発合宿を始めるきっかけとなった。田口さんの手法が独特だったのは、会社ではなく、個人が結びついて合宿していたことだ。当然、参加する各氏は、それぞれ自立した目標をもって合宿に望んだ。

合宿先となった旅館「リゾートイン今井浜」

キーワードは「ゆるく」

 筆者が参加した合宿には田口さんのほか、田口さんの開発合宿を一緒に支えてきた赤松洋介さん(サイドフィード CEO)をはじめ、過去に参加経験のあるサイボウズ・ラボの秋元裕樹さん、コンテンツマッチ広告を提供するブレイナーの代表取締役 本田謙さん、女性初の参加者になった中央大学の大学院生 小宮香織さんの5名が参加した。全員がオンラインサービスやアプリケーションなどのプログラミング経験者だ。

リゾートイン今井浜のミーティングルーム。全員がノートPCを持ち込んだが、そのうち3名は20インチクラスの液晶ディスプレイでマルチディスプレイ環境を構築していた

 キーワードは「ゆるく」。合宿中、筆者が質問するたびに田口さんは「ゆるーく、やりましょう」「ゆるくでいいじゃないんですか」「ほんと、ゆるくでいいんです」と口にする。会社のようなガチガチの営利目的ではない。有給休暇をとってまで参加した人もいたが、個人で無責任にやるわけでもない。オフのようなゆったりとした雰囲気ながら、「食事の時間」「お風呂の時間」「合宿中に必ず何か作る」といったルール(?)は守る。宴会のようなどんちゃん騒ぎにはならないのである。あくまでも「ゆるく」、しかしながら着実に進んでいくのだ。

 この「ゆるさ」を効果的に実現しているのは、“緩急”なのかもしれない。合宿のスケジュールを見て、そう思った。コードを打ち込んでいる時の集中力と、報告会でのざっくばらんさの緩急だ。

 今回の合宿は2泊3日。真ん中の1日を抜き出し、筆者の感じた「ゆるさ度」を付記した。ゆるさ度は場の雰囲気から類推した。あくまで筆者の感じ方によるが、「冗談を許容するか」「個人行動を許容するか」「個人作業か」などのチェックポイントを設け、それに応じて3段階に分けた。

時間 イベント ゆるさ度
8:00〜 朝食 ☆☆☆☆☆
9:00〜 開発
11:00〜 報告会 ☆☆☆
12:00〜 昼食 ☆☆☆☆☆
13:00〜 開発
16:00〜 報告会 ☆☆☆
18:00〜 夕食 ☆☆☆☆☆
19:00〜 開発
23:00〜 報告会 ☆☆☆
〜朝まで 開発、個人ごとに就寝 ☆(開発)

 このスケジュールはあくまで1つの類型だ。田口さんを例に出せば、6時ごろに起床して朝食の前に2時間ほどプログラミングしていた日もあった。13時から16時までの間に、「頭をすっきりさせる」「1人で考えたい」などと、2時間ほど昼寝していたのも田口さんだった。

 とても自由だ。しかし、レビューの時間になるとお互いのサービスやプロダクトについて、厳しい質問が飛ぶ。「えー、それゲームなの?」「それじゃ、Google(の検索)からのアクセスはないな」「どうやってユーザーを集めるの? それで集まるの?」など、率直だ。とはいえ、決して暗い雰囲気にはならない。同じ技術者同士、気心が知れているのかもしれない。「それは○○タグを入れたほうがいい」「URLを動的にはきだして、画像もダイナミックに表示するといいかも」などとフォローが入る。

 中には、報告会の合間に開発が進まず、お気に入りのWebサイトやソフトを紹介してごまかす参加者もいた。ただし、それなりに面白かったりするので、筆者も「ゆるいな」とにやけつつ、役に立ちそうなWebサイトやソフトをメモに取った。

報告会で意見を交わす。左からブレイナーの本田さん、サイボウズ・ラボの秋元さん、サイドフィードの赤松さん

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