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目指せ! 組み込みエンジニア

第1回 組み込み技術を身に付けよう

柴原健次(イーソル
2007/12/14

さまざまな分野で活躍する組み込みエンジニア。一般的なシステム開発の分野から、組み込みエンジニアへの転身を図りたい、というエンジニアも多いでしょう。そこで本連載では、組み込みエンジニアの魅力、仕事、スキルなどを伝えていきます。もちろん、組み込み機器は広範にわたり、分野に求められるスキルやキャリアは異なります。よって、本連載で紹介できるのもその一部に過ぎません。とはいえ、組み込み分野に転身を図りたいエンジニアの参考になればと考えています。

■不足する一方の組み込みエンジニア

 薄型テレビ、DVDレコーダなど、さまざまなデジタル家電が登場するとともに、その高機能化も進んでいます。

 これらの中にはCPU(MPUという場合もありますが、ここでは便宜上CPUとしておきます)が組み込まれています。そのCPU上で動作するソフトウェアも組み込まれていることが多いのです。デジタル家電ではありませんが、例えば最近の携帯電話では、500万ステップを超えるソフトウェアが実装されているものもあります。

 最近では自動車も高機能化し、そこに搭載されているCPUの数が100個を超える高級車も出てきました。これらのソフトウェアの規模は、1000万ステップを超えるといわれています。

 組み込みソフトウェアの高度化、複雑化は今後も一層拍車がかかると思います。問題は、この組み込みソフトウェアを開発するエンジニアが不足していることです。

 さあ、ここであなたの出番かもしれません。お勧めする理由は、人手が足りないから、というだけではありません。これから広がっていくユビキタス社会を支える技術者として、大きくいえば、日本の、あるいは世界の夢を背負った仕事ができるチャンスをつかめるかもしれないからです。

■ユビキタス社会を支える組み込みエンジニア

 ユビキタス・ネットワークの世界の発展は、その末端を担う組み込み製品が高機能化し、より使いやすくなることが必須となります。つまりユビキタス社会の実現や活用の推進には、当然それらを開発する組み込みソフトウェアのエンジニアが必要になります。

 エンタープライズ系のシステム開発をされている読者の中には、組み込み製品の開発なんて眼中にないと思っている方も多いかもしれません。

 組み込み開発は、ハードウェアを意識したソフトウェア開発がいまだに主流なのは確かです。しかし、例えば携帯電話上に実装するソフトウェアにもあるように、ハードウェアをあまり意識せずに開発する案件も少しずつ増えているのです。そのため従来企業向けのシステム開発をしてきた会社が、組み込みのソフトウェア開発にも乗り出してきているそうです。

■オープン系/エンタープライズ系と組み込みが融合

 携帯電話をはじめ、ネットワークを前提とした組み込み機器は多数あります。そうした機器では、ネットワークやセキュリティ技術が非常に重要になります。また、データベースなどとの連携が必要な製品では、当然データベースに関する知識が必要とされます。

 つまり、エンタープライズシステム、特にオープン系のシステムで当然とされる機能が必要とされているのです。ですから、組み込み製品のスキルとオープン系の知識を両方持ったエンジニアが求められつつあるのです。

■プログラム開発はどのように行うか

 組み込みソフトウェアは、当然ながらハードウェア上で稼働しなければ意味がありません。それでは、組み込みソフトウェアの開発は、どのように開発しているのでしょうか。

 私が知っている現場(に限りますが)では、PC上でC言語などで開発することが多いようです。こうした開発体制は、オープン系のシステム開発ではおなじみの光景だと思います。エディタや開発ツール上で、普通にC言語などで開発し、それをコンパイルしたりビルドしたりと、ほとんど普通の開発と変わりません。ただし開発環境は、一般のシステム開発に比べると、一部を除きまだまだかもしれません。

 大きく違う点があるとすれば、デバッグを行うのに、実際にボードにソフトウェアを実装(転送するなど)したり、さまざまなエミュレータを使うなどして、PCと接続した状態で行うことが多くなることでしょうか。昔はソフトウェアをROMに焼き、それをボードにはめ込んでデバッグを行っていたこともありましたが、最近では、ROMをエミュレーションする装置などを含め、さまざまな装置が使われるようになっています。

 さて今回は、第1回ということで、組み込みの世界というものが、何となくぼんやりと分かっていただけたらと思います。次回は、組み込み技術者になるためには、どのような技術や資質が必要なのかを、お話ししていきたいと思います。

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