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IT業界の開拓者たち

第23回 アイダホのポテト王からパソコン王へ

脇英世
2009/3/6

第22回1 2次のページ

本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、IT業界を切り開いた117人の先駆者たちの姿を紹介します。普段は触れる機会の少ないIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の開拓者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

J・R・シンプロット(J.R.Simplot)――
マイクロン取締役

 アイダホ州のボイゼという町を旅していると、派手なクリーム色のリンカーンが走ってくるかもしれない。もしもそのナンバープレートにMR.SPUD(ミスター・ジャガイモという意味)と書いてあったなら、あなたはアイダホのポテト王J・R・シンプロットが乗車している車に出合ったのである。J・Rはジョン・リチャードのことだ。響きがいいからだろうか、J・R・シンプロットと呼ばれることが多い。J・R・シンプロットは、マイクロン(Micron)という半導体とパソコンの会社の実質的な支配者であり、帝王である。

 1909年、J・R・シンプロットはアイオワ州に生まれた。子どものころ、一家は西へ進んで、アイダホ州のサウスネークリバーのサウスバンクに居を構え、付近の土地を開墾した。つらい生活であったに違いない。14歳のとき、J・R・シンプロットは家出をして、学業も放棄した。8年生で勉強をやめたことになっている。

 J・R・シンプロットは、才覚に富んだ子どもであったらしく、市場でやせた豚を安く買った。食べるために買ったのではない。J・R・シンプロットは大きなボイラーを手に入れて、これに屑ポテトや、砂漠で仕留めてきた野生の馬の肉を放り込んで煮た。このボイラーのおかげで、過酷な冬を越すための飼料を大量に準備できた。翌年の春、豚は肥え太り、市場で7000ドルで売れた。1920年代ということを考えれば、7000ドルは大金である。10代でJ・R・シンプロットは一身代を築き上げた。

 J・R・シンプロットは、次にポテトの自動選別機を購入した。この自動選別機を持ったことにより、アイダホ州でのポテトの高速選別市場を独占し、大もうけをした。

 1940年31歳のとき、カリフォルニアに旅行したJ・R・シンプロットは、果物の乾燥機を見つけてこれを買い込み、乾燥ポテトを作った。第二次世界大戦が始まると、J・R・シンプロットは陸軍の食糧用に乾燥ポテトを売り込み、しこたまもうけた。目端が利いて機械と新しいテクノロジを好む人物という印象を受ける。

 このころ、J・R・シンプロットは乾燥ポテトの製造過程で大量の屑ポテトが出るのに着目し、これを家畜の飼料用に使えないかと考えた。そこで家畜の飼料製造会社を設立し成功する。J・R・シンプロットの考えはそれにとどまらず、飼料があるなら、肉牛を育てることもできるはずだと思い至った。そこで肉牛の飼育会社もつくり、これも成功させた。現在、肉牛はコンピュータ管理で飼育されている。肉牛の飼育は必然的に農場に結び付き、J・R・シンプロットの農場は干し草やトウモロコシ、麦などの穀物生産にも手を伸ばして成功している。

 1960年代中期、J・R・シンプロットは冷凍ポテトの製造に成功した。これをマクドナルドにフライドポテト用として売り込んで大成功した。現在もマクドナルドの使用するフライドポテトの50%強は、J・R・シンプロットの冷凍ポテトである。これ以後、J・R・シンプロットは「アイダホのポテト王」として知られるようになる。

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の開拓者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

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