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幸せなITエンジニアを目指すためのヒント

第1回 技術を究めたかった私が、マネージャになったワケ

テイクウェーブ 竹内義晴
2008/1/16

苦労の連続。そこから抜け出すために

 転職先は中小企業で、大手企業のあるプロジェクトに参加していました。担当は24時間365日稼働の巨大システムです。絶対に止めることはできません。多くの時間がシステム構築以外のところに割かれました(いまでは、すべてがシステム構築の一部であると分かるのですが、技術を追究したかった当時の私にはそうは思えなかったのです)。しかも、大手企業における中小ソフトハウスの扱いは……。想像にお任せしますが、私にはとてもつらく感じられるものでした。

 「もっと技術力を上げ、システムを作り続けたい」との思いで転職したのに、興味の持てない仕事やプレッシャーばかりの毎日。ホトホト疲れ果て、潰瘍(かいよう)にもなり、「犬はいいよなぁ。しっぽ振ってればご飯もらえるんだから。それに比べておれは、何でこんなにつらい思いまでして仕事しなければならないんだろうか?」と、精神的にヤバイ状態にまで追い込まれました。「これなら前の会社の方が断然良かったな。またあいつと飲んで語りたいなぁ」と、転職したこと自体も後悔しました。

 家では子どもが生まれたばかりでしたが、妻は「そんなにつらいならもう辞めていいよ」といってくれました。それほど、つらい状況にありました。

 私は、何とかしてこの状況から逃げ出そうと考え始めました。「よし、独立しよう。独立して、仕事を選んで、作りたいシステムだけを作っていこう」。その思いは膨らみ、2004年、33歳のとき「独立するから会社を辞める!」と社長に告げました。けれども社長から、「独立してもいいけれど、どうせ最初は食えないんだろうから、もう少しここで仕事して、その間に独立の準備をしてみたらどうだ?」という温かい言葉をいただき、それに甘えることにしました。もし、その言葉がなかったらと想像すると、いまさらながらゾッとします。結局、形だけの独立になりましたが、独立したこと、これから自分の道を自分で切り開いていくことにワクワクしていました。

 独立したといっても、それまで営業をしたこともなければ、仕事のツテもありません。早く「本当に」独立できるように、名刺を作り、会う人会う人に配ったり、異業種交流会に足を運んだりしました。以前いたSI会社も何回か訪問しましたが、まったく反応なし。そこで私は、「自分で仕事を取るためには、何か資格とか、名前みたいなものが必要だ」と思い始めました。

資格取得の意外な効果

 そんなとき、ある雑誌で「ITコーディネータ」という資格があることを知ったのです。「これだ!」と思い、試験勉強を始めました。朝早く会社に行き、参考書とにらめっこでした。仕事がまったく取れない中、別の目標のようなものができたからか、毎日勉強するのも苦ではありませんでした。そして2006年、35歳のときITコーディネータに認定されました。資格を取ったうれしさから名刺を作り直し、「おれはITコーディネータだ! これでウハウハだ!」と思いましたが、悲しいことに営業的な変化はほとんどありませんでした(資格に関するあれこれについては、回を改めてお話ししたいと思います)。

 しかし幸いなことに、資格以外の大きなものを得ることができました。ITコーディネータの研修受講をきっかけにいろいろな会社のいろいろな立場の人と知り合いになり、多くの刺激を受けたのです。それまでは技術だ、システムだとばかりいっていたのが、経営層や営業、マネジメント層の人たちの話を聞く中で変化していきました。

 それまでは「あなたは営業、私は技術。営業は楽でいいよな、適当な金額で仕事を取ってくるだけ。実際に苦労するのは技術なんだから」とか、「上司は何もしないくせに数字だけ管理して無理難題いうし、しわ寄せは全部技術に来るんだよな」という、思い上がりのようなものがありました。それが「営業が仕事を取ってきてくれなければ、仕事自体できないんだな」とか、「上司も数字で縛り付けたいわけではないんだな」という考えに変わっていきました。自分が仕事を一切取れないという経験もあって、よけいにそう思えたのかもしれません。

 「技術は楽しい。システムを作りたい。どうしたら技術者として仕事をし続けられるのだろう? どこに行けば、思う存分仕事ができるのだろう?」と、ずっと青い鳥探しをしていました。しかしいろいろな人、いろいろな情報に触れるにつれ、自然と技術へのこだわりは小さくなっていきました。

ついに、避けていたマネージャになることに。しかし……

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