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今週のリーダー

第7回 メンバーをプロファイリングするための10個の軸


岑康貴(@IT自分戦略研究所)
赤司聡(撮影)
2009/3/16


北添裕己(きたぞえゆうき) ヘッドストロング・ジャパン ヴァイスプレジデント 兼 プロフェッショナル派遣カンパニー 代表 1966年6月24日、熊本県熊本市出身。上智大学理工学部電子電気工学科卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)でキャリアを積んだ後、2002年にヘッドストロング・ジャパンに入社。金融機関を対象としたビジネスコンサルティング部門の統括役員として、プロジェクトマネジメント業務で辣腕(らつわん)を振るっている。ITmedia オルタナティブ・ブログにて「トラパパ@TORAPAPA」を運営中。

開発現場の経験は大きな武器

 システムエンジニアとしての基礎経験を5年くらい積んだ後、マネージャになり、プロジェクトマネジメントに携わるようになりました。それと並行してコンサルタントとしてのコアコンピタンスを習得し、10年ほどたって、ようやくセールスターゲットも持たされ「売って、実行する」というコンサルタントになりました。ヘッドストロング・ジャパンには6年ほど在籍しています。事業戦略立案から、実行計画の策定、プロジェクトの立ち上げ、それ以降のフェイズでのプロジェクトマネジメントまで手掛けています。

 現場での開発経験はプロジェクトマネージャやITコンサルタントにとって強力な武器となります。コンサルティングは経営目線でものを考えます。その中で、各種戦略に含まれる指示それぞれについて、実務経験があれば「これは実現するのがかなり難しい」「簡単にできるものとして考えているが、できないかもしれない」などの判断ができます。そういう「危ない」ものは、そのまま進めてはいけません。これは実務経験がないとできない。

 戦略全体の中で、危険な場所を察知する「アンテナ」を張っておくことが重要です。もちろん、必ずしもやめる必要はありません。「不可能だから別の方法を考える」「苦労するから、覚悟して適切な人員配置やスケジュール調整が必要」など、バリエーションはいろいろあります。いずれにせよ、危険を察知して、それを関係者全員に知ってもらうことが必要。われわれはそういうことができないといけない。

 「作れないですよ、これ」というアドバイスに説得力を持たせるのは、実務経験以外あり得ません。

IT業界における「職人」と「よろず屋」

 ITの世界における、ものづくりの「職人」にあこがれている部分があります。現場での経験もありますし、いまでもある程度は開発仕事ができると思っています。

 最初は僕も「職人」だった。いまはその経験を生かして、今度はプロジェクトマネジメントやITマネジメントの「職人」になろうとしているのです。一方で、1つの技術領域ではなく、いろいろな技術領域を包括的に見ることができる「よろず屋」としての立場も求められます。

 よく「T型人材」といわれますよね。自分の得意分野を縦棒に見立てて専門性を深め、周辺領域を横棒に見立てて広げていく。僕はプロジェクトマネジメントという点で専門性を深め、IT全般や金融業界について少しでも広くカバーしていきたい。

  あるパターン、特定の環境では誰にも負けない、という「職人」になりたいなあ、と思っています。

「職人」と「よろず屋」の割合

 誰でもみんな、「職人」の部分と「よろず屋」の部分を持っています。「100%職人」ですとか「100%よろず屋」という人はいません。どちらの方がどれだけ大きいかという割合があるだけです。

 「自分は職人肌で……」という人であっても、プロファイリングをしてみると、実はゼネラリストの特性があるというケースはよくあります。当人の希望や表面上のパフォーマンスで評価するのではなく、将来性やポテンシャルを見抜いたうえで人員配置を考えなければいけません

 これを怠ると、与えたポジションでパフォーマンスを発揮できない可能性が高まります。だからこそ、個々人のプロファイリングが必要なのです。「歯車扱い」でパフォーマンスが上がる時代ではないので、「昔はこうだった」なんていっても仕方ありません。

 これは人の「組み合わせ」にもいえます。どんなに優秀な人同士でも、相性が合わないと、かえってパフォーマンスが悪くなる。ほかにも特殊な例として、大きなプロジェクトでは「プロジェクト内恋愛」がよく起きます。変ないい方かもしれませんが、これは有効活用しないと。お互いが良いパフォーマンスを出すようになってくれるのなら、いくらでも恋愛してもらって構いません

「CONSULTANT」の10個の軸でメンバーをプロファイル

 チームメンバーのプロファイリングでは、10個の軸を基に分析します。10個の軸はコンサルタント(CONSULTANT)の頭文字にこじつけて作っています

  • Courteous(礼儀、礼節)

  • Originality(独創力)

  • Neutral(中立性、客観性)

  • Specialty(専門性)

  • Usable(実現可能)

  • Leadership(統率力、リーダーシップ)

  • Technique(技術力、テクニック)

  • Attractive(魅力)

  • Notable(著名)

  • Timely(適時性)

 これを1人1人に当てはめます。その際に注意しているのは、数字で定量的に判断するのではなく、文章で定性的に分析すること。数字の評価は簡単でよいのですが、それは報酬のための評価のときだけでよいのではないかと思っています。必ずしも相対的に評価する必要はありません。その人の「良さ」を見抜きたいだけなのですから。

 1人につきエクセルシート1枚分でプロファイルシートを作成しています。いま僕はプロジェクトマネジメントのサポート業務がメインですが、プロジェクトチームは大体20〜30人がキーパーソンなので、その人数であれば十分プロファイルできる分量です。

 どんなに大きな仕事でも、逆にどんなに小さな仕事でも、プロファイルは徹底しています。お客さんや関連するベンダの人たちなど、関係者全員について、必ずプロファイルを実行します。

 プロファイルの結果から、やり方や接し方を決めて人を動かすと、メンバーは心地よくコントロールされている状態になります。お願いも素直に聞いてくれるし、こちらが忙しいときは、メンバー個々人が「自分はこういうことを求められている」ということを理解し、自発的に動いてくれるようになります。

成功したらラッキー、失敗したら一度だけ徹底的に分析

 仕事で良い評価を得たとき、顧客満足でも給料でも何でもそうですが、全部「運が良かった」と考えるようにしています。論理的に「こういうところが良かった」と振り返ることはしないようにしています。成功要因は分析しない主義です。

 その代わり、悪い評価や失敗は、「二度と振り返らないために、一度だけ一生懸命、原因分析する」ことにしています。「明日、会社行きたくないなあ」と思うくらいまで1回落ち込んで、「なるようにしかならない。反省おしまい。明日からリスタート」と切り替えているんです。

 自分の本当の性格は、いくらでもマイナス思考に陥っていってしまうタイプ。追い込まれるとどんどん落ち込んでしまうので、悪いことが起きたときは、「徹底的に落ち込む。ただし1回限り」とするように意識的に考えています。

 良かったときは調子に乗らない。成功要因を分析してしまうと、失敗したときに、成功要因と失敗要因をそれぞれ見比べて……というふうになりますよね。それだと、落ち込む時間が長引いてしまうような気がするんです。だから「うまくいくときはいくよね」「なるようになるさ」と、楽観的にとらえることが大切なんです。

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