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今週のリーダー

第15回 不可能を許さない超戦略的リーダー


唐沢正和
岩井玲文(撮影)
2009/5/18


渡辺信明 (わたなべのぶあき) グローバルウェイ 取締役 1978年生まれ、栃木県出身。2001年通信系システム開発会社にシステム・エンジニアとして入社。通信・航空系のミッションクリティカルシステムの設計、開発に従事する。2003年に外資系ソフトウェア会社に移り、システム・コンサルタントとして大型M&Aに伴うシステム統合や製造業のグローバル生産管理システムの構築など、多数のプロジェクトを成功に導く。2005年グローバルウェイの設立に参画し、取締役に就任する。

31歳――SE、コンサル、取締役という経歴

 代表取締役の各務正人と一緒にグローバルウェイを立ち上げたのは2005年10月です。それから3年半近くがたちますが、現在は、エンタープライズ・ソリューション事業とインターネット・メディア事業を軸に、少数精鋭の筋肉質な組織で順調にビジネスを拡大しています。

 その中でわたしの役割は、取締役として、2つの事業シナジーを最大化する戦略と戦術を考えること。そして、兼務しているエンタープライズ・ソリューション事業の事業部長として、新たなビジネスモデル、サービスモデルを開発し、事業を執行、拡大していくことが大きなミッションです。

 まだ世に認められていない価値にこそ、わたしたちのビジネス機会があります。そのために現在は、欧米の先進企業との技術提携に力を注いでいます。これは恥ずべきことでもありますが、ITの技術革新の世界では今日でもやはり欧米が一歩先を行っています。まだ日本に進出していない、将来性のある最先端技術を持つ海外企業と提携し、共同開発した製品でともに日本市場を開拓していくことで、将来的な自社サービス開発のための技術ノウハウの蓄積とキャピタルゲインの獲得を目指します。

 ここでは、外資系企業でシステムコンサルタントをしていた前職の経験と人脈が非常に役立っています。外資系企業ではM&Aや技術提携が活発でしたし、世界を舞台に活躍する前職の仲間たちの中には、同じように新しい企業を立ち上げたり、有力企業の役員になっている方がいるので、そうした人脈がいま進めている国際提携戦略の支えにもなっているのです。

 さらにさかのぼれば、外資系企業に転職する前、新卒で入社した国内大手通信グループ系のSI企業でエンジニアとしての経験を積んだことも、大きな財産です。各種研修システムをはじめとしたキャリア支援制度が充実した日系企業で、腰を据えて技術習得に励むことができましたし、公共性の高いシステムの開発に多く携わることで、いまでは日常生活の裏にあるITの仕掛けがおおよそ見えます。こういった技術的洞察力の礎となっているエンジニアとしての経験は、新たなビジネスを構想すための原動力になっていますね。

自分のキャリアには「まじめに腹黒い」

 もともと上昇志向が強く独立意欲が高いわたしは、学生時代からいつかは自分が経営陣の1人として会社を立ち上げたいという志を持っていました。実は、エンジニアの道を究めるためにSI企業に入社したわけではないのです。新しいものが大好きで常に変化を好むわたしには、ネット業界のように変化と革新に富んだ業界が向いています。ですから、就職活動の際は、ネットバブルが崩壊した直後ではありましたが、まずはネット系のベンチャー企業への入社を目指し、複数社から内定を得ていました。ただ、あるとき、ベンチャー企業に新卒で入社することのメリットに疑問を抱き、考えを改めました。大手のSI企業に新卒で入社すれば、しっかりとした研修を受けることができ、確実に技術力を身に付けることができます。また、大手企業でしか接することができない顧客層との人脈も構築することができます。さらに、大手企業ならではの社内政治の在り方や、伝統的な巨大組織を動かすための制度やマネジメント、およびリーダーシップについても学習しておく必要があると考えました。ベンチャー企業に入るのは、もう少し後でも遅くはないし、その前にしっかりとしたITの基礎技術と会社の仕組みを学び、社会勉強をした方がよいと考えたわけです。

 その意味でわたしは、自分のキャリアに対して、非常に戦略的なプランを練ってきました。エンジニアとしての能力は、自分のビジネスを構想するためのツールの1つです。この点は、一般的なエンジニアの方とは根本的に考え方が違っているのかもしれませんね。

 新卒でSI企業への内定を得たときにも、それだけでは満足せず、どうしても海外で働きたくて、直接カリフォルニアの支店長に直談判にいったほどです。結局、海外支店への配属はかないませんでしたが、外資系企業とのアライアンス事業を推進する部署に配属され、そこで学んだ国際感覚や欧米の技術トレンド、および日本へのローカライズにおける課題は、現在でもビジネスの糧になっています。

 もちろん、日系企業から外資系企業への転職には不安もありました。安定した大手グループ企業から、能力主義の外資系企業に移るわけで、自分の中で大きな決断が必要でした。とはいえ、アライアンス事業に携わることですでに外資系企業で働くコンサルタントとの人脈を築いていたわたしにとっては、転職後の自分のイメージがはっきりと可視化できていました。また、典型的な日系企業と外資系ベンチャー企業という、いわば対極にある組織で経験を積むことで、確実に自分の視野を広げることができると確信していました。転職に当たっては、当時は日本人初となるベンダ資格を取得したりと、戦略的に自分の色を付けることで転職を果たしました。入社してみると、日本法人でわたしは最年少であることが分かりました。

“公私融合”という生き方

 こう振り返ってみると、わたしは常に自分に課すハードルを高く設定してきました。それは、いまも変わりません。わたしの信念の1つに、自分にとって不可能なことは身の回りには起こらないという考えがあります。どんな困難な障害でも、そこから逃げない限り、必ず乗り越えられると信じています。だからこそ、いまの現状に満足せず、さらなる刺激を求めて常に背伸びをして、そこに挑戦し続けることができるのだと思います。

 グローバルウェイを立ち上げ、20代でリーダーの立場になることも、自分にとっては大きな挑戦でした。わたしは、恥ずかしがり屋で、人前で話すことも得意ではありません。ただ、自分の殻を破る快感を知っているわたしは、いまではリーダーという役割を、自分の中で消化し、楽しみながら演じることができていると思っています。

 確かに、会社を背負う立場として、1つ1つの判断が従業員の生活や家族をも左右しかねないというプレッシャーには非常に大きなものがあると思います。しかし、それは決してネガティブな要素ではなく、多くの人を巻き込み、自分がプラスのインフルエンサーになることができるということが、リーダーとして日々の高いモチベーションにつながっています。

 これは、リーダーの素養とは少し異なるかもしれませんが、私は“公私融合”をモットーに仕事に取り組んでいます。仕事とプライベートを完全に切り離すのではなく、うまく融合して、互いに良い影響を与えようという考え方です。例えば、人脈。仕事も私生活も、人と人とのつながりは最も重要で、そこには公なのか、私なのか区別ができない領域もあります。であれば、無理に区別せずに、公私のバランスをうまく取って、良い関係を築いた方がメリットは大きいはずです。また、経験値を得るための機会獲得という意味においても、私は公私を明確に区別せずに、ニュートラルな立場で臨みます。お金も時間も、自分への投資は惜しみません。最新のデジタルデバイスを実際に自分の手で試したり、話題のレストランにいろいろな人と出掛けたり、さまざまな土地に旅行をしたり。ビジネスにおいて生み出される新しい発想のほとんどは、プライベートにおける消費者としての経験に基づいています。ある意味「現場感覚」ともいえるこの“公私融合”というモットーは、リーダーになったいまでも大切にしています。

いまこそ1歩踏み出す絶好の機会

 メディアの報道によると、いまの若者には起業したい、さらには出世したいという意欲すら低いらしいですね。挑戦するライバルの出現が少ないということは、挑戦し続ける私たちにとっては幸運ともいえますが、これでは競争による革新が社会全体として失速してしまいます。

 100年に1度の構造革命が起きているいま、“安定”の定義は変化しています。これからの安定には、企業も個人もいかに変化に対応できる能力を備えているかが鍵です。いまの若い世代には、まだ、サラリーマン社会の徹底的な擦り込みを受けてきた人が多いかもしれませんが、安定的に見える既存のレールから1歩踏み出すことを恐れていては、どんどん“不安定”になってしまいます。

 わたしは実家が自営業だったので、保守的な擦り込みはありませんでした。そのため、常に先を考え、新しいものに挑戦していく意欲が生まれたのかもしれません。

 大きな変革の中にあるいまこそ、リーダーになって成功できるチャンスだと考えています。10年後、新しい社会システムと経済環境が整えば、そこにはまた新しい成功へのレールができるでしょう。

 自分のためにも、日本のためにも、いま、この時代にリーダーシップを発揮し、自分の殻を破って、新たな一歩を踏み出す人がもっと増えることが重要なのではないでしょうか。

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