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今週のリーダー

第23回 事業立案から開発まで。グリーのリーダーは全部やる


岑康貴(@IT自分戦略研究所)
赤司聡(撮影)
2009/7/13


吉田大成(よしだたいせい) メディア開発部 副部長 兼 プロデューサー 1980年8月12日、岐阜県出身。名古屋工業大学大学院工学研究科修了。2005年04月、ヤフー入社。CGMサービスの企画・開発を担当し、新規サービス立案からUSサービスのローカライズまで幅広く従事。2006年10月、グリー入社。現在は、GREEのSNS連動型ゲーム『釣り★スタ』『探検ドリランド』の事業責任者として、予算管理業務、ロードマップ策定、企画、開発、運用、分析までサービス全般を担当している。

グリーのエンジニアは「プロフェッショナルの集まり」

 2005年にヤフーに新卒で入り、HP作成やブログ、SNSなどのサービスの企画・開発や、新規サービスの立案、サービスのローカライズなどを担当しました。

 転職のきっかけは、1からサービスの立ち上げをやってみたくなったことです。そこで、2006年にグリーに転職しました。ちょうど入社してすぐに「EZ GREE」の立ち上げに参画しました。

 現在、グリーのエンジニアは「メディア開発部」と「プラットフォーム開発部」に分かれています。前者は運営サービスの企画・開発・運用を、後者はサーバやミドルウェアなど共通基盤を担当しています。メディア開発部はいくつかのグループに分かれていて、そのうちの1グループをリーダーとして担当しています。

 グリーのエンジニアは、キャリアパスが人それぞれ。純粋に技術だけを追いかけるピュアなエンジニアもいますが、企画もやるプロデューサー兼エンジニアや、Flashクリエイター兼エンジニア、という人もいます。このようにそれぞれ得意分野が異なりますが、そんなエンジニアたちが共に働ける環境があり、また全員がその分野でプロフェッショナルであり続けることを目指しています。

「より多くの人に使われるサービス」を作るために

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 わたし自身、企画や事業計画から開発まで、全部やります。もともと「より多くの人に使ってもらえるサービスを立ち上げたい」という想いがありました。究極の目的はそれなので、企画も開発もすべて、目標を達成するためのプロセスだと考えています。サービスを運営するのなら、どこかだけやればいいというわけではないと思うんです。企画だけやればいいとか、開発だけやればいいとかじゃない。全部できるようにならないといけない。

 グリーに入社して、いくつかのWebサイトやサービスの立ち上げと運営に携わった後、「釣り★スタ」の企画を立ち上げました。モバイル版に注力し始めたときにユーザー数が一気に増えたことで、もっと手軽で分かりやすく、誰もが興味を持てるサービスを作らなければならないという結論に達しました。ゲームの要素を盛り込んだのはそれが理由です。そこを入り口に、多くの人にGREEを使ってもらえたらと考えました。

 何のゲームがいいだろう、ということを考えたとき、みんながすぐ分かって、興味のある人が多いものがいいだろうと。それならRPGや格闘ゲームではなく、もっと日常に寄り添った、例えば「釣り」のようなテーマがいいのではないか。釣りゲームにしたのは、そういう考えがあってのことです。

 1人で事業計画を考えて、田中(同社 代表取締役社長の田中良和氏)にプレゼンテーションをしました。プロジェクトとして承認を得て、わたしを含めて3人で開発をしました。2007年の2月にスタートして、5月にはリリースしましたから、3〜4カ月で作ったことになりますね。

 ヤフー時代はパソコン向けのWebサービスが中心でしたから、GREEのモバイル向けWebサービスの開発は初めてで、ものすごく苦労しました。開発自体もそうですし、ユーザーのリアクションのスピードが非常に早いことにも驚きました。

 事業計画を考えるのは初めてだったので、とても苦労しました。面白いサービスだから作り始めるというだけではなく、サービスの成長とビジネスモデルの2つの観点を長期スパンで思い描くことが非常に大切だと思っています。それが、GREEをより多くの人に使ってもらうことにつながってきます。また、利用してくれたユーザーに安心して長期的に使ってもらうためにも、サービスを長期で提供することが僕らの使命であると考えています。

 企画と開発、どっちの方が好き、ということはありません。良いサービスを作ることが好きなので、その中に両方とも含まれています。

メンバーのキャリアパスを意識する

 Webサービスは「リリースして終わり」じゃない。運営していって、改善していかないといけない。同じサービスを2年も3年も見続けることになります。いくらでも良いものを求め続けられるわけですが、終わりがないのは良い面ばかりではありません。どこかで切れ目がないと、なかなかモチベーションが続かないことがあります。

 自分自身だけでなく、チームメンバーにとってもこれは同じことです。だから、「いま自分が何をやっているのか」を常にメンバー間で共有するように心掛けています。明確なビジョンを持って、ゴールまでのプロセスを明確にし、自分がその道のりのどこにいるのか、何をやっているのかを共有します。そうすることによって、終わりがないWebサービスの運営にメリハリを持たせ、メンバーのモチベーションが保てるようになります。

 もう1つ、リーダーとして気を付けているのは「メンバーにも自分のキャリアパスを意識してもらう」こと。グリーのエンジニアは、エンジニアだけをやっていればいいわけではありません。キャリアパスは人それぞれなので、その人ごとのキャリアパスをきちんと考えて、新しい仕事をアサインするようにしています。そうすることによって、個々人にも自分のキャリアパスを意識してもらっています。

技術力も企画力も尊敬されるリーダーを目指す

 一方で、エンジニアのリーダーというのは、普通のリーダーとは違って「マネジメント能力」だけでは難しいと思います。エンジニアは自分のポリシーを持っている人が多い。そういう人たちをまとめていく立場になるので、リーダーはいちエンジニアとしても尊敬されないといけない。特にグリーのリーダーは、技術力でも尊敬されて、企画力でも尊敬されることが必要とされていますね。

 昼はマネジメントの仕事が多くなってしまいがちなので、技術力は夜や休日に磨きます。企画力に関して気を付けているのは、「Webサービスだけ見ていればいいわけじゃない」ということです。わたしたちが作っているサービスはWebサービスではありますが、あくまで「多くの人に使ってもらうもの」を目指しています。だから、世の中で多くの人が使っていたり、見たり聞いたりしているものを幅広くチェックしないといけません。テレビ、雑誌、電車の中づり広告。ゲームや遊園地もそうですね。自分で実際に使ってみたり行ってみたりして、「なぜ多くのユーザーに求められているのか」を探ります。

 「ユーザーから求められるもの」に垣根はありません。Webだけを見ていればいいわけじゃないんです。Web以外でも、根底に共通するものはあるはずです。

Wikiを使ってKPTで振り返り

 メンバー間のコミュニケーションは本当に大切です。エンジニアの席にはパーティションがないので、何かあればすぐ話し合いつつ開発したり、ペアプログラミングをしたりしています。

 また、週に1回、チームの定例会議で振り返りを行っています。KPT(Keep:継続したいこと、Problem:問題だと思うこと、Try:挑戦したいこと)のフレームワークを使ってメンバー間で共有するやり方で進めています。良かったことや問題点を共有すると、「チーム」であることを意識しやすいという効果があります。

 KPTはWikiベースで行っています。定例会議の時間までに各自に書き込んでもらって、定例会議の場で発表してもらいます。事前に準備してもらうことによって、個々人に発言を無理なく促せます。

ライバルと切磋琢磨できる職場

 今後は担当サービス以外に、GREE全体の中長期の戦略にもかかわっていきたいですね。GREEを日本で最も使ってもらえるコミュニティメディアに育てて、ゆくゆくは世界へと拡大していきたい。そのために「当たる」サービスをどんどん作っていきたいです。企画も、事業立案も、開発も、すべて自分で手を動かしつつ、です。でも、サービスが増えてくると少人数では回せなくなっていくので、サービスの責任者をどんどん育てていきたい、というのも今後挑戦したいことの1つです。自分を超える人を育てたい、というとちょっと大げさですが。

 もちろん、一技術者としても常に成長していきたいです。市場にインパクトを与えるような「すごいもの」をどんどん作っていきたい。副部長という役職の仕事をきちんとこなしつつ、自分でもどんどんサービスを作っちゃう、というスタンスでやっていきたいと考えています。

 社内には優秀なエンジニアが多いので、すごく刺激的です。特にSNS連動型ゲームの「踊り子クリノッペ」を作った荒木(同社 メディア開発部 副部長 兼 プロデューサーの荒木英士氏)は良いライバルですね。

 荒木のようにすごいと思える人たちが社内で身近にいるからこそ、自分も負けていられないと刺激を受ける。すごくいい環境で仕事ができていると思います。これからも切磋琢磨(せっさたくま)してやっていきたいですね。

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