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ITコンサルタントが語る! 世界の現場から

 

第4回 海外プロジェクト、「最初は逃げるように帰国」

アビーム コンサルティング
マネジャー 松原悟
2008/6/20

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ITコンサルタントの活躍の場は、日本だけではなく各国にも広がっている。本連載は、主に海外で活躍する日本人のITコンサルタントが、海外のプロジェクト事情などを、リレー方式で伝えていく予定だ。あなたの将来の活躍の場も、そこにある?

 1998年12月22日、クリスマス目前のシカゴ。氷点下。雪の降る中、私はオヘア国際空港から日本への帰途に就いた。アビームコンサルティング(当時デロイト・トーマツ・コンサルティング)の米国On the Job Training (OJT) Programに参加していた私は自分のふがいなさに失望。ほかのOJT参加者に先んじて帰国し、日本で一から出直すことを決めた。それから約9年が経過した2007年9月9日、私は再び米国の地を踏んだ。ロサンゼルス国際空港。青空。ここから私のリベンジが始まる、はず!?

■帰国子女/海外留学経験者でなくともチャンスがある

 皆さんは「ITコンサルタントが語る! 世界の現場から」の3回までをどのように読まれましたか? 「海外のプロジェクト、面白そう」「私も海外で活躍できるコンサルタントになれるよう頑張ろう」などいろいろな感想を持たれたと思いますが、「海外で活躍できるコンサルタントにはなりたいけど、筆者の経歴を見ると『外資系コンサルティングファーム勤務』『英語はネイティブ並み』『MBA保持』と全員が海外勤務をするうえでプラスとなるバックグラウンドを持っているじゃないか。結局、一部の限られた経歴の社員だけが海外プロジェクトに関与しているだけでは?」と思った方も多かったのではないでしょうか? 

 確かに帰国子女/海外留学経験のある社員の海外勤務のチャンスを得る機会が、そうではない社員よりも高いのは事実だと思います。ただ、海外に拠点のない日本企業を探すこと自体が難しくなって久しく、海外拠点をカバーするグローバルプロジェクトが増えているいま、その事実は変わりつつあります。

 グローバルプロジェクトが珍しかった私の入社当時(約10年前)とは異なり、現在はグローバルプロジェクトの数自体が増え、その規模も大きくなってきており、必要とされるコンサルタントの絶対数も確実に増えています。そのような環境の中、帰国子女・海外留学経験のある社員だけをグローバルプロジェクトに配属していたのではプロジェクトメンバーの数を充足することが難しくなってきており、いままでグローバルプロジェクトにアサインされる機会が少なかったメンバーにも、本人の経験とやる気次第でチャンスが巡ってくることが多くなってきているのです。

 さて、冒頭のイントロダクション。本当の話です。私は、アビームコンサルティングが当時行っていた米国OJTになぜか選ばれ、オクラホマ州第2の都市タルサ(Tulsa)のプロジェクトに1人で放り込まれることになりました。しかし、「新人研修直後に渡米し、実務経験がまったくない」「ビジネス英語ができない」というハンディを乗り切ることができず、逃げるように帰国したのでした。

 そんな私ですが、いまはアメリカ西海岸のプロジェクトで働いています。このプロジェクトは、日本の食品メーカーのアメリカにおける拠点に対して、購買・製造・販売・会計の各業務分野にERPシステムを導入するという、いわゆる「ビッグバン」プロジェクトです。プロジェクトメンバーは総勢約30名、メンバーの国籍は日本、アメリカ、インド、パキスタン、フィリピン、韓国、中国と多岐にわたっており、プロジェクトの公用語は英語ですが、プロジェクトルームには時おり中国語やヒンディー語が飛び交います。

 その中での私の役割は、販売業務分野を担当する販売チームのチームリーダーです。チームメンバーは7名。日本国籍3名、インド国籍2名、米国籍1名、韓国籍1名の混成チームで、プロジェクトの中ではメンバーが一番多いチームです。

 「昔とは違う自分」を自慢するのがこの記事の趣旨ではありません。帰国子女/海外留学経験者ではない社員に対してもグローバルプロジェクトに関与するチャンスが大きくなってきている、そして本人の希望どおりにグローバルプロジェクトにアサインされる実例も実際に存在する、ということを皆さんに知っておいていただきたかったのです。

■再渡米までの道のり

 US-OJT Programから帰国後の約6年間は、製造業のクライアントに対するシステム導入プロジェクトに販売物流分野担当として一貫して参画し続け、チームメンバー、サブチームリーダー、チームリーダーと任される範囲は広がっていきました。日本国内プロジェクトのみのアサインでしたが、それなりの結果を出せるようになりました。

 機会が巡ってきたのは約3年前、現在の西海岸プロジェクトの1つ前のプロジェクトでのことでした。日本、シンガポール、マレーシア、中国、チェコに工場がある製造業のクライアントに対し、販売物流部分のシステム導入などを目的としたグローバルプロジェクトでした。プロジェクトの主拠点は日本でしたが、クライアントとアビームの双方が各拠点からメンバーを出し、お互いの拠点に出張し合いながらプロジェクトを推進していました。私もプロジェクト関与中にシンガポール、マレーシア、中国へ何度となく出張し、海外でグローバルプロジェクトを肌で感じることができたのでした。そして、6年間の日本国内プロジェクトでの経験と、約3年間のグローバルプロジェクトでの経験が評価され、現在の西海岸プロジェクトにアサインされることになったのです。

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