@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(6)
『株式会社という病』をいやす
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/7/22
■知性のあり方
株式会社を経済活動といい換える。もっと簡単に、日々の仕事と言い直す。人と仕事とは切り離せない。人は仕事をしないではいられない。さらにいえば、仕事をするということと、生活をするということは同列で論じられる。つまり、「株式会社という病」とは「人の生活を危うくすること」であるといえる。
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株式会社という病 平川克美著 エヌティティ出版 2007年6月 ISBN-10:4757121989 ISBN-13:978-4757121980 1680円(税込み) |
知性の欠如が「株式会社という病」の病根の1つであるとこの本には書いてある。知性とは何か。知性とは、自分が「何を知らないかを知っている」ところにその本質がある。その知性が、現代の日本では欠如している。どのように欠如しているのか。
梅田望夫氏や小飼弾氏というインターネットで大きな影響力を持つ人たちがいる。彼らの発言に表象される「知性のあり方」の議論に平川氏は異議を唱えている。「膨大な情報の蓄積」を「知の集積」と読み替えて議論を展開していることに違和感を感じている。
「一円をいくらたくさん集めてもお金以外のものにはならないように、情報をいくら集積しても、それは量の増大に過ぎない。それを『知の集積』と読んでしまうところに、テクノロジー信仰の根本的なあやうさがある」(『株式会社という病』p.163)。
さらにこうも書く。
「(中略)『ウェブ進化論』の作者に欠けているものは、自分の言葉というものが届く範囲、自分の理論というものが有効な範囲というものに対する配慮であり、思想の節度というべきものであろうと私は思う」(同書p.233)。
知識を積み重ね、合理的に思考しながら日々の仕事を行ってきた人々の中には、知性が徹底的に欠如している人たちがいる。つまり、彼らには自分が属する世界の枠組みの外に違う世界が存在していることへの配慮、想像力がないのである。
例えば、教育の問題。ビジネスで成功した人が、優秀なビジネスマンの育成には、子どもに対する教育が急務であると意見を述べる場合がある。しかし、
「利潤を効率的にはじき出すという明確な目的達成のための場で起こる問題と、利潤とはそもそも何かと考える教育現場で起こる問題とは、問題の在り処が違うのである」(同書p.234)
「問題の在り処が違う」。このことに気付くかどうか。知性の有無が問われる(鯖)。
| 本を読む前に | |
| 新人が知らない会社の常識 (@IT自分戦略研究所) | |
| 正当に評価されないので、会社辞めます (@IT自分戦略研究所) | |
| 会社に行くのが怖い。どうしたらいいの? (@IT自分戦略研究所) | |
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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ バックナンバー
- 第1回 『コンサルティングの基本』を読む
- 第2回 『格差と希望』を読む
- 第3回 『世界一やさしい 問題解決の授業』に学ぶ
- 第4回 『地頭力を鍛える』と頭がよくなる
- 第5回 『1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術』
- 第6回 『株式会社という病』をいやす
- 第7回 『波乱の時代』(上)を読む
- 第8回 『波乱の時代』(下)も読む
- 第9回 勝間和代さんの本でビジネス頭を鍛える
- 第10回 仕事ができる人=「効率」を無視する人
- 第11回 『HotPepperミラクル・ストーリー』を読む
- 第12回 『中堅崩壊』の救いをイタリア企業に求める
- 第13回 『モチベーションエンジニアリング経営』
- 第14回 『会社はだれのものか』を読む
- 第15回 『ウチのシステムはなぜ使えない』
- 第16回 『戦争の経済学』
- 第17回 ワインの品質を導き出す方程式
- 第18回 仮説=未証明だが最も正解に近い答え
- 第19回 勉強するための仕組みづくり 実践編
- 第20回 “レバレッジ”をかける英語勉強法
- 第21回 「働く」という行為の意味
- 第22回 『こんな日本でよかったね』を読む
- 第23回 「ウェブ社会」の生き方
- 第24回 分かりやすく話す5つのコツ
- 第25回 ご機嫌な職場のつくり方
- 第26回 『いま、働くということ』を読む
- 第27回 「パズル面接」を乗り越えて
- 第28回 コーチングは「傾聴」「質問」「承認」
- 第29回 ロジカル・シンキングの初歩
- 第30回 ファシリテータの特殊なスキル
- 第31回 論理的な人はこう考える
- 第32回 学歴と職業人生
- 第33回 『財務マネジメントの基本と原則』を読む
- 第34回 仕事ができる人の「先読み力」
- 第35回 優秀なプロマネと深い人間理解
- 第36回 プランニングのコツ83コ
- 第37回 できる大人の社会常識
- 第38回 会社に言論の自由はない
- 第39回 3年で辞めても若者は元気だ
- 第40回 『日本経済に関する7年間の疑問』を読む
- 第41回 齋藤孝と梅田望夫の私塾
- 第42回 『少数精鋭の組織論』を読む
- 第43回 デキる社員はプロセスを大切にする
- 第44回 こうすれば凡才でも秀才に勝てる
- 第45回 部下に好かれるのはこんな人
- 第46回 グーグル村上氏の英語勉強法
- 第47回 自分自身のやる気を信じてはいけない
- 第48回 転職と居心地の悪い職場の関係
- 第49回 人間はビジネスをする動物
- 第50回 理解しにくい若者を理解する努力
- 第51回 ロジックをめぐる冒険
- 第52回 考えるための道具
- 第53回 『売れ顔の法則』を読む
- 第54回 これがWebプロデューサーの仕事
- 第55回 職場のメンタルヘルス、30代のストレス要因
- 第56回 論理思考と感性思考をバランスよく
- 第57回 頭の中の交通整理とパワーポイント
- 第58回 自分の「脳」をどんどん外に出す
- 第59回 大人になれないわたしたち
- 第60回 地獄への道は善意で舗装されている
- 第61回 プログラミングでメシを食う
- 第62回 数字が読めると世界の見え方が変わる
- 第63回 自分と無理めの契約を結ぶ
- 第64回 コンピュータ・イン・ザ・クラウド
- 第65回 竹中平蔵と4つの勉強
- 第66回 プロマネは 一日一句で 磨かれる
- 第67回 整理整頓の仕組み化
- 第68回 「すぐやる人」と「結局やらない人」
- 第69回 メディアは嘘をつく
- 第70回 いまの日本ができるまで
- 第71回 プロジェクトマネージャ 吉田兼好
- 第72回 『日本語が亡びるとき』を書評した人々
- 第73回 働く妹たちへ
- 第74回 部下を暗闇から救い出す
- 第75回 リーダーの器
- 第76回 検索社会とクウキの支配
- 第77回 テクノロジが「21世紀の三河屋さん」を実現する
- 第78回 論理的であることの鉄則
- 第79回 わかりやすい話し方の訓練
- 第80回 難しいベストより、できるベターを
- 第81回 働く女は「戦わずして勝つ」
- 第82回 元財務官 榊原英資氏の50の勉強方法
- 第83回 英語学習SNS「iKnow!」誕生の舞台裏
- 第84回 協業できない専門家に存在意義はない
- 第85回 茶番劇としての「就活」
- 第86回 あなたの命は月いくらか
- 第87回 現代に輝く、働かない人たち
- 第88回 逆境下のリーダーシップ
- 第89回 コンサルタントの3つの心得
- 第90回 脳のトラップと行動経済学
- 第91回 「自分なりのやり方」を見つけるために
- 第92回 充実した人生のために今日からできること
- 第93回 常識の正しさはだいたい50%
- 第94回 愛され社員は、人もチャンスも引き寄せる
- 第95回 女性がビジネス社会で勝ち残るための方法
- 第96回 UML7つ道具はこれで押さえる
- 第97回 5年後のIT市場観測
- 第98回 クラウドで生まれるもの、消えるもの
- 第99回 「社内の出世」を重視しない女性たち
- 第100回 法則で人生をショートカットする
- 第101回 仕事机に常備したいビジネスフレームワーク集
- 第102回 人生の決断には決断力よりも創造力がいる
- 第103回 要望フィルタリングの匠
- 第104回 勝負の行方は脳の鍛え方次第
- 第105回 「やる気の出ない」5月に働く意味を考える
- 第106回 リンゴ農家 木村秋則の仕事と奇跡
- 第107回 脳をリファクタリングせよ
- 第108回 脳の性質と効率的な記憶法
- 第109回 松下幸之助の知恵
- 第110回 1日を72時間にする方法
- 第111回 よい会議はきちんと設計されている
- 第112回 「教養」と「楽観」がコンテキスト思考を支える
- 第113回 仕切る力
- 第114回 素敵な会議の「タテ」と「ヨコ」
- 第115回 秩序はピラミッド型をしている
- 第116回 グーグル的な、あまりにグーグル的な
- 第117回 判断を下す日々
- 第118回 デジタル社会を上手に生きる
- 第119回 決める力
- 第120回 プロジェクトの修羅場を乗り越えて
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