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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(102)
人生の決断には決断力よりも創造力がいる

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/4/28

■最善の解は選ぶものではなく生み出すもの

必ず最善の答えが見つかる クリエイティブ・チョイス

堀内浩二著
日本実業出版社
2009年4月
ISBN-10:4534045468
ISBN-13:978-4534045461
1575円(税込み)

 上京、1人暮らし、就職、退職、転職、起業、結婚、帰郷、第二の人生……、わたしたちの人生は決断の連続である。あなたはこれまで決断に迫られたとき、どうやって決断を下してきただろう? 例えば、起業で悩んでいたら「起業するorしない(従業員)」、結婚では「結婚or独身」といったように二者択一で考えてこなかっただろうか? 著者はこれらを「二分的思考」と呼んでいる。つまり、「○か×」か、「白か黒」か、「YesかNo」かで考えることだ。だが二分的思考は、「私たちの視野を狭め、推論を限定」(『クリエイティブ・チョイス』、p.19)してしまう。ほかの選択肢の可能性やチャンスを見逃している恐れがあるのだ。悩んだときに二分的思考に陥るのではなく、「第三の解」「最善の選択・答え」を自分でつくり出せたらよいのではないか。著者は、一見「YesかNo」でしか答えられない問題で新しい選択肢をつくり出す、創造的選択の方法を提示している。

 本書には、悩んだときに最善の解を見つける方法として、創造的な選択を4つの原則にまとめられている。

・第一の原則「思い切って」かつ「個人的な」目的を立てる

 創造的な選択の核心は目的にある。「目的のためなら手段を選ばない」という言葉にあるように、目的が明確かつ強固であればあるほど、手段へのこだわりはうすれ、目的を達成するための選択肢は増える。その目的は、自分が情熱を注げるものであるほど、ゆるぎないものとなる。

・第二の原則「論理的に」かつ「直感で」選択肢を広げる

 第一の原則で定まった目的を基に選択肢をつくり出す発想法を紹介している。自分のWantとそれが満たされたときのFeelを書き出し、そこから目的達成のための手段を導き出す「The Want List」、目的から手段を考えおろす「ロジックツリー」など。さまざまな方法を駆使し、選択肢を創造する。

・第三の原則「偶然を求めて」かつ「勇気を出して」踏み出す

 選択肢をつくった後、行動に移すにはどうすればいいのか。本書には、偶然を生かしてチャンスに変える、クランボルツ博士の理論が出てくる。偶然の波に乗って、取りあえず試してみる。ダメなら次に行けばいい。変化の激しい現代において、変化受容型人材になるために必須のスキル。

・第四の原則「楽しみながら」かつ「終わらない」物語を作る

 選択肢を試している過程、つまり努力が実るまでには忍耐を要する。「いつまで続ければいいのか」という単調、「続けた結果、成功するのか」といった先が見えないあいまいさ。これらの苦悩を乗り切るには、やっていて楽しめる選択肢を選ぶことが重要だ。

 34歳のとき、2人の幼子を抱え起業で失敗、一時は失業者になった著者。もう1度起業し起死回生に挑むか、転職適齢期、最後の転職をするか……。悩み抜いた結果、「人生の選択を、「『迫られて選ぶ』から『待ちかまえてさばく』」ものにできないかという問いに至る。現在の著者の研究テーマである。

 本書には、筆者がこの7年間で行ってきた社会人1000人以上との対話、そして自らの苦い経験から生まれたメソッドが集約されている。キャリアプランやライフプランで悩んだときの背中を押してくれるバイブルとして、また「問題解決」「論理思考」といったビジネススキルの習得としても役立つ。

本を読む前に
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