@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(15)
『ウチのシステムはなぜ使えない』
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/8/4
■SEの仕事
「ウチのシステム」が使えないのは、われわれ(ユーザー、発注者)とSEの間でコミュニケーションがうまくとれていないから。まずはわれわれがSEと同じ土俵に立とう。そして、SEが働いている組織や業務手順を理解しよう。これが、この本の趣旨である。
ウチのシステムはなぜ使えない 岡嶋裕史著 光文社 2008年3月 ISBN-10:4334034446 ISBN-13:978-4334034443 777円(税込み) |
IT業界に従事する技術者は「開発系」か「運用系」で分かれる。開発系には、「コーダ」「プログラマ」「SE」「プロジェクトマネージャ」「システムアナリスト」という技術職がある。SEは開発系に含まれる職種である。
SEとプログラマは違う。SEは「システムの具体的な設計図を書き、その通りのプログラムをプログラマに書かせることが主業務である」(『ウチのシステムはなぜ使えない』p.32)。
つまり、ユーザーの要求をプログラマが理解できる表現で再構成するのがSEの仕事であるといえる。「使えない」システムが出来上がるのは、SEがユーザーの要求を的確に把握できていないから、というこの本のメッセージは、SEのこのような仕事内容から導かれている。
システム開発は通常、「要求(要件)定義」「設計」「開発」「テスト」「運用」というステップを踏む。SEが登場するのは、「設計」工程からである。
「設計段階に至ると、顧客側としてもかなり気合いを入れないと、SEが何をしているのか分からなくなってくる」(同書、p.128)。ゆえに、頻繁なコミュニケーションが必要だ。できるだけ途中プロセス(工程管理表があればよい)を見せてもらう。そうすることで、要求と設計のギャップをできるだけ小さくできる。
「開発」を経て、「テスト」が待っている。「テストくらい開発者が行うのが義務であろう。やってくれているに違いないと考えるのは甘い。SEはそんなに社会的ではない」(同書、p.164)ため、どんなテストが行われ、どのような結果であったかを確認する作業を怠ってはいけない。
相手(この場合はSE)の立場や仕事内容に理解を示し、積極的にコミュニケーションを図ることが、「使えるシステム」を作り上げるための基本姿勢なのである、とこの本は主張するのであった。(鮪)
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