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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(18)
仮説=未証明だが最も正解に近い答え

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/8/7

■「仮説思考」の3つのメリット

仮説思考 BCG流
問題発見・解決の発想法


内田和成(著)
東洋経済新報社
2006年3月
ISBN-10:4492555552
ISBN-13:978-4492555552
1680円(税込み)

 仮説とは「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」(『仮説思考』、p.16)のことだ。ある問題を前にしたとき、手元にある限られた情報だけでまずは「当たり」をつけ、素早く検証作業を開始する人がいる。一方で、たくさんの情報を集めるまで行動を起こさないという人もいる。どちらが早く正しい解決にたどり着くか。この本は、前者を支持する。「仮説思考」とは、ともかく「当たり」をつけて行動を起こし、その行動の過程で初期に設定した「当たり」の精度を補正しながらできる限り短時間で正解にたどり着こうとする考えのことである。

 この本は「仮説思考」のメリットを3つ挙げている。

 1つ目は情報の洪水に溺れなくなること。意思決定で役に立つ情報というのは、選択肢を狭めてくれる情報のことである。重要なのは的確な意思決定を行うことだ。集める情報は意思決定という目的を支援するものでなくては意味がない。情報は多ければ多いほどいいというわけでは決してない。

 2つ目は問題解決に役立つこと。「仮説思考」と対極的な考えに「網羅思考」というのがある。「考え得るさまざまな局面から調査・分析を行い、その結果をベースに結論を組み立てる」(同書、p.38)考え方だ。これは効率が悪いうえに、効果的でもない。多くの場合、人は「網羅思考」に陥り、途中で袋小路にはまる。問題解決どころではなくなる。

 3つ目は大局観を持って仕事ができること。「問題に対する解決策や戦略まで踏み込んで、全体のストーリーをつくってしまう。そうすると、ごく一部の証拠は揃っているけれども、大半は証拠がない状態になり、そこから証拠集めを開始することになる」(同書、p.46)。仮にでもストーリーができてしまえば、そのストーリーを証明するための証拠を集めるだけでよい。証拠集めの途中でストーリーのロジックが破たんしていると気付けば、修正すればいいのである。仮説、実験、検証を繰り返せば繰り返すほど、仮説の精度は上がっていく。

 ボストン コンサルティング グループには、以上のような「仮説思考」を仕事の現場で展開していくための実践的なノウハウが蓄積されている。そのエッセンスがこの本に詰まっている。(鯨)

本を読む前に
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