@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(27)
「パズル面接」を乗り越えて
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/8/21
■面接と論理思考
ビル・ゲイツの 面接試験 ウィリアム・パウンドストーン(著) 松浦俊輔(翻訳) 青土社 2003年6月 ISBN-10:4791760468 ISBN-13:978-4791760466 2310円(税込み) |
映画『ダイ・ハード3』では、ブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンがテロリストの出した難問に頭を悩ませる場面が出てくる。3ガロンと5ガロンの容器を使って、4ガロンを取り出せ、という問題。制限時間内に正しい答えを導かなければ、仕掛けられた爆弾が爆発する。マイクロソフトの面接でも同じ問題が出題される(いまでもそうなのかは分からないが)。制限時間内に正しい解答と、その解答に至ったプロセスを上手に説明できなければその場で「さよなら」である。
- 「世界にピアノの調律師は何人いるか」
- 「スタートレックの転送装置が本当にあったら、輸送業界にどんな影響があるか」
- 「なぜ鏡は左右を逆転させて、上下を逆転させないのか」
- 「アメリカの50州のうち、どれでも1つなくしていいとしたら、どれにするか」
- 「富士山を動かすにはどれだけの時間がかかるか」
このようなパズルが面接であなたに投げ掛けられる。「考えるための材料が手元にないのに分かるわけがありません」とかテキトーな答えを並べたら、その場でアウト。これらの問題はすべて、特別な情報がなくとも「論理的に正しい答え」を導くことができる。
例えばアメリカ50州のうち、なくしてもいい州として「人気がある」のはアラスカ州、ハワイ州、ノースダコタ州だ。一番まずい答えは「全部なくしてもいい」。問題の中心的な争点は「除かれた州の住民がどうなるかということだ」(『ビル・ゲイツの面接試験』、p.221)。まずはこの問題で問われていることを再構成することが求められるというわけだ。次は、この争点をいくつかのケースに分類する。
- その州の住民を殺してしまう場合(道義的責任について配慮する必要がある)
- その州の人たちが単にどこかに行く場合
- 土地だけが消滅してしまう場合(住民を引っ越しさせる必要がある。誰が? マイクロソフト? アメリカ合衆国政府?)
- 「魔法」を使って、住民をどこかに移動させ、移動先でも住居や仕事や生活がきちんと保障されるという場合
- 州は消滅しないが、国として独立するか、メキシコに帰属するといった場合
これらのケースについて、住民がどうなるかを検討し、アメリカ合衆国の国益(あるいはあなたの倫理観?)に照らして、最も損害が少ない(利益が拡大する)道を探る。その結果として、「人気がある答え」は、アラスカ州やハワイ州、ノースダコタ州ということになるのである。(鯨)
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