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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(96)
UML7つ道具はこれで押さえる

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/3/28

■初心者向けのUML解説本

かんたんUML
[増補改訂版]

オージス総研(著)
翔泳社
2004年1月(増補改訂版 第2刷)
ISBN-10:4798105600
ISBN-13:978-4798105604
2079円(税込み)

 UML(統一モデリング言語)とは、オブジェクト指向によるソフトウェア開発において、システムをモデル化する際の表記法(図法)を規定した言語のことである。言語といっても、日本語やドイツ語のような自然言語、CやJavaのようなプログラミング言語とは様態が異なるモデリング言語(ビジュアル・ランゲージ)のこと。UMLはメジャーなモデリング言語として、ソフトウェア開発におけるコミュニケーションやノウハウ共有のため非常に重要な役割を担っている。

 UMLは、顧客の抱える問題点や要求を明らかにする「分析」、分析した内容を実現するためシステムの構造を考える「設計」において、モデリングを手助けする。

 かつてのソフトウェア開発では、分析・設計などフェイズごとに違った表記法でダイアログ(図)が書かれていた。だがUMLを用いることで、クラスやオブジェクトの構造や関連を表すさまざまな表記法を標準化でき、分析から設計、実装までを終始一貫、統一した表記でモデリングできるようになった。

 本書はこのUMLの概念や見方、作成方法について4部構成で解説している。

・第1部

 「UML物語」。小説(事実かどうかは不明)。

・第2部

 UMLのニーズが高まった背景やUMLで解決できることなど、UMLの概要について述べている。「UML7つ道具」(ユースケース図、クラス図、相互作用図、ステートチャート図、コンポーネント図、配置図、アクティビティ図)の概要もここで分かる。

・第3部

 第3部は「分析編」と「設計編」の2章立て。分析編では、ユースケース図、アクティビティ図、シーケンス図、クラス図、モデルの詳細化、ステートチャート図の作成について、設計編では、クラスの設計、パッケージへの分割、コンポーネント図、配置図などモデリングについて解説している。第1〜2部とは打って変わってポップな雰囲気。キャラクターが登場し、図を多用した物語形式で進む。

・第4部

 UMLモデリング技能認定試験対策。認定試験の案内や、傾向と対策、模擬試験問題を掲載。傾向と対策では、ユースケース図を描かせる例題やシーケンス図とコラボレーション図との違いを問う例題などを解説付きで紹介している。

 手っ取り早くUMLを学びたい初心者は、第3部から読むとイメージしやすく理解が早い。分析・設計の要点を、イラストや図を用い易しく解説している。もし読んでいる中で、第3部以前の知識が必要となった場合は、触角の付いた“てるてる坊主”のようなキャラクターが、該当ページを指し示してくれている。第3部を読み、第4部の対策問題を解いてから第2部の概念的な話を読むと知識がスムーズに深まると思う。

 当然ながらUMLを理解するにはオブジェクト指向の知識が必要だ。本書には、オブジェクト指向についての説明はあるものの、さほど詳しく書かれていない。本書読解に当たり、ある程度オブジェクト指向の前提知識が要る。

 1996年6月に刊行され、2003年に20刷目の増補改定版が出ているロングセラー本。UMLをかじってみたいという人におすすめ。(鮪)

本を読む前に
OMG認定UML技術者資格試験 ファンダメンタル (@IT自分戦略研究所)
5分で絶対に分かるUML (@IT情報マネジメント)
初歩のUML (@IT)


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