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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(97)
5年後のIT市場観測

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/3/30

■次にくる技術を自力で読む

これから情報・通信市場で何が起こるのか―IT市場ナビゲーター〈2009年版〉
野村総合研究所情報・通信コンサルティング部(著)
東洋経済新報社
2008年12月
ISBN-10:4492501916
ISBN-13:978-4492501917
2520円(税込み)

 この本では、IT市場を「ネットビジネス」「モバイル」「ブロードバンド」「放送メディア」「ハード」にセグメント分けし、各セグメントの市場規模や企業・顧客の動向を基に、今後のIT市場動向を予測・分析している。

 本書は序章を含め7章構成である。ソフトウェア開発に関係する序章と1章、2章の内容についてまとめた。

・序章 転換期のIT市場

 今後のIT市場は、「新たな産業の育成」と「既存産業との連携」という2つの視点に着目する必要がある。

 ネット上での新たな産業やサービスが浸透するスピードは、年々速くなってきている。この本(『これから情報・通信市場で何が起こるのか』、p.11)によると、カラーテレビは10〜12年、インターネットは7年、ブログやSNSは5年で普及段階に到達した。「例えば、1000万加入者を獲得するために要する時間、費用は、歴史上、類を見ないほど短期間かつ低コストとなっている」(本書、p.11)。変化の速い世の中にあって、人々の新しいものへの適応能力が向上しつつある。

 既存産業との境界の見直しをめぐる動きも大きくなっている。放送、金融など既存産業と通信との連携は拡大の一途をたどる。既存産業に付きまとう独自規制や法制度との整合性を検討する制度が求められる。

・これから情報・通信市場で何が起こるのか

 日本の携帯電話市場は、携帯電話事業者主導で発展してきたという「垂直統合」の歴史がある。だが、2006年ごろから徐々に携帯端末と携帯電話事業者を分離する「水平分離型」が浸透してきた。iPhone用のアプリケーションやソフトウェアが多く作られているように、今後もモバイルインターネットの開発案件のオープン化は進むだろう。

 もう1つが、SaaS市場の本格的な立ち上がりだ。本書のサービス型情報システム市場規模予測によると、SaaSやASPソフトウェアの導入とそのカスタマイズを行うサービスを合わせて、「2013年で438億円」(本書、p.77)の市場規模になるとのこと。2008年時点で154億円なので、3倍に膨れ上がることになる。

・ネットビジネス市場

 ネットビジネス市場は、今後5年で2倍に拡大すると予測している。「2008年度の約9億1000億円から2013年で約16億円へ」(本書、p.93)。中でも最も大きな割合を占めるのはBtoC EC市場。2013年度末の流通取引総額は11兆円を超える見通しだ。ほかには、オンライン決算市場(2007年度約1815億円から2013年度約4562億円へ)などコンシューマ向けサービスが伸びる見込み。ただし、オンラインゲーム市場(2008年度1150億円から2013年度2030億円へ)と、音楽配信市場(2008年度611億円から2013年度998億円へ)、ネットオークション市場(2007年度約9900億円から2013年度約1兆4900億円へ)は緩やかな成長になる兆し(カッコ内の数字は本書、p.93から引用)だ。

本を読む前に
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