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ストレスと上手に付き合うために
ITエンジニアにも重要な心の健康

第2回 心理カウンセリングとは?

ピースマインド
カウンセラー 谷地森久美子
2003/9/25

エンジニアにとっても人ごとではないのが心の健康だ。ピースマインドのカウンセラーが、毎回関連した話題を分かりやすくお届けする。危険信号を見逃さず、常に心の健康を維持していこう。

氾濫するカウンセリング/カウンセラーという言葉

 「カウンセリング」――最近、ごく普通にこの言葉が使われるようになりました。しかし、この言葉を同じように使っていながら、人によって言葉の持つイメージや意味合いはちょっと異なるようです。例えば、次のようなイメージです。

Aさんの場合……職場の部下が軽いうつ病になり病院でカウンセリングを受けているという話を聞いたため、「カウンセリングは病気の人が受けるもの」と思っていました。

Bさんの場合……雑誌や新聞に載っているような“相談モノ”の愛読者でした。著名な文化人たちが語るアドバイスを聞くことがカウンセリングだと思っていました。

Cさんの場合……駅前の看板や電車のつり革広告で“催眠療法。カウンセリングであなたの悩みを解決します”という文面を読みました。「仕事のプレゼンテーションでどもったり赤面してしまうことが、1回のカウンセリングで魔法のように治るのだろうか」と思い、連絡先をメモしました。

 上記のように、ひとくちにカウンセリングといっても人それぞれさまざまなイメージがあります。ほかにもブライダルカウンセラー、デンタルカウンセリングなどのような表現も見掛けます。

 このように、私たちの生活の中にカウンセリングという言葉だけが1人歩きしているかのような現状があります。読者の皆さんの中にも、さまざまな生活場面でカウンセリングという言葉に触れ、「よく、分からないなぁ……」という思いを抱いている方もいるのではないでしょうか。

では心理カウンセリングとほかの違い

 さて、私が所属しているようなカウンセリングルームが提供するカウンセリングとは、「心理カウンセリング」に位置付けられるものです。

 ブライダルカウンセラーやデンタルカウンセリングと横一列で並べてみると、それぞれのカウンセラーがその分野に関しては詳しい情報を持っている、その分野に関して多くの経験がある、という点では共通な部分はあります。ですが一方で、心理カウンセリングというのは現在の日本において、臨床心理学や精神医学という“こころや人間に関する専門領域”に関して、大学院修士課程以上の専門的な学習やトレーニングを受けたカウンセラーが行っているという点に、ほかのカウンセリング/カウンセラーと大きな違いがあります。

 上記のBさんの例は、いわゆる「人生相談」の部類に入るもので、心理カウンセリングとは基本的に異なる部分があります。人生相談での回答は、回答者の人生経験や価値感が色濃く反映されたものとなり、加えて相対的に(暗黙のうちに)、回答者が相談者よりも高い位置(地位)に立ってものをいう、との印象があります。元来「相談」とは、コミュニケーションのキャッチボールが行われるはずのものですが、人生相談の場合は、相談内容に対して、回答者が主導権を握って“答えを出す人”、相談者は“回答を聞く人”という立場に固定化される傾向が強いように思います。

気付きをサポートする

 心理カウンセリングでは、相談内容とともに相談者自身にもフォーカスするようなアプローチを取ります。カウンセラーとの対話の中で、自分に起こるトラブルや問題から少し距離を取って眺めると、何度も何度も同じようなことを繰り返していたり、いつも同じ人間関係の結末に陥ったりすることを、相談者自身が発見することができます。そのうえで、それらのパターンを生じさせたもともとの源がどのようなものか、そこに気付いてもらうこと、つまり“気付き”のサポートを行うのが心理カウンセリングなのです。

 そしてカウンセリングを重ねる中で、ねじれ、こわばって地面をはうようにしていた植物の芽が、自然の流れで再び太陽に向かって伸びていくかのように、その方自身の人生の方向性や人とのかかわり方のパターンに、変化をもたらし、いい方向に向かうようになるのです。

 さて、最初に挙げた中のAさんの例を思い出しましょう。部下が病院でカウンセリングを受けているという例でしたが、このように「カウンセリング=病気・病院」というイメージを持たれている方も多いようです。

 実際、当社のカウンセリングルームを利用される方の中にも主治医から薬を処方してもらい、並行してカウンセリングを活用されている方もいらっしゃいますが、大多数の方は日々仕事に励んでいる方ばかりです。また、その相談内容はキャリアや恋愛、人間関係のことなど幅広いものです。カウンセリングでは、病気となって通院をしている方だけでなく、誰もが抱えている自分の課題や悩みごとについても相談できるのです。

しかし万能な魔法ではない

 最後に読者の皆さんにお伝えしたいことは、「カウンセリングは万能ではない」ということです。さきほどのCさんの例では、カウンセラーがあたかも「催眠療法」を使って、問題を解決してくれる魔法使いのようなイメージに映ったのかもしれません。しかし、催眠療法とは本来、相談者がセラピストとともに一緒に練習し、問題に向き合っていく必要があり、1回ですべてが解決に至るというものではありません。

 近年、オーソドックスな精神分析からニューエイジ系や宗教色の入ったアプローチまで、いろいろな立場の心理療法が編み出されていますが、魔法のように昨日までの悩みを跡形もなく消してくれる、といったことを心理療法に託すことは難しいことです。

 心理カウンセリングを有効に活用していくうえで大事なことは、あなたがどれほどしっかり自分の課題に直面できるのか、ということです。そして、あなたの中で、その問題について向き合っていく気持ちが高まっていけばいくほど、カウンセラーは頼もしい同伴者となる、ということなのです。

筆者プロフィール●ピースマインド 谷地森久美子(やちもりくみこ)
東京学芸大学大学院修了後、区立教育センター(教育相談部)勤務。その後、国立精神神経センター精神保健研究所、某私立大学学生相談室、大手企業の専属カウンセラーを経て、現在はピースマインドにて、主に“働く人”の「こころ」の問題に日々取り組む。「カウンセリングとは、時に癒(いや)しとなり得るが、根底に流れるものは格闘技に通じる」と考えているそうだ。地域の猫たちに遊んでもらうことが毎日の楽しみだという。なお、ピースマインドが提供する「ストレスCheck」を@IT自分戦略研究所で試してみることもできる。

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