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「合わない」上司との気まずい関係を解消!

自分を知り、相手を知って職場のストレスを減らす

ピースマインド 渋谷英雄
2006/5/31

日々蓄積する仕事のストレス。その一番の原因は職場の人間関係にあるという。あなたの周囲にも、「何となく合わない」と感じてしまう人がいないだろうか。そんな人と上手にコミュニケーションを取り、スムーズに仕事を進めるコツを紹介しよう。

悩み多き職場の人間関係

 5月も終わりに近づいてきました。この時期、部署の異動や新規チームへの参加で、仕事上の人間関係が大きく変わった人も多いのではないでしょうか。

 初めのうちは「いい人」だと思っていたのに、最近どうも違和感を覚える。同僚のあの人とはうまくやっているようなのに、自分とは気が合わないのだろうか……。そんなふうに感じることはありませんか。新体制のスタート時は特に気にならなかった人間関係も、そろそろ気になり始める時期だと思います。出勤時にふと「あの人と会いたくないなぁ」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。

 職場のストレスの原因ナンバー1は、何といっても人付き合い。仕事の質や量に関するものだったはずの悩みが、いつしか「上司がもう少し話の分かる人ならいいのに!」「もう少し真剣に仕事に取り組んでほしい」「仕事を簡単に振らないで……」のような、人間関係の悩みに変わっていくことも多いものです。

 そこで今回は、「合わない人」との人間関係のコツを、心理テストを使ったパーソナリティ分析から見直してみたいと思います。

やってみようエゴグラムテスト

 自分と気が合う人と合わない人との違いは、いったいどこにあるのでしょう。その違いを決めるのは、実はパーソナリティのマッチング。仲の良い友人はどことなくウマが合う者同士の集まりなのが、その代表例です。

 職場でも同じで、自分の個性と相手の個性がうまく合っていれば、コミュニケーションが比較的スムーズに取れ、日常業務もストレスなく進むのです。

 しかし、職場にいるのは自分と個性の合う人ばかりとは限りません。だからといって、合わない人を避けたまま仕事をすることは難しいでしょう。合わない人と何とかうまくコミュニケーションを取るには、どうしたらいいのでしょうか。

 まずは、自分の個性を理解することが必要です。下記の心理テストにトライしてみてください。このテストはエゴグラムといって、パーソナリティを5つの要素に解析し、個性を分かりやすく浮き彫りにしてくれます。作業は設問に○×△で答え、各要素の得点を合計し、プロフィールを作成するだけです。

 各要素のうち、高得点になった部分が自分の個性です(数値の平均があるわけではなく、山になった部分が個性を表します)。

 自分の個性こそが能力の発揮のしどころではあるのですが、同時に人間関係においてぶつかりやすい点でもあります。他人と、この個性がマッチしていない部分が大きいほど、相手のことを理解しづらくなります。時には相手の行動や言動を不愉快に感じることもあります。

 それでは、さっそく試してみましょう。

・エゴグラム心理テスト

 以下の質問に、はい(○)、どちらともいえない(△)、いいえ(×)のどれかで回答してください。なお、できるだけ○か×で答えるようにしてください。

CP 1 人の言葉を遮って自分の考えを述べることがありますか   合計( )点
2 他人を厳しく批判する方ですか  
3 待ち合わせ時間を厳守しますか  
4 理想を持って、その実現に努力しますか  
5 社会の規則、倫理、道徳などを重視しますか  
6 責任感を強く人に要求しますか  
7 小さな不正でもうやむやにしない方ですか  
8 子どもや部下を厳しく教育しますか  
9 権利を主張する前に義務を果たしますか  
10 「……すべきである」「……ねばならない」といういい方をよくしますか  
NP 1 他人に対して思いやりの強い方ですか   合計( )点
2 義理と人情を重視しますか  
3 相手の長所によく気が付く方ですか  
4 他人から頼まれたら嫌とはいえない方ですか  
5 子どもや他人の世話をするのが好きですか  
6 融通が利く方ですか  
7 子どもや部下の失敗に寛大ですか  
8 相手の話に耳を傾け、共感する方ですか  
9 料理、洗濯、掃除などが好きな方ですか  
10 社会奉仕的な仕事に参加することが好きですか  
A 1 自分の損得を考えて行動する方ですか   合計( )点
2 会話で感情的になることは少ないですか  
3 物事を分析的によく考えてから決めますか  
4 他人の意見は賛否両論を聞き、参考にしますか  
5 何事も事実に基づいて判断しますか  
6 情緒的というよりむしろ理論的な方ですか  
7 物事の決断を苦労せずに、素早くできますか  
8 能率的にテキパキと仕事を片付けていく方ですか  
9 先(将来)のことを冷静に予測して行動しますか  
10 体の調子の悪いときは、自重して無理を避けますか  
FC 1 自分をわがままだと思いますか   合計( )点
2 好奇心が強い方ですか  
3 娯楽、食べ物などを満足するまで求めますか  
4 いいたいことを遠慮なくいってしまう方ですか  
5 欲しいものは手に入れないと気が済まない方ですか  
6 「わあ」「すごい」「へえ〜」などの言葉をよく使いますか  
7 直感で判断する方ですか  
8 興に乗ると度を越し、羽目を外してしまいますか  
9 怒りっぽい方ですか  
10 涙もろい方ですか  
AC 1 思っていることを口に出せない性質ですか   合計( )点
2 人から気に入られたいと思いますか  
3 遠慮がちで消極的な方ですか  
4 自分の考えを通すより妥協することが多いですか  
5 他人の顔色や、いうことが気に掛かりますか  
6 つらいときにも我慢してしまう方ですか  
7 他人の期待に沿うよう過剰な努力をしますか  
8 自分の感情を抑えてしまう方ですか  
9 劣等感が強い方ですか  
10 現在「自分らしい自分」「本当の自分」から離れているように思えますか  

・プロフィール作成

 ○を2点、△を1点、×を0点としてそれぞれの項目ごとに合計点を出し、下の図に折れ線グラフを書いてください。

・プロフィールの特徴

リーダーシップタイプ CP(批判的な親=Critical Parent)

 理想を求め、批判的な視点を持って考察できるタイプ。ルールや過去の手段を大切にする。正義感や責任感が強く、リーダーシップを取って仕事をこなしたい側面が強い。

サポータータイプ NP(養育的な親=Nurturing Parent)

 世話好きで、優しさを大切にするタイプ。元気づけるための声掛けが多くなる。前面に出ようとせず消極的に見られる点や、おせっかいな側面が裏目に出ることもある。

アナライズタイプ A(合理的な大人=Adult)

 現実的な対応を好み、分析結果を基に仕事を進めようとするタイプ。効率的に行動するが、事実を重視するあまり人情に欠けると見られてしまう側面がある。

フリードマンタイプ FC(自由奔放な子ども=Free Child)

 好奇心が強く活動的で、チャレンジ精神も旺盛なタイプ。物事を明るくとらえる傾向がある。楽観主義的で、客観的な判断に欠けていると見られる場合がある。

イエスマンタイプ AC(順応した子ども=Adapted Child)

 協調性が高く、礼儀正しいことが多い。職場のストレスの緩衝材的な役割を果たしてくれる。遠慮がちなところから、主体性に欠けると見られてしまう側面もある。


このテストは、『エゴグラム・パターン―TEG東大式エゴグラム第2版による性格分析』(金子書房刊)を基に筆者がアレンジしたものです

自分と相手のタイプを知り、ストレスを軽減

 いかがでしょうか。あなたはどのタイプになりましたか。

 自分の個性がつかめたら、次に考えるべきなのが相手とのマッチング。例えば自分がアナライズタイプなら、アナライズタイプの相手とは話が合うはずです。もちろん同じタイプでも、時には激しく議論を交わすこともあります。しかし、結局は同じ目線で物事を見ることができるので、折り合い点を見つけやすいのが同じタイプ同士の特徴です。

 逆にまったく違うタイプの人とは、考え方や仕事の取り組み方が異なります。このため、一度すれ違いが起こると感情的なシコリが残り、尾を引きやすくなるといった特徴があります。

 あなたの苦手な上司や同僚は、どのタイプに当たるのでしょうか。今度は彼らの個性を調べてみましょう。日常の行動を思い浮かべ、その人ならどう回答するかを想像し、プロフィールを作成してみてください。あなたから見た相手の個性が浮き上がってくるはずです。

 自分と相手の個性が分かれば、どういった点で「合わない」と感じていたのかも明らかになってきます。あらかじめ相手とのズレのポイントが分かっていれば、仕事に対するスタンスの違いも明確になり、何がストレスになっているかも分かるので、対策も取りやすくなるはずです。

会話のチャンネルを合わせる

 さて、相手の個性が分かったからといって、何も無理に相手に合わせる必要はありません。自分のスタンスを変えてしまっては、能力の発揮のしどころもつぶしていくことになりかねないのです。

 では実際にどのようにコミュニケーションを取ればうまくいくのでしょうか。そのコツは、会話のスタートラインを少しだけ相手の個性に合わせることにあります。

 例えばリーダーシップタイプの上司。彼が過去に行って成功した方法を説明し始めたら、「こっちの方が効率的でしょう」と反発するのではなく、まずは教えてもらうというスタンスで接するのです。

 フリードマンタイプの同僚が楽観的な意見を述べ始めたら、「もっと現実的に考えようよ」といきなり否定するのではなく、リラックスした会話を楽しんだ後に本題に戻りましょう。アナライズタイプの後輩が理屈を話し始めたら、むやみに議論に持ち込まないようにします。

 このように、少しだけ自分のスタンスに幅を持たせて、相手の個性に付き合ってみるのです。そしてコミュニケーションを潤滑にしてから本題に入りましょう。そんなに難しいことではないと思います。

 このように、自分の特性にちょっとバリエーションを持たせるだけでも、人間関係は改善されます。

 職場の人間関係を良好なものにするには、まず自分と相手のタイプを知ること。相手のタイプを知ったら、せめてスタートラインだけでも相手のステージに近づき、スムーズにコミュニケーションを取れるようになってから本題に入ってみてください。きっと「この人は話が分かる」と思われ、仕事の話でぶつかることもなくなり、苦手意識も少なくなるでしょう。ストレスも軽減するに違いありません。

参考文献『エゴグラム・パターン―TEG東大式エゴグラム第2版による性格分析』
              金子書房刊

筆者プロフィール●ピースマインド 渋谷英雄
臨床心理士、学校心理士。日本オンラインカウンセリング協会理事、フリースクールまいまい理事。現在、民間企業、公的団体などの職場のメンタルヘルスを中心に、働く人々のストレス対処、トラウマセラピーなどを行っている。近著に『メールカウンセリング その理論・技法の習得と実際』川島書店刊(編著)。
日本経済新聞 夕刊に連載のコラム「こころのサプリメント」を隔週で担当。



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