英語が苦手なITエンジニア必見!
体験レポート TOEIC 600点への道
第7回 eラーニングを受講してヒアリングを強化

北浦訓行
2002/7/26

■ブロードバンドの普及とeラーニング

筆者のTOEIC受験は後もう少し。その際には何点となるのだろうか?

 インプレス発行の『インターネット白書2002』によると、2002年2月現在における日本のインターネット人口は4619万6000人で、世帯浸透率(利用場所や接続形態を問わず、1世帯に1人以上インターネット利用者がいる割合)は、62.4%と過半数を超えたそうです。また、インターネット利用世帯の18.5%がブロードバンド接続になっています。

 わが家では、地元のケーブルテレビがインターネット接続サービスを始めたときに加入して、そろそろ2年になります。下りの通信速度はベストエフォートで3Mbps(なんか中途半端な値です)。12Mbpsのサービスを行うプロバイダも出てきたADSLに比べると、ちょっと物足りない気がしますが、Webサイトへのアクセスやメールの送受信程度ではまったくストレスなく使えます。何よりも、通信料金を気にしないで使えることはありがたいです。

 さて、本フォーラム(Engineer Life)をご覧になっている方であれば、「eラーニング」という言葉をご存じでしょう。eラーニングをひと言で説明すると、「IT技術を使った学習システム」ということになるのでしょうか。

 この連載で紹介してきた教材は、画像や音声などを組み合わせた、パソコン教材ならではの特徴を持っていましたが、学習のベクトルは教材作成者から学習者への一方通行でしかありません。それに対して、eラーニングでは、インターネットを利用して、自宅にいながらにして授業に参加するバーチャルクラスルームやチャット、電子メールなどの双方向のやりとりが可能です。

 英語学習では、「イングリッシュタウン」のサービスが、まさにeラーニングにふさわしい内容だと思いました。そこで、今回はイングリッシュタウンに入会して、実際にレッスンを受けてみようと思います。

ご注意!
 この企画では、学習ソフトが役に立つかどうかについてレポートしていますが、学習方法や学力アップの判定方法について、(いうまでもなく)学術的な手法は取っていません。また、結果については筆者個人の能力によるものであり、すべての方に有効または無効とは限りませんし、それを筆者およびアットマーク・アイティ社が保証するものでもありません。このレポートは参考とするにとどめ、学習については自己の責任において行ってください。

■イングリッシュタウンの概要

 イングリッシュタウンは、Webサイトの説明によるとアメリカに本拠がある世界最大のオンライン英会話スクールで、世界中で100万人以上の人たちがこのサービスを受けたとのことです。日本では、2001年1月にイングリッシュタウン株式会社が設立されました(画面1)。

画面1 イングリッシュタウンのWebサイト

 イングリッシュタウンの特徴は、インターネットを利用して24時間いつでも英会話のレッスンを受けられることです(実際には、授業は1時間おきに始まり、月に30時間までという制限があります)。会費は月5900円で、入会金などは必要ありません。

 学習プログラムは、「一般英語」と「ビジネス英語」、それに「テスト対策」の3つに分かれていて、「一般英語」と「ビジネス英語」はレベル別に各7コースに細分化されています。例えば、「一般英語」では、「Pre-beginner(入門)」「Beginner(基礎)」「Elementary(初級)」「Lower Intermediate(初中級)」「Intermediate(中級)」「Higher Intermediate(中上級)」、そして「Advanced(上級)」にレベル分けされていて、さらに各レベルのカリキュラムは、難易度別にAからDの4つのコースに分かれています。

 1コースの学習時間は、目安として1500分に設定されていますから、例えば「Elementary(初級)」の学習をすべて終了するためには、1500分×4コースで100時間必要ということになります。ちなみに、この100時間の中には、英会話のレッスンだけでなく、自己学習教材を使った勉強の時間なども含まれています。

 コースの変更は自由にできますから、受講者は自分の実力に応じたレベルで実力アップを図ることができます。もし、選択したコースが難しかったり、簡単すぎたりした場合でも、Webサイトから簡単にコースを変更できます。

コラムI:サービスを受けるために必要な機材
 イングリッシュタウンのカリキュラムを受講するためには、パソコンとインターネット接続環境が必要です。具体的な仕様などは表1のとおりです。自分のパソコンの能力がそれに達しているかどうかをあらかじめ確認してください。

OS Windows 98/ME、Windows NT4.0/2000/XP
プロセッサ Pentium 166MHz以上(OSの要求するプロセッサが必要)
メモリ容量 32Mbytes以上(OSの要求するメモリ容量が必要)
サウンドカード Sound Blaster 16以上もしくは、互換サウンドカード
オーディオ機器 マイクとスピーカー(マイク付きヘッドホンを推奨)
インターネットへの接続 33.6Kbps以上(56Kbps以上を推奨)
Webブラウザ Internet Explorer 5.01(SP2)以降もしくはNetscape 4.5以降(Netscape 6は使用不可)
表1 イングリッシュタウンのカリキュラム受講に必要な環境。ただし、Macintoshには対応していない

■入会

 ご存じかもしれませんが、イングリッシュタウンへの入会は、本家のWebサイトからはもちろんのこと、提携しているプロバイダやポータルサイトからも可能です。例えば、TTNetやMSN、@nifty、BIGLOBEなどが独自の入会案内を行っています。

 レッスン自体はイングリッシュタウンが行いますが、説明内容や会費のキャンペーンなどでは、プロバイダごとなどに微妙な違いがあります。例えば、2002年7月15日時点でのイングリッシュタウン本家のWebサイトでは、14日間の無料お試し期間+受講料の初月20%オフ+オリジナルヘッドセットプレゼントとなっていますが、@niftyでは、初月無料+翌月1000円割引+オリジナルヘッドセットプレゼントとなっています。

 これらのキャンペーンは、時期によって内容が異なりますし、場合によってはキャンペーンを行っていない可能性もありますから、各サイトの条件をよく吟味して入会するといいでしょう。ちなみに、筆者は入会した日付の関係から、お得度の高かった@niftyを選択しました(画面2)。

画面2 @niftyのイングリッシュタウンのWebページ。筆者は@niftyの会員なので、ユーザーIDを入力するだけで入会手続きはあっけなく終了しました

■ログイン

 入会手続きが終わったら、すぐにログインできます(注:筆者の場合はすぐにログインできましたが、クレジットカードの認証手続きが終了するまでログインできない場合があるかもしれません)。

 最初に、ユーザー登録の画面が表示されます。画面の指示に従って入力してください。続いて、学習計画を設定します。職業や英語学習の目的、重点的に学習したい分野を選択肢から選びます。筆者は、「自営業・フリーランス」、「趣味・自己啓発」、「会話」を選択しました。

 次に、レベルの判定です。レベルの判定は、レベル判定テストを受けるか、自分でレベルを選択します。先ほど説明したとおり、レベルは「Pre-beginner(入門)」から「Advanced(上級)」までの7段階あります。ここでは、レベル判定テストを受けてみました(画面3)。

画面3 レベル判定テストの画面

 結果はなんと! 上級の「Advanced」です(画面4)。TOEIC 465点の私が上級なんて、本当に信じていいのでしょうか? ちなみに、「Advanced」は、「スタイルを問わず大部分のテキストを読みこなし、また多少の文法的なミスがあっても正確に書くことができるという方にお勧めします。」だそうです。

画面4 レベル判定テストの結果。いくら何でも、「Advanced」はないだろうという気がします

 自分の実力を考えると、「Elementary」(基礎的な文法や構文を使って、自分の興味のある事柄や日々の活動内容などについては話すことができる方や、簡単な依頼や指示などを理解できるという方にお勧めします。)か、せいぜい見栄を張っても、「Lower Intermediate」(かなり限られてはいるものの基礎はできている方や、興味のあるテーマであれば質疑応答が可能であり、また今後の予定や過去の出来事などについても話し合えるという方にお勧めします。)が妥当な線だと思います。せっかく判定テストを行ったのですが、今回は「Elementary」を選択しました(後でコース変更できるので気が楽です)。

 さらに、目標とするレベルの選択と目標達成までの期間を入力します。無理な目標を立てると、「この学習計画には少し無理があるようです。」というメッセージが表示されます。(画面5

画面3 無理な計画を立てたときに表示される画面

 リーズナブルな計画ができたら、学習を始めることができます(画面6)。

画面6 カリキュラムの画面。「コース案内」に表示されている各UnitやEvaluation、TESTなどを順にこなしていく

 ただし、その前にパソコンの動作環境を確認しておいた方がいいでしょう。ログインして画面上部の「スクール」というタブをクリックすると、ヘルプという項目の中に「動作環境の確認」というリンクがあります。それをクリックすると、動作環境を確認するウィンドウが開きます(画面7)。

画面7 Webブラウザの確認画面。問題がなければ、このように緑のチェックマークが表示されます

 各Unitには、次の画面のように、会話練習や文法、リスニング、リーディングなどのカリキュラムが用意されています(画面8)。それぞれのレッスンにはテーマが決まっています。例えば、Grammarの「Talking about future plans」は、現在進行時制についてのレッスンです。

画面8 各レッスンには、標準的な学習時間が設定されています。学習が終わると、「Status」欄に「Done」と表示されます

 さて、会話練習ですが、イングリッシュタウンでは、専用のバーチャル会話ソフトを使ったクラスと通常の会話練習クラスがあります(画面9)。レッスンは1回が45分で、1時間ごとに開かれます。バーチャル会話ソフトには、挙手や拍手、笑いなどのボタンがあり、まさに教室で授業を受けているような感じです。

画面9 専用のバーチャル会話ソフトの画面。これは動作テストモードです

 毎回、会話練習ではテーマが決まっていますから、事前に準備をする必要があります。下の画面は、原稿執筆時のテーマです(画面10)。

画面10 このときのHelloマガジンのトップ記事は「TOP TEN MALE MODELS」。筆者には何がなんだか分かりませんでした

 イングリッシュタウンでのレッスンは、日本人が苦手とする英会話を含めて、総合的に英語力のアップを図ることができます。しかも、自宅にいながら、自分の都合のいい日にちや時間に学習できるのは大きな魅力です。

 この連載のテーマであるTOEICでの点数アップという面では、即効性を期待するのは難しいかもしれませんが(一応、カリキュラムにはTOEICも用意されてはいます)、究極の目的である「英語でコミュニケーションができるようになる」ためにはピッタリの学習法かもしれません。

 イングリッシュタウンには、原稿量の関係で紹介できなかったレッスンがたくさんあります。また、発声練習ソフトやレッスンとは関係のないボイスチャットなども用意されていますから、Webサイトを参照してみてください。

コラムII:スピーカーとヘッドセットの切り替え

 パソコンから出る音は、パソコン専用のスピーカーかディスプレイに内蔵されたスピーカーで聞いている方が多いと思いますが、英語のリスニングは、ヘッドホンで聞いた方が集中できていいように思います。また、本文でちょっとだけ触れたように、学習用にヘッドホンとマイクが組み合わされた「ヘッドセット」をプレゼントしてくれるプロバイダなどもありますから、それを活用したいものです。

 問題は、パソコンの音声出力端子は、多くの場合1つしかないことです。そのため、ヘッドセットを使う場合は、パソコンの後ろに手を回して、スピーカーのコードを外し、ヘッドホンの端子を差し込まなければなりません。これはとても面倒です。

 このような悩みを解決するのが、スピーカーとヘッドセットの切り替えスイッチです。日本では、イーレッツが「BBポン!」という製品を発売しています。イーレッツのWebサイトでは、販売店の紹介や通信販売などの情報が掲載されていますから参照してください。

 筆者は、秋葉原のPCパーツショップで見つけた韓国製の「DAP」という切り替え器を使っています。中央のボタンを押すだけで、スピーカーとヘッドセットを切り替えることができるので非常に便利です。

筆者が使用している切り替え器(DAP)とスピーカー、ヘッドセット

「連載 TOEIC 600点への道」


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