祝、書籍化!
リーダーは、明るく楽しくあきらめず〜
ドジっ娘リーダー奮闘記制作者座談会
谷川耕一(ITmedia)
2010/6/24
リーダーはどうあるべきか、幸せな組織はどうやって作るのか。新米リーダーの成長をつづった『ドジっ娘リーダー奮闘記』の制作者たちが、本連載に託したリーダーへの思いや、制作秘話を話し合った。 |
新米リーダーのしんこちゃんが、さまざまなトラブルを乗り越え成長していく姿を描いたITmedia エンタープライズの『ドジっ娘リーダー奮闘記』。先日26回の連載が終了し、無事立派なリーダーへと成長を成し遂げたしんこちゃんが、6月24日に1冊の本になって帰ってくることになった。面白おかしなストーリー展開と魅力的なイラストで人気を博したこの連載で、制作者たちは読者に何を伝えたかったのか。原作者の小俣さんとイラストレータの本橋さん、そして編集・構成を担当したエンタープライズ編集部の鈴木が、ドジっ娘リーダー奮闘記の制作秘話を話し合った。
参加者 |
小俣光之さん:原作。プログラマー社長のブログ(ITmediaオルタナティブ・ブログ)ブロガー 本橋ゆうこさん:イラストレーション。本橋ゆうこの「エンガワで背泳ぎ?!」(誠ブログ)ブロガー 鈴木麻紀:編集・構成。ITmedia エンタープライズ編集部 金武明日香:モデレータ。@IT自分戦略研究所編集担当 |
金武:連載の無事終了、そして書籍化おめでとうございます。
全員:ありがとうございます!
金武:連載を始めるきっかけは何だったんですか?
原作 小俣光之さん |
小俣:わたしがブログを書いているITmedia オルタナティブ・ブログの定例ミーティング後の懇親会で、編集の鈴木さんから声を掛けてもらったことです。組織のリーダーにリーダー論を説く記事が書けないかという話で、当初は普通の記事形式を想定していましたが、企画を詰めていく過程で会話形式にしようということになっていきました。
そこでさっそく、先輩が若手の男性リーダーを指導する内容の原稿を書いて鈴木さんにメールで送りました。そうしたら、「ちょっとアレンジしました」と鈴木さんから返信が来て。それはわたしが書いた原稿とはまったく違うものになっていたのですが、コミカルな読み物風で面白いので、これで行きましょうということになったんです。主人公の『しんこちゃん』は、このときに登場しました。
鈴木:最初は、青年が失敗を乗り越えて成長する姿を書いてもらう予定だったのですが、女の子の方がいいかな、それなら先輩は熱血漢で……と、そこからざっくりとキャラクターの設定をしました。
金武:制作はどのような流れだったのでしょうか?
小俣:わたし、書くのが早いんです。1本を15〜30分で書いちゃう。で、どんどん書いて鈴木さんに送るのですが、当初はなかなか記事にしてもらえませんでした。
鈴木:わたしは逆に、とても時間がかかっていました。というのも、小俣さんの文章は説教くさくて(笑)。でも伝えようとしていたメッセージは大切なものばかりなので、読者にうまく伝わるようにしようと工夫しました。
まずは原稿をバラバラにして、先輩役の輩田(やからだ)さんが「こうしろ」と頭ごなしにいうのではなく、しんこちゃんが「こうしたい」と自分からいうように輩田さんにリードしてもらいます。さらに起承転結を組み替えたり書き加えたり、編集部の先輩に見てもらって「ここはしんこちゃんらしくない」などの意見が出たら反映して。そうやってできあがった原稿を本橋さんに送っていました。
イラストレーション 本橋ゆうこさん |
本橋:わたしは原稿が届いたらまず読んで、そこから1日ぐらい置いておきます。そうすると自分の中でお話がいい具合に醸成されて、会話の様子が思い浮かんできました。
■立場によって異なる、問題児の考え方
金武:どんどん登場人物が増えていきますが、キャラクター設定は小俣さんがされていたんですか?
小俣:わたしは新たな登場人物はAさん、Bさんと書いていました。なので、キャラクターの設定は基本的に鈴木さんですね。ライバルの春美ちゃんは最初は荒々しい美人だから「荒美ちゃん」という名前でしたが、それでは怖すぎるということで春美ちゃんになったりもしてるんですよ。
鈴木:ネーミングはほとんどゴロ合わせです。問題児は門田君、お得意さまは徳井さんという感じです。春美ちゃんはしんこちゃんのライバルなので、フルネームを「御手洗春美(みた“らいはる”み)」にしました。
本橋:イラストでのキャラクターのイメージは、小俣さんや鈴木さんから指定はされませんでした。とはいえわたしが想像して勝手に描いたというよりも、文章の行間からそれぞれのイメージが浮かび上がってきた、という感じです。素材は文章の中にあって、それをただわたしがイラストにしただけなんです。
金武:連載中、苦労したことはありますか?
小俣:各回のテーマはだいたい決まっていたんですが、中には面白く書くのが難しいものもありました。わたしが「これは面白くするのが難しいなぁ」という時は、鈴木さんの作業も時間がかかっていたようです。
本橋:きっと、そういうときはイラストも苦労していたと思います。
鈴木:苦労したのは、資格や新人教育がテーマの回でしょうか。それと、最初に門田君が登場したときも苦労しました。
小俣:門田君登場のときは、最初「駄目なやつは切るんだ」ぐらいの勢いで書いたら、「これじゃ記事にできません」といわれましたっけ。
本橋:門田君の回は、ターニングポイントだったかもしれませんね。これで、この連載の方向性が決まったという気がしました。
鈴木:確かに。それまでは組織を運営するために『やったら良いこと』を取り上げてきたけれど、この回からはつらいテーマにも取り組み始めましたね。
門田君はその後、回を追うごとに変化していきます。彼の成長は印象深い出来事でした。でも、わたしたちが門田君を変化させたというよりも、彼が自然と変わっていったように感じます。
本橋:企業のトップは、悪い人は切って影響が全体に及ばないようにしようとする。中間層は、与えられたリソースをなんとか生かす方法を考える。そして、問題の当事者もいて、その人にもその人なりの考えがあるはずです。
わたしは組織に所属しないフリーランスなので、どの立場にも立たずに全体を対等に見ていました。その上で、みんな頑張ればいいのになぁと思っていました。だから、この連載を通じて、しんこちゃんをはじめ、みんなが成長して良かったなぁと感じています。
原画(手書き!)と本橋さん。手に持っているのは書籍の表紙 |
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