大学院生注目! 就職先の選び方
@IT自分戦略研究所 先輩インタビュー
小林秀雄
2009/6/30
これから社会に出る大学院生にとって、就職先を選ぶのは至難の業。そこで@IT自分戦略研究所は、理系大学院生に人気の企業で活躍する先輩エンジニアにインタビュー。就職先としてその企業を選んだ理由、現在の仕事内容、将来の夢などを聞いた。皆さんの就職先選びに、大いに参考にしてほしい。 |
学生から社会人へ。そこではさまざまな可能性を秘めた道がいくつにも分かれ、広がっている。どの道を選ぶかは自分次第。日立製作所に入社した磯和洋道氏が選択したのは、社会のインフラを支える情報システムの開発を行う仕事だった。
先輩プロフィール 日立製作所 情報制御システム事業部 交通システム本部 磯和洋道氏 2007年4月入社 |
大学院での専攻 | 東京理科大学大学院 理学研究科 数学専攻 |
大学院での研究テーマ | 多変量解析、数理統計学(データに欠損が生じた場合の統計的推測や検定問題に対する研究) |
現在の仕事 | 鉄道会社を顧客とする、車両の輸送計画を作成するシステムや車両のメンテナンスを管理するシステムの開発 |
なぜ日立製作所? | 交通インフラ分野で高い技術力と豊富な実績を持っているから |
今後の希望 | システム全体を束ねるプロジェクトマネージャになりたい |
磯和氏は、東京理科大学大学院で数学を専攻した。大学院で研究したのは、多変量解析と数理統計学だ。人はさまざまなデータを分析することによって、いま起こっている事象を理解したり対応策を考えたりする。分析に必要なデータがすべて手元にあれば、解を得ることはそれほど難しくないだろう。しかし、現実の世界ではデータが欠損していることの方が多い。「そういう場合、既存の分析手法が使えません。数学の定理など数学の基礎理論から考えて、データが欠損していても分析できる手法を研究していました」
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磯和氏が携わった研究は、一朝一夕に成果が得られるものではない。先輩から後輩へと引き継がれる中で、分析手法そのものを生み出していくというのが基礎理論の分野だ。基礎理論を確立するための営為は一見すると地味だし、成果を得るまでに時間がかかる。しかし、優れた基礎理論は社会を変える力を持つ。
そう考えると、磯和氏が就職に際し、インフラ関係の仕事を志したのは自然なことだといえる。
昔から鉄道が好きだったことが、インフラへの関心を高めるきっかけとなった。「鉄道は誰でも使うもの。社会貢献度が大きい」。鉄道会社や電力会社などを就職先の候補とする中、インフラ自体のことも学んだ。その過程で芽生えたのが「社会基盤そのものを作っていきたい」という強い思いだった。
そういう思いを抱いて就職活動に取り組み、出合ったのが日立製作所だった。同社は、家電やITシステムのみならず交通や電力など社会インフラ分野で高い技術力を持つ。磯和氏は2007年4月の入社後、面談を経て情報制御システム事業部交通システム本部に配属。希望はかなった。車両というハードウェアを円滑に運行させる源泉となるのは情報システムであり、ソフトウェアの力だ。鉄道分野のITシステムを開発する部門に所属した磯和氏は、ITエンジニアとしてまさに社会インフラを作る仕事に取り組み始めたのだ。
数学とシステム開発の共通点 |
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