テクノロジスペシャリストという仕事
ソフトウェアはエンタープライズ領域こそ面白い
ワークスアプリケーションズの大手企業向けERPパッケージ「COMPANY」は、とてつもない機能数が標準機能として集約され、開発における難易度や規模は高い技術レベルを要する。その圧倒的な競争力を支えるのがテクノロジスペシャリスト部隊。いま同社では、グローバルな舞台での戦いに向けて戦力強化が始まっている。 |
エンタープライズ業界のテクノロジはコンシューマー向け(BtoC)に比べて、一見すると地味な印象がある。しかし、ワークスアプリケーションズが提供する「COMPANY」シリーズは、難易度、規模、特異性の点から、エンジニアにとってやりがいの塊のような、とてつもないソフトウェアだ。そのパフォーマンスや開発インフラの改善を中心に、同社のイノベーションをけん引しているのが、アドバンスト・テクノロジ&エンジニアリング(ATE)本部ゲストフェローの井上誠一郎氏である。
エンタープライズソフトウェアへの誤解 エンジニアの醍醐味(だいごみ)がここにある |
井上氏は、東京大学電子情報工学部を卒業後、米Iris Associates社でロータス・ノーツの開発に従事。その後アリエル・ネットワークを設立し、CTOを務めた。ワークスアプリケーションズとの縁は、そのころに起因する。
「ロータス4年間の在籍のうち、2年間はアメリカでロータス・ノーツの開発をしていました。2000年に帰国し、翌年、当時の上司に誘われて一緒に会社を立ち上げようという話になり、5人のメンバーでアリエル・ネットワークを創業しました。ワークスアプリケーションズのグループ会社になったのが2004年。その過程でCEO牧野と話をして、技術者をとても大事にしている会社だという印象を持ちました」
このような経緯で、井上氏はアリエル・ネットワークのCTOを務めながら、2012年からは、ワークスアプリケーションズATE本部のゲストフェローを兼務している。
ロータス・ノーツ以来、エンタープライズソフトウェアに関わり続けてきた井上氏は、エンタープライズのどこに魅力を感じているのだろうか。
「コンシューマー系に憧れる若い人の気持ちはとてもよく分かります。エンタープライズは企業の最重要情報を扱うという性質上、システムの安定性や堅牢性が重要視されてきました。そのため、どうしてもエンタープライズの技術は安定性の高い枯れた技術を使っている、という認識を抱かせてしまうのです。しかし、これは誤解だと考えています。技術の基盤で言ったら、エンタープライズもコンシューマーも基本的には変わらないというのが、経験から得た知見です。インターネットの標準技術に寄っていく業界動向も同じですし、データベースの重要性にも違いはありません。技術的なトレンドとして、インメモリ処理や非同期処理、機械学習を利用した確率的なデータ分析の流れも似ています。狙いは早く安定して動くシステムということなので、求められているものは同じ。あるのは提供している価値の違いだけです」
では、提供している価値の違いとは何か。「コンシューマーは安定よりもバリューを重視します。バリューが低ければ、一瞬で使われなくなってしまう。もちろん使っていて楽しい、面白いものでなければ見向きもされません。一方、エンタープライズは、企業が予算を割いてシステムを買うのですから、簡単にシステムを変えたりやり直したりができないものです。またそのシステムを使ってビジネスをまわすのですから、提供価値が全く異なります。しかし、この考え方も現在では違うと思っています。今の世の中にはITがあふれ、多くの人がアプリケーションを使って生活をしています。つまり、エンタープライズには、企業向けシステムという安定性や堅牢性に加え、コンシューマーと同じレベルのバリューを求められているのです。この点、世の中の誤解があると思いますね」
また、井上氏はエンタープライズの特色について、こうも述べる。「ERPパッケージが対象としているビジネスの世界は、生産して成長し続ける、それ自体が巨大なソフトウェアともいうべき世界。その中でエンタープライズは100年後も価値を出し続けるソフトウェアでなければなりません。現状のビジネスで価値を提供しながら、ビジネス自体の進化も同時に求められる難しさこそがエンタープライズの醍醐味です。その面白さを多くのエンジニアに伝え切れていないとすれば、それは僕らの責任です」
100倍、1000倍のパフォーマンスを目指す 世界で勝っていくためのスケーラビリティを追求 |
ワークスアプリケーションズ アドバンスト・テクノロジー&エンジニアリング(ATE)本部 本部ゲストフェロー 井上誠一郎氏 |
エンタープライズに求められる欲求が今後、今まで以上に高まる中、それを凌駕(りょうが)して市場に提案していくことが必要となる。ATE本部は、「COMPANY」の「非機能要件」、つまり、パフォーマンスやセキュリティ、安定性、品質等を向上させるための基盤技術を担っている。まさにエンタープライズに変革を起こし、圧倒的な価値を創造するミッションの中核にいる存在だ。
「ATEは、ワークスアプリケーションズの中にある研究開発部門。普通の会社ではできないようなレベルの、従来の100倍、1000倍のパフォーマンス向上を目指しています。そのためには、使っているアルゴリズムそのものを替えるといったドラスチックなことを行います。例えば巨大なデータをメモリに積もうとすると、データ圧縮をしないといけない。こうした分野は数学的なバックグラウンドが必要です。そういう人材は、コンシューマー系だけを見ずに、ぜひエンタープライズの世界も知ってほしい」
そして、ワークスアプリケーションズが次に見据えているのは「世界」だ。
「何もないところからグローバルに出ていくというのは夢物語だと思いますが、ワークスアプリケーションズの場合は、国内で支持されている機能がそろっている。国内マーケットでそれが実証されているので、あとは世界で使われるためのスケーラビリティをどうやって実現するか。さまざまなパフォーマンスをすべて向上させていくことで、結果的にグローバルでも売れる製品になると思っています。作る側として、作ったものが広まっていく楽しさは、今までも国内で感じてきましたが、その次のフェーズが今まさに始まりつつあるので、非常にワクワクしています」
いわば、製造業に例えればトヨタやソニーが海外に出ていったようなことが、これからソフトウェアの世界で起ころうとしている。「舞台は整っていますね。それができるかどうかは、まさに自分たちの問題。そこを人のせいにしていたらダメだと思っています」
唯一無二の製品を開発 イノベーションの連続しか、勝つ道はない |
では、グローバルな戦場で、ATEはどんな戦い方を考えているのだろうか。「ATEとしては、とにかくCOMPANYを世界に売っていくために強化したい非機能要件、つまりパフォーマンスや可用性、運用品質などの向上にまずフォーカスする」。機能要件についてはATE本部以外の製品開発部門に優秀な人材が多くおり、マーケティング・セールスも経営陣も一流の人材がそろっている、と語る井上氏は、「全部門と一致団結して世界をとりにいく」ことを目指している。
大学の研究や製造業的な基礎研究所との違いは、ビジネスの結果を追い求め、フィードバックも受けていくこと。「われわれにとっていま必要なのは、コンシューマー向けの製品と同様に市場のフィードバックをガンガン受けて、圧倒的なスピードで製品を向上させていくことだと思っています」
グローバルに出ていくフェーズとなったいま、ワークスアプリケーションズはどの企業を競争相手と考えているのだろうか。
「『この武器が1つあったら絶対勝てます』と言うのは格好いいですが、それはウソです。1つの強靭な武器よりも、いかに変化に追随し、自ら変化を創りだすか。イノベーションの連続しか勝つ道はないと思っています。ワークスアプリケーションズの作る製品は唯一のものであり、そこに競合はいません。競合が生まれたとしても私たちはまたイノベーションを興すので、常に唯一の存在といえます」
オーダーメイドからパッケージソフトへと、エンタープライズの世界を革新してきたワークスアプリケーションズ。次なる挑戦である世界進出への取り組みは、すでに始まっている。
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