「10年後、われわれのやっているサービスこそが業界の主流だ」。そう確信し、ITの未踏領域へ挑む企業、それがウルシステムズだ。現在、ITを抜きにして経営戦略を語ることは不可能なこと。しかし、実際にはIT投資がビジネスの成果につながらないことも多々ある。ウルシステムズは「ビジネスとITのギャップを埋める」ユニークなコンサルティングに果敢にチャレンジしている。その未来にあるのは何か? |
日本のIT業界が抱える問題とは?
「必死に作っているのに、お客さまの役に立たないシステムが出来上がる」
「開発現場は、労働集約型でデフレに陥っている」
「欧米発の技術を輸入・再販するだけで、日本発の技術が生まれていない」
これらは、現在の日本のIT業界が抱える課題である。この閉塞した状況に風穴を開けようというのがウルシステムズだ。同社は2000年に設立された「戦略的IT」の分野に特化した新しいコンサルティングを行うベンチャー企業である。
ウルシステムズは、従来型のコンサルティング企業でもシステムインテグレータでもない。本当の意味でお客さま側に立って、企業戦略を描き、業務改革を推進し、最適なITを設計・構築してお客さまのビジネスに貢献する。お客さまの名刺を持って仕事をしていることが、この事実を如実に物語っている。
躍進の主役はコンサルタントの存在
2000年の設立からこれまで、数多くの大手優良企業から信頼を得て成長を続け、2006年2月には上場を果たした。
大きな成長を支えたのは、“ゼロ”からこの新しい領域を開拓した同社のコンサルタント陣の存在だ。
お客さまが求めているのは、ビジネスを成功させるために具体的にシステムをどう構築したらよいのか、直したらよいかを、お客さま側で引っ張っていける人材である。こうした要望に応えるために奮闘している同社のコンサルタントは、一体どのような仕事をしているのか。2人の若手コンサルタントから話を聞いた。
金融機関のWebシステム・プロジェクトが転機に
ウルシステムズ シニアコンサルタント 村上歴氏 |
「プログラムやシステムを作るだけの世界ではなく、もっと大きな世界を見たい。会社の心臓部として機能する“ITの現場”で、自分に何ができるのかを勝負したかった」と語るのは、シニアコンサルタントの村上歴氏。
入社前は大手ソフトウェア開発会社のITエンジニアとして活躍していた。そんな村上氏に転機が訪れたのは、ある金融機関のWebシステム・プロジェクトで、企画から設計・構築までをシステムインテグレータとしてプロジェクトに積極的にかかわった時だ。初めて「ビジネスとIT」の両軸で考える面白みを知った村上氏は、それが実現できる環境を求めて、ウルシステムズへの転職を決めた。
コンサルタントとして重要なスキルは「お客さまは何が気になっているのか」を聞き出すヒアリング能力であり、「そのために何をする必要があるのか」を論理的に考え、それを分かりやすく“絵”に描けることだと村上氏はいう。
入社前は「コンサルタントがどんなことをするのかさえよく知らなかった」と語る村上氏であるが、同社の先輩コンサルタントの仕事ぶりを見ながら、ITエンジニアからコンサルタントへ立ち位置を変えるために必要なことを学んだ。
手掛けているプロジェクトと将来のキャリア
村上氏は現在、ベンチャー企業におけるITガバナンス強化のプロジェクトマネージャとして活躍中だ。ITガバナンス強化とは、ユーザー企業がベンダに依存することなく、継続的にITを開発・拡張していくために発注力や開発技術を向上、定着させることを支援するサービスのこと。
もっと分かりやすくいえば、社内でバラバラに存在しているシステムをどうするか、システム部門の人員をどう育てるか、これらの「システム部門が永遠に抱える課題」をお客さまとともに解決するサービスだ。
このプロジェクトを遂行するために必要なスキルは、最先端の技術力、ユーザー企業の業種・業務に関する知識、仮説検証やロジカルシンキング、ビジネスモデリング、コミュニケーションのスキルが重要だ。村上氏は、これまでの経験で得たスキルを総動員してプロジェクトにぶつかっている。
これまで、ビジネスモデリングを駆使した業務分析や、SOAベースでのシステム企画・開発などのプロジェクトを成功に導いてきた村上氏であるが、現在のITガバナンス強化の分野に携わったことで、さらに深くシステム開発の世界が見られるようになった。次のキャリアのステージとして望むのは、CIO補佐としてお客さまの心臓部に入ることだという。
「ウルシステムズで身に付けた能力は、時間が経っても磨耗することはない、何があっても生き抜いていけるものだと確信しています。何事も深く追求することが好きで、向上心のある人はぜひ挑戦してほしいですね」(村上氏)
技術者として、最先端のコンサルタントとして、真価を発揮できる環境と仲間が、ウルシステムズにはある。
本当の仕事のだいご味はどこにある?
「お客さまに喜ばれることが仕事のだいご味」と、システム開発のやりがいを語るITエンジニアは多いだろう。しかし実際に、お客さまと一丸となってシステムを作り上げ、喜ばれた経験があるITエンジニアはどれほどいるだろうか。
「お客さまとのギャップ」、そして「経営とITのギャップ」はどこからくるのか。それはお客さまの「これからの戦略」「現場の業務」「使っているIT」それぞれが、乖離していることに起因する。ウルシステムズは、これらの3つの要素をうまくブリッジできることに強みを持つ。
ウルシステムズのコンサルティングサービスは、戦略に合致した業務を可視化する「ビジネスモデリングサービス」、ビジネスに利益をもたらすITを提供する「先端システム開発サービス」、お客さまのIT力を強化する「ITガバナンス強化サービス」であり、これらによってお客さまのプロジェクトを成功に導いている(図1)。
図1 お客さまのニーズにウルシステムズが提供しているサービス |
これは従来にはなかった新しいサービスモデルであり、今後のIT業界の主流となるであろう高付加価値サービスの先駆けである。お客さまと同じ席に座り、経営企画やCIOの役割を果たす。お客さまと一緒に業務改革を推進し、システム設計をし、構築はお客さま側に立ち、システムインテグレータと交渉する。「われわれにしかできない最先端のITと重要な基盤部分はわれわれ自身が提供していく。しかし単に自社の売り上げ拡大を目指すようなゼネコン的なシステムインテグレーションは一切やらない」(ウルシステムズ 代表取締役社長 漆原茂氏)。この軸足こそがウルシステムズが他社と一線を画する理由である。
CIO支援とはどのような業務か
次に登場するのは、同じくシニアコンサルタントの坂本直紀氏。ウルシステムズへの転職によってお客さまとの接点が強くなり、「難しいけれど、やりがいのある仕事」への転身を果たした1人だ。
ウルシステムズ シニアコンサルタント 坂本直紀氏 |
坂本氏は前職では、通信会社のお客さまに対し、UNIX系のシステム開発のプロジェクトを7年ほど担当していた。ウルシステムズに転職したのは2005年10月。それ以来、着々とコンサルタントとしての力を付け、現在はあるお客さまのCIO支援を行っている。
「入社する前はウルシステムズのことは雑誌で読んで知っている程度でした。オブジェクト指向とかUMLがクローズアップされていたので、技術指向の会社というイメージだけを持っていました。しかし、実際にはお客さま志向の会社であり、技術はお客さまがビジネスゴールを達成するための道具と理解していることを知り、地に足の付いた会社だと感じて入社を決意しました」と坂本氏。
現在のCIO支援は、入社後2つ目のプロジェクトである。お客さま側に情報システム部がないため、坂本氏がその役目を一手に引き受けている。例えば、ユーザー企業のシステム戦略について、「どういう形で投資していくのか」「システムにかかわる人材の行動基準をどのように定義付けるのか」を規定したり、業務分析をして既存のシステムの改善プランを練ったりする。
またプランを練るだけでなく、役員から承認を得てベンダとシステムを構築していくことも坂本氏の役割だ。これまでベンダ側にいた坂本氏にとって、「仕事に幅と奥深さが広がった」という。もちろん開発の部分では前職でのプロジェクトマネージャ経験が非常に役立っている。
切磋琢磨する仲間が多い環境が人を伸ばす
「入社して最初に入ったプロジェクトのメンバーに、カルチャーショックを受けました。7年間ITエンジニアをやってきましたが、ここまでレベルの高い人々に出会ったのは初めてでした」と坂本氏。向上心が高く、コンサルタントとして常に一歩踏み出さんと意欲にあふれた社員が多い。このような刺激を受ける環境が、人を伸ばしていくのだ。
今後は、もっと業務分析や要件定義の仕事を深めていきたいと坂本氏。その先にあるのはシステムアナリストへのキャリアだ。ウルシステムズに入社して、自らのキャリアを先まで見据えることができるようになった坂本氏。現在はコンサルタントとしての幅を広げている最中だ。
一歩先を行く事業モデルとキャリアを目指せ
入社以来、村上氏・坂本氏の仕事ぶりを見守り続けてきた代表取締役社長の漆原茂氏は、2人が成長を続ける原動力について、次のように語る。
ウルシステムズ 代表取締役社長 漆原茂氏 |
「彼らには、常々『5歳上の仕事をしよう』といっています。入社前までの仕事では、お客さまの現場担当者と話すだけだったと思いますが、現在はお客さまの心臓部に『CIOの代わり』という重要な役割で飛び込んでいます。お客さまに大きく期待され、仕事を任されることで人は大きく成長します。背伸びをして真剣にお客さまと向き合って仕事をすれば、それだけ成長が実感できるはずです」
同社は大きく2つの事業を展開している。前述のユニークなコンサルティングを提供する「ナレッジベースソリューション(KBS)事業」に加え、新たに同社のノウハウを基に開発した新しいソフトウェアの開発・販売を「プロダクトベースソリューション(PBS)事業」として立ち上げている。コンサルティングの基盤を整備してきたKBS事業の提供を会社成長の第1フェイズとするならば、コンサルティングで蓄えた知的資産を強みにしたPBS事業の展開は、同社成長の第2フェイズに当たる。「IT業界は、いわゆる人月の拡大だけに頼ってしまった事業モデルが多いんです。この構図が業界の疲弊を生み、労働集約産業にしてしまった」と漆原氏は語る。新しいソフトウェアソリューションによって業界変革に貢献し、健全に、かつ大きな利益成長が期待できる、という。ウルシステムズはこれから先、KBSとPBSの両軸を中心に大きく事業を加速させていく。
「IT業界も、お客さまも含めて、世の中はこれから爆発的に変わります。良いお客さまのわくわくするビジネスを素晴らしい仲間と一緒に体感してほしい。正しい健全な利益成長ができる事業モデルを私たち自身で証明し、業界を元気にしていきましょう。こんな環境、ほかにはないはずです」。これから新たに参画するメンバーに対して、漆原氏が力強いメッセージを送った。キャリア採用セミナー |
「カジュアルコーヒーミーティング」 〜コアバリュー向上を目指す皆さんと語り合う90分〜 ウルシステムズが皆さんと想いを共有する「カジュアルコーヒーミーティング」、プロフェッショナルを目指す皆さんと語り合う場をご用意しました。最先端を極めたい方、クライアントに真に貢献するコンサルタントを目指している方、ビジネス現場を見てみたい方、どうぞお気軽にご参加ください。社長の漆原と、是非フランクな議論をしてみませんか? [詳細はこちらから] |
ウルシステムズ株式会社
企画・制作:@IT自分戦略研究所
掲載内容有効期限:2007年2月20日
会社概要 |
■社名 ウルシステムズ株式会社(UL Systems, Inc.) ■所在地 〒104-6014 東京都中央区晴海1-8-10 トリトンスクエア タワーX 14F ■設立 2000年7月25日 ■代表者 7億9,419万円(2006年3月31日現在) ■事業内容 ウルシステムズは、戦略的ITによってお客様にビジネスの成功をお届けするコンサルティング会社です。 ・お客様の成功をITで支援するコンサルティングサービス ・ビジネス革新を支える日本発のソフトウェアソリューション |
募集職種 |
業務分析コンサルタント ■業務内容 クライアントへのインタビュー、観察調査、資料調査などにより、対象業務・課題の可視化・優先度付け、解決策の立案、実行計画作成、実行支援を行う。 クライアントとのセッション・ヒアリングを通して、顧客の事業戦略、ビジネスモデルをモデル化する。モデリング手法・ツールとしては、UML、DOAなどを用いる。 ビジネスコンサルタント ■業務内容 業界知識や経験、業界別のソリューションを用いて、事業の課題分析、解決策立案、施策実施などを顧客チームと一体となって支援する。 プロジェクトマネジャー ■業務内容 コンサルプロジェクトにおいて提案活動、プロジェクト管理(クライアントリレーション、メンバー、スケジュール、収支、リスク、品質管理等)を行う。またクライアント企業のIT化計画の策定支援、プロジェクトコントロールの支援などを行う。 テクノロジコンサルタント (アーキテクト) ■業務内容 システムの要件定義と業務モデルをもとに個々のシステムのアーキテクチャを設計し、基幹業務システム構築を支援する。クライアントの技術者に対してフレームワークを使用した開発を技術指導する。 SE(コンサルタント候補) ■業務内容 コンサルタント候補として、まずはオープン系基幹業務システムの設計・開発に取り組んでいただき、将来はコンサルタントとして活躍いただくことを期待。 パッケージ導入コンサルタント(流通業向け次世代XML-EDIソフトウェア) ■業務内容 自社開発の流通業向け次世代XML-EDIソフトウェア(UMLaut/J-XML)をユーザー企業に導入するための支援コンサルティング活動全般。 パッケージ開発エンジニア ■業務内容 自社開発の流通業向け次世代XML-EDIソフトウェア(UMLaut/J-XML)の開発。 |
採用条件 |
■給与 面接時にご経歴、実績、経験、知識にもとづき、弊社における職位、職種を確認させていただいたうえで、決定いたします。 通勤交通費は実費支給 ■賞与 年2回(6月、12月) ■福利厚生 各種社会保険完備、団体福祉生命保険・長期所得補償保険制度、能力開発補助制度、リフレッシュ休暇制度、財形貯蓄制度、従業員持株会制度 ■就業条件 就業時間 裁量労働制 ■休日 完全週休2日制(土、日)、祝日、創立記念日(7月25日)、年末年始 休暇 年次有給休暇(初年度より20日/年間) 慶弔休暇 ■勤務地 東京都中央区晴海(本社) ■応募 詳しい応募要項に関してはこちらをご覧ください |
キャリア採用セミナー |
@IT関連記事 |
@IT情報マネジメント 〜事例で学ぶビジネスモデリング〜 本連載では、IT技術者にビジネスモデリングのイメージを持ってもらうため、ウルシステムズが行ってきたコンサルティング事例を紹介しています |
||
■第1回 IT技術者が「上流」に出て行く理由 | ||
■第2回 システム開発は「戦略立案」から始まる | ||
■第3回 戦略コンサルの基本「仮説検証プロセス」 | ||
■第4回 企業の健康を診断する「業務分析」 | ||
■第5回 ビジネスモデリングだけでは語れない業務分析の現場 | ||
■第6回 ビジネスモデリングの使いどころ | ||
■第7回 戦略実現の鍵を握る情報システム部 | ||
■第8回 戦略と技術のコラボレーションで事業をつくる | ||
■第9回 初めての上流コンサルティング | ||
その他関連記事 | ||
■人月モデルを脱却する1つの解、ウルシステムズの2007年(@IT NewsInsight) | ||
■サイベースのRDB OEM戦略、ウルと流通業で (@IT NewsInsight) |
||
■XML-EDIオールインワン製品発売、導入コストは3分の1、ウル(@IT NewsInsight) | ||
■ITエンジニアの行く先にあるものとは(@IT自分戦略研究所) | ||
■涼宮ハルヒのWeb2.0的成功要因分析、ウルシステムズ(@IT NewsInsight) | ||
■日本のITエンジニアは生き残れるのか(@IT自分戦略研究所) | ||
|
||