SQL Serverを利用したシステム開発、運用案件は多いためか、SQL Serverにかかわる業務に携わっていれば、とりあえずは仕事(案件)に困らないという声を聞くことがある。そのため、仕事をこなしながら技術を学び、いつのまにか“スキルが身に付いていた”ことはないだろうか? それにより、データベース技術の土台、基礎、全体像をつかめないままでいる人も多い。そんなエンジニアにこそ一度しっかり腰を据えて、基本からしっかりとデータベースの基礎、製品知識を身に付ける必要がある。
さらに、データベースはいまや単体で利用するよりも、さまざまなミドルウェアやほかのシステムなどと組み合わせて使うことが多い。そのため、データベースだけのスキルだけではなく、そのほかの周辺技術もある程度知っておく必要がある。
こうした技術の基本やデータベース以外の周辺技術を学ぶいい方法はあるのだろうか。最も効率よくそうしたことを学べるのが、マイクロソフト認定資格であるMCDBA(マイクロソフト認定データベース アドミニストレータ)である。
資格取得だけの勉強に終わらせない |
MCDBAの資格取得が、資格を得られるという以外にどんなメリットがあるのか。基本的に考えられるのは、次のようなメリットだろう。
(1)データベース製品の知識を効率よく学べる
(2)周辺知識の習得にも役立つ
(3)実践に生かすことができる
(4)指示されていた作業の意味が分かる
(5)資格を通じてスキルパスが見え、目標が持てる
資格取得を目指すことで、実際にどのようなメリットがあるのかを、CSK 教育サービス事業部でSQL Serverの講座などで講師を務める上野浩治氏と金子真由美氏に尋ねてみた。
株式会社CSK 教育サービス事業部 主査 上野 浩治氏 ■1987年CSKに入社し、IBMメインフレームの開発・運用の技術研修業務に従事する。その後、ダウンサイジングの流れとともにPC LAN、NetWare、UNIX、Oracleを経験、1994年にマイクロソフト認定トレーナーとなり、現在はWindows、SQL Serverの講座を担当している。 |
試験対策のための勉強は、試験への合格が目標になる。しかし、それだけを目標にしてしまうと、実践力の伴わないエンジニアになってしまう危険がある。資格取得そのものではなく、広く深い知識と理解を得るために勉強することを真の目標に掲げることで、資格認定試験の対策勉強が効率的な学習方法となる。
CSKの金子氏は、試験勉強の成功・不成功を長期的な視点でとらえていると述べる。「認定試験の対策勉強が実践の場で生かせるかどうかは、当人の意識の持ち方や勉強方法によります。記憶力だけに頼って設問と解答を暗記するだけならば、試験には合格するでしょうが、実践の場、つまり現場で立ち往生することになります。逆に、試験範囲の内容を深く理解することを心がけると実践にも役立つようです」と指摘する。重要なことは、資格取得を目的に一夜漬けで覚えるのではなく、試験範囲を理解することになるわけだ。
上野氏は「トレーニングで、受講者が実際の現場で発生したトラブルの相談を多く受けます。しかし、現場の事情を深く知らない私でも、試験対策勉強で得た知識の範囲内で質問の7割は即答できます」ということも強調する。つまり、資格取得を目指す勉強をすることで、試験範囲の技術などの幅広い知識が理解できるようになり、実践でも役立つようになる。
MCDBAへの資格パスを有効に |
株式会社CSK 教育サービス事業部 主務 金子 真由美氏 ■1992年、株式会社CSK入社後、10年近く流通業界向けのシステム開発を主に担当。2001年に現組織に移り、現在はマイクロソフト認定トレーナーとしてMS SQL Server関連のトレーニングなどを担当。開発現場に近いストーリー性のある講義に取り組んでいる。 |
それでは、SQL Serverを中心とした知識を習得するには、どの認定試験を目標にすればいいのだろうか。まずは一般的な知識や基礎からと考えると、基礎理論の充実を目指してMCAから学習し始めるとよい。MCAは「MCA OS・ネットワーク」「MCA データベース」、それに「MCA アプリケーション構築」の3科目あるが、理想的には「MCA データベース」と「MCA OS・ネットワーク」の2科目を学習し、データベース、OS・ネットワークの基礎理論をしっかりと押さえておくと、次のスキルアップに役立つだろう。
その次に目指したいのが、MCDBAである。MCPには、MCSA、MCSE(システムエンジニアトラック)、MCAD、MCSD(ソリューションデベロッパートラック)、そしてMCDBA(データベースアドミニストレータトラック)の3つの資格体系がある。
データベーススペシャリストを目指すには、このMCDBAに挑戦すればよい。MCDBAを取得するには、必須科目が3科目、選択科目が1科目、合計4科目に合格しなくてはならない。この試験を受ける順番としてお勧めするのは、次の図に紹介したとおりだ。具体的には、MCA データベースの合格後、運用管理の1科目、次に設計・実装の1科目の順番に受けること。さらにMCA OS・ネットワークの知識を基に、サーバOSの試験に挑戦し、必須3科目に合格する。その後、自分の目的に合った試験を1科目受験し、MCDBAへの合格を目指せばよい。なお、選択試験科目について図では、DBスキルの向上、ネットワークスキルの向上、開発スキルの向上という3つに分類してみた。受験する際の参考にしてほしい。
マイクロソフト認定データベース アドミニストレータ(MCDBA)取得のための必須試験科目及び選択試験科目の詳細は、マイクロソフトの関連ページを参照してほしい |
なお、MCPのほかの2つのトラックと比べ、これでも試験数は少ないが、各試験の難易度は高い。上野氏によると「データベース系のベンダ認定資格のうち、最も取得が難しい」そうだ。だからMCDBAはSQL Serverを扱うデータベースエンジニアには最高位の位置付けにあり、認定されれば最高の勲章に値するだろう。
そうはいっても、MCDBAを最終目標とするのではなく、あくまでそれも通過点だと心得よう。MCDBAに合格した後は、各自のキャリア戦略によって、データベースに特化してさらなるDBスペシャリストを目指すか、データベースのスキルをコアスキルとして、ネットワークやシステム開発のスペシャリストを目指すのもいいだろう。
具体的な学習教材は |
MCA、MCDBAともに、集合研修からeラーニング、書籍まで効率よく学べる教材が整っている。時間・費用など事情に合わせて、最適な教材を選択していただきたい。
MCA取得のための学習教材
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MCA データベース対応学習教材
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MCA OS・ネットワーク対応学習教材
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MCDBA取得のための学習教材(必須試験科目)
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70-228対応学習教材
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70-229対応学習教材
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70-215対応学習教材
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企画・制作:アットマーク・アイティ 人財局
関連記事(@IT:FYI) |
・バリューアップに役立つマイクロソフト新資格「MCA」 ・スキルの土台づくりに生かすMCP資格 ・どう学ぶ? VB.NET 〜マイクロソフト新資格MCADを有効活用〜 ・技術力を問われるネットワークエンジニアと進化したMCPプログラム |
MCP関連略語集 |
MCPプログラム Microsoft Certified Professional Program:マイクロソフト認定技術資格制度 システムエンジニア、システムインテグレータ、コンサルタント、プログラマー、トレーナーなど、コンピュータや情報システム関連の技術者を対象とした、マイクロソフト製品の技術的知識に関する認定資格制度 MSU Microsoft University:マイクロソフトユニバーシティ 米国マイクロソフトが企画・開発したマイクロソフト オフィシャル カリキュラム(MOC)を基に、 各製品の日本語版に対応させ日本語化した講習会トレーニング(ILT) MS CTEC Microsoft Certified Training Education Center:マイクロソフト認定技術教育センター マイクロソフトが認定した教育機関。MSUを中心としたカリキュラムや教材で、マイクロソフト製品の技術習得のためのソリューシ |
MCP資格種類 |
MCDBA Microsoft Certified Database Administrator:マイクロソフト認定データベースアドミニストレーター Microsoft SQL Serverデータベースの設計、開発、導入、管理などを行うエンジニア向け資格 MCSA Microsoft Certified Systems Administrator:マイクロソフト認定システムアドミニストレーター Windows 2000およびWindows .NET Serverプラットフォームを基盤とするシステム環境とネットワークの設定変更、保守管理を行うエンジニア向け資格 MCSE Microsoft Certified Systems Engineer:マイクロソフト認定システムエンジニア Windows 2000 ServerやMicrosoft .NET Serverを用いて、業務に最適なシステムやコミュニケーションサービスの設計、管理、トラブルシーティングなどを行うエンジニア向け資格 MCAD Microsoft Certified Application Developer:マイクロソフト認定アプリケーションデベロッパー エンタープライズソリューションの開発チームにおいて、アプリケーション、コンポーネントなど部分的なコンテンツの開発、メンテナンスを行うエンジニア向け資格 MCSD Microsoft Certified Solution Developer:マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー マイクロソフトの開発ツール、テクノロジー、プラットフォーム、Windows DNAアーキテクチャを用いて、ビジネスソリューションの設計、開発を行うエンジニア向け資格 MCT Microsoft Certified Trainer:マイクロソフト認定トレーナー MS CTECにて実施されるMSUを実施するための講師向け資格 |
MCAとは |
Microsoft Certified Associate Program(MCAプログラム)は、新しいITプロを目指す方のための認定資格制度。エンジニアやITコンサルタント、さらに、専門分野のスキルにITスキルで磨きをかける新しいITプロの育成を目的としている。MCA資格が要求するのは、IT理論+製品技術+ソリューション。バランスの取れた幅広い知識とスキルが特徴となっている。
MCAには次の3つの資格がある。 MCA OS・ネットワーク Microsoft Windows 2000/Microsoft Windows .NET Server対応 MCA データベース Microsoft SQL Server 2000対応 MCA アプリケーション構築 Microsoft .NET Framework対応 |