いま、ITエンジニアに最も人気のある資格とは何だろうか。2005年11月に@IT自分戦略研究所が行った読者調査の結果を分析し、紹介する。ITエンジニアとしての価値を高めるためのヒントになるはずだ。 |
■XMLマスター、UMLモデリング技能認定、LPICが人気
今回の調査で、ITエンジニアの間でベンダニュートラル系資格の人気が高まっていることが明らかになった。とりわけ「XMLマスター」「UMLモデリング技能認定」「LPIC」(Linux技術者認定試験)に人気が集中しつつある。
今後取得を目指す資格として、回答者の25.0%がXMLマスターを、19.7%がUMLモデリング技能認定を、18.4%がLPICを挙げている(図1)。これら3資格の人気が際立つ結果となった。
図1 資格取得状況/資格取得意向:ベンダニュートラル系資格(複数回答、N=1109) *注 |
今度は、ベンダニュートラル系資格についての今後の取得意向を、2004年のアンケートで判明した取得意向と比較した(図2)。ほぼすべてのベンダニュートラル系資格の取得意向が高まっていることが分かる。
図2 資格取得意向(ベンダーニュートラル系資格):2004年アンケート結果(N=914)との比較(.comMaster、ITIL認定資格は2004年のアンケート実施なし) *注 |
一方、ベンダ系資格の取得動向は以下のとおりだ(図3)。「ORACLE MASTER」「CCNA」の取得意向が高い。
図3 資格取得状況/資格取得意向:ベンダ系資格(複数回答、N=1109) *クリックで拡大します |
ベンダ系資格の今後の取得意向を、2004年のアンケートで判明した取得意向と比較した(図4)。シスコ関連資格全般、マイクロソフト関連資格全般、「ORACLE MASTER Gold」の取得意向が昨年より高まっている。
図4 資格取得意向(ベンダ系資格):2004年アンケート結果(N=914)との比較 *クリックで拡大します |
国家/公的資格についての取得動向を示す(図5)。国家/公的資格は引き続き高い取得意向がある。最も取得意向の高い資格は「テクニカルエンジニア(ネットワーク)」、続いて「情報セキュリティアドミニストレータ」となった。
図5 資格取得状況/資格取得意向:国家/公的資格(複数回答、N=1109) *クリックで拡大します |
国家/公的系資格についても今後の取得意向を2004年のアンケート結果と比較してみた(図6)。「テクニカルエンジニア(ネットワーク)」は昨年より取得意向が低くなっているようだ。「情報セキュリティアドミニストレータ」は昨年より高まっている。
図6 資格取得意向(国家/公的資格):2004年アンケート結果(N=914)との比較 |
■Emergingスキルは資格取得意向も高い
今回の読者調査では、資格に関する調査項目のほかに「現在身に付けているスキル」「今後身に付けたいスキル」についての設問もあった。結果をプロットし、散布図で表した(図7)。
図7 テクニカルスキル散布図 |
図7から、ITエンジニアのスキルはおおむね次の3つのスキル群に分けることができそうだ。
Legacyスキル:現在保有者が少なく、今後の習得意向も低いスキル(汎用機/オフコン系開発、COBOL、クライアント/サーバ系開発、C/C++、Visual Basic)
Mainstreamスキル:現在保有者が多く、習得意向も高いスキル(Web系開発、Java、データベース構築/管理、ネットワーク構築/管理)
Emergingスキル:現在保有者は少ないが、習得意向が高いスキル(セキュリティ構築/管理、オブジェクト指向分析/設計、Linuxシステム管理、XML/Webサービス、Microsoft .NET)
Emergingスキル群にカテゴライズされるスキルに対応する認定資格は、取得意向が高いといえる。「XML/Webサービス」スキルにはXMLマスター、「オブジェクト指向分析/設計」スキルにはUMLモデリング技能認定、「Linuxシステム管理」スキルにはLPIC、「Microsoft .NET」にはMCP、「セキュリティ構成/管理」スキルには情報セキュリティアドミニストレータがそれぞれ対応し、いずれの資格も2004年と比較して取得意向が高まっている。
■3資格、高まる価値
今回資格取得意向が高かったXMLマスター、UMLモデリング技能認定、LPICの主催者側にインタビューした。
XML技術者育成推進委員会 副会長 平野洋一郎氏 |
XMLマスターの推進母体であるXML技術者育成推進委員会 副会長 平野洋一郎氏は、XMLマスターを取得する意義について語る。「Microsoft Officeの次期バージョンのデフォルトフォーマットがXML形式となることに象徴されるように、ここ数年でXMLはRDBやcsvなどのデータ格納形式と同様、ITエンジニアにとって身近なデータフォーマットとなりました。もはやXMLはITエンジニアにとって避けて通れない要素技術なのですが、XMLをきちんと取り扱えるITエンジニアはまだまだ少なく、技術者が不足した状況が続いています。XMLという技術は1度勉強しておけば今後何十年も活用できますし、XMLマスターは一度取得すると失効することがない資格です。自分の将来への投資としてXMLマスターの取得を考えていただきたいと思います」
UMLモデリング推進協議会(UMTP/Japan)事務局長 浅田勇一氏 |
UMLモデリング技能認定試験を主催するUMLモデリング推進協議会(UMTP/Japan)事務局長 浅田勇一氏は、試験の目的、今後の展開予定を次のように説明した。「現在公開中のUMLモデリング技能認定試験L1・L2は、UMLで書かれたモデルの意味を理解できること(L1)、読み書きができること(L2)を目的としています。資格を取得する方はUMLの表記法についてはある程度理解し、これから実際のシステム開発に従事する方が多いのではないかと考えられます。特にL2は実務で使うことを前提に設計されていますので、自分の実力を測るうえで最適だと思います。
SOAやビジネスプロセスなど、関係者間の共通理解の基盤としてのモデルを必要とする場面は増加し、モデリングの重要性はこれからも大きくなっていくと思われます。UMTPでは既存のL1・L2、現在計画中の上位試験などを通してニーズに応えていきたいと考えています。2月10日には中国でUMLモデリング技能認定の中国語試験を実施いたします。近々韓国でも韓国語試験を実施すべく準備を進めています。将来的にはアジア共通の認定試験にしたいと考えています」
エルピーアイジャパン 理事長 成井弦氏 |
LPICを実施するエルピーアイジャパン 理事長 成井弦氏は、Linuxスキルの重要性についてこう語った。「Linux技術者に対するニーズは年々増加傾向にあり、2005年12月には日本でのLPIC受験者総数が延べ5万人を突破し、認定者総数も1万6千人を越えました。現在、メインフレームからLinuxシステムへの移行が積極的に始められており、日本でのLinuxスキルへのニーズが高まる一方、Linux技術者の数が少ないことが課題となっています。優秀な技術者を育成することでメーカーの競争力は高まります。LPIは唯一のNPO法人として中立な立場で、技術者認定活動を通じてLinuxの普及に努めています。今年は学校関連のOS教育の支援をしたいと考えています。
現在、LPICにはレベル1とレベル2があります。レベル1は一般知識、レベル2は最適化や応用管理を問う試験です。昨年末より日本オラクル、サン・マイクロシステムズと連携し、Linux、Oracle、Javaのエントリレベルの資格取得を支援するプロモーション『トリプル・クラウン』を実施していますが、今後もほかの認定との組み合わせで技術者のすそ野を広げていきたいと考えています」
XMLマスター、UMLモデリング技能認定、LPIC。アンケートで人気の高かった3資格は、いずれも市場で重要視される有望なスキルを認定する資格である。主催者側へのインタビューからは、これらのスキルを持つITエンジニアの数が時代のニーズに追いついていないため、資格の価値が高まったということが分かるだろう。
将来有望なスキルを身に付け、市場価値を上げるためにも、いま人気の3資格にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
*注 XMLマスターは「XMLマスター:ベーシック」「XMLマスター:プロフェッショナル」の2試験の合計から重複分を除いたもの |
アンケート&書籍プレゼント | |||||||||||
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※アンケート&書籍プレゼントへの応募は2006年2月28日(火)で終了しました。 |
提供:XML技術者育成推進委員会
特定非営利法人エルピーアイジャパン
UMLモデリング推進協議会
企画:アイティメディア営業局
制作:アイティメディア営業局
掲載内容有効期限:2006年2月28日
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