|
昨年秋のリーマンショックをきっかけとする世界的な経済不況は、国内企業の人材戦略にも深刻な影響を及ぼしている。厳しい経済環境の中、多くの企業が今年度から教育予算の大幅縮小に踏み切っており、4月以降、教育ベンダの提供する一般向け研修コースの受講生も減少傾向にあるという。
そして、いままさに、この不況の波の直撃を受けているのが、2010年度の新卒採用である。今年度の新卒採用では不況の影響を受けた内定取り消しが話題になったが、2010年度は最初から予算が削られている状態。そのため、2010年度の新卒採用数は、今年度に比べて確実に少なくなるものと見られている。
こうした状況の中、これから新人研修のプランを立てようとしている教育担当者の中には、「限られた教育予算の中で、より質の高い研修を行うにはどうしたらよいだろう」と頭を悩ませている方も多いはず。特に、中小企業にとって、新人研修のコスト削減はさらに深刻だ。2010年度のスタートまで約半年。決断のときは刻一刻と迫ってきている。
今回は、そんな悩める教育担当者をサポートするべく、低予算かつ高品質の新人研修、いわば“エコ新人研修”をピックアップした。ウチダ人材開発センタ、CTCテクノロジー、富士通ラーニングメディアの教育ベンダ各社が提案するイチオシの新人研修プログラムを紹介する。
ウチダ人材開発センタ | |
情熱を持った育成指導で、即戦力として活躍できるビジネスマインドを醸成 |
ウチダ人材開発センタは、1人からでも参加可能な少数採用企業向けの新入社員研修サービスとして「ウチダカレッジ」を1999年から展開している。同サービスでは、プログラミング言語からネットワーク、ビジネス文書までITエンジニアの導入教育に必要なコースを豊富に用意している。各コースは自由に組み合わせることができるため、企業の教育予算やニーズに合わせて最適なコース体系を作ることが可能となっている。
研修コンセプトは、(1)企業人としてのビジネススキル習得(2)IT知識を基礎から徹底マスター(3)業務遂行力の養成――の大きく3つ。このコンセプトからも分かるように、ウチダカレッジでは単なる技術教育にとどまらず仕事に対する心構えやマナー教育も研修に組み入れており、受講生が研修後に即戦力として活躍できるようスキルのみならずマインドの育成にも力を注いでいる。
ウチダ人材開発センタ 営業本部 ラーニングソリューション部 部長 山川宏樹氏 |
営業本部 ラーニングソリューション部 部長の山川宏樹氏は、ウチダカレッジの特徴を、他社の研修コースに比べて、低価格かつ高品質な点だと述べる。「弊社は“教育の一貫性・連続性”を大切にしている。新人研修期間中、1人の講師が多くのコースに携わり、あらゆる場面で受講生の指導をする」(山川氏)。
山川氏自身も、毎年2カ月間、講師として1つのクラスを担当する。1人で担当することで、教育・指導内容に“ブレ”を出さず、受講生との密度が濃くなり、より信頼関係を築けるようになる。また、1人1人のレベルに合わせたスキルアップやマインドチェンジのサポートもできる。指導方針を熟知し、多くのスキルに熟達した少数精鋭の講師陣であればこそできることだ。実際、毎年、リピーターとなった企業から指名される講師は多く、「春先の講師アサインには苦労する」と山川氏は述べる。低価格・高品質の研修サービスによって、一度受講した企業のほとんどがリピーターになっていることは、ウチダカレッジの顧客満足度の高さを裏付けている。
ウチダ人材開発センタ LS事業部 LS部LS2課 日暮薫氏 |
また、ウチダカレッジの講師を担当しているLS事業部 LS部LS2課の日暮薫氏は、「最近の新人は、講師や上司などの上位者の様子を見て行動する傾向が強く、基本的に受け身」と述べる。ウチダカレッジでは、技術力はもちろんのこと、それ以上にコミュニケーション力や行動力を重視しており、講師陣は受講生ととことん向き合って、“自分が気付いたら、自分が実行する”ビジネスマインドの醸成に尽力している。1日のカリキュラムが終了した後、残った受講生に指導を行うことは珍しくない。日暮氏は「むしろ当たり前」という。このほか、毎朝受講生に課せられる「3分間スピーチ」は本来希望制だが、全員が手を挙げるまで待ったり、グループ演習では意図的に「合わない」メンバーを組み合わせたり、安易な予定調和を認めない情熱を持った育成指導もウチダカレッジ独自の特徴だ。「その人なりの修羅場をくぐらせる。フィードバックは絶対手を抜きません」(日暮氏)。そうした講師の熱意は受講生との格別な信頼関係を築く。過去年度に受講した“ウチダカレッジ卒業生”が、講師に会いに教室を訪れたり、先輩として研修発表会に列席し、アドバイスを与える場面もしばしば。ウチダカレッジは「学生から社会人へ成長するための学校」のような空間だ。
2010年度に向けては、従来までのコンセプトを継続しつつ、講師・受講生の相互関係に加え、さらに受講生間の相互作用関係を強化する“3-way”をキーワードに、より受講生に強い変化を促すべく密度の濃い研修内容に取り組んでいく考えだ。さらに、「ウチダカレッジ」と併せて、配属後のスキルアップ研修も含めた人材育成プランとして「ウチダカレッジPlus」を用意し、リーダーとしての成長を見据えた研修までフォローアップしている。
なお、同社では11月4日に「ウチダカレッジ」のセミナーを予定している。限られた予算で質の高い新人研修を希望する中小企業の教育担当者にぴったりの内容となっている。
ウチダ人材開発センタ 2010年度新人研修のポイントは“マインド” |
1.1人からでも参加可能! 中小企業向けの新入社員研修サービス「ウチダカレッジ」 2.すべてのコースを1人の講師が担当。ビジネスマインドを徹底教授 3.高品質な研修コースを、大手教育ベンダよりも低価格で提供! |
CTCテクノロジー | |
新入社員の資格取得を強力にサポートする研修パックを低価格で提供 |
CTCテクノロジーは、2010年度の新入社員に向けた新たな教育サービスとして、「新人研修パック」の提供を開始する。このパックは、同社が提供している豊富なベンダ認定資格取得コースの中から、新入社員向けに実用度の高いコースをピックアップし、QAサポート、スキルチェック、そして認定資格を受験するバウチャーチケットまで含めて、低価格で提供するもの。
パックで用意するベンダ認定資格は、ネットワーク系でシスコシステムズ社の「CCENT」と「CCNA」、OS系でLinux(LPI)の「LPIC 101」と「LPIC 102」、データベース系でオラクル社の「Bronze 11g」、そしてマイクロソフト社の「MCTS」。それぞれ、受験も含めた短期間のカリキュラムとなっており、要望に応じて自由に組み合わせて受講することができる。このほか、運用系のニーズの高まりに対応し「ITILファンデーション」の取得コースも用意している。
CTCテクノロジー エデュケーションサービス部 プランニンググループ グループリーダー 増田裕介氏 |
エデュケーションサービス部 プランニンググループ グループリーダーの増田裕介氏は、「2010年度は、不況の影響を受けて新卒の採用が減少すると見ている。そうなると、企業にとっては、少数に絞った新入社員をいかに早く現場で使えるようにできるかが重要な取り組みになる。そこで着目したのがベンダ認定資格。新入社員向けに低コスト・短期間で実用的な資格が取得できるコースを用意することにより、厳しい経済環境の中で、即戦力として活躍できる新人の育成をサポートする」という。
短期間のカリキュラムだけに、「研修についていけないのでは?」という心配もあるが、そこは同社のトレーナーを中心に、研修設備、各種サービスを活用して強力にバックアップする。受講生には1人1台の機材を用意する。現場に近い環境でスキルを身に付けてもらうためだ。また、Web上での各資格試験の確認問題チェックなど、教室以外でのスキルチェックにも対応する。スキルチェックの結果はトレーナーが確認し、受講生の弱点補強などの育成指導に役立てる。1日の講習時間が終わった後、しばらくは、自習時間として教室を開放する。トレーナーが残って受講生からの質問・疑問に答えるほか、補講にも対応する。「手厚いサポートで新入社員の資格取得をフォローアップする」とエデュケーションサービス部 プランニンググループの萩原英二氏はいう。
CTCテクノロジー エデュケーションサービス部 プランニンググループ 萩原英二氏 |
カリキュラムの最終日には、総仕上げとして試験範囲のポイントチェックを実施し、その日のうちに同社教室で資格試験を行う。もし、試験に合格できなかった場合は、試験範囲の補講を実施する。バウチャーチケットは実費だが、最短期間で試験に再挑戦することができる。
同社では、11月30日に「新人研修パック」のセミナーを開催する。同パックの概要を説明するとともに、CTCグループの新人研修事例や人材育成ビジョンなども紹介する予定。なお、セミナー参加者には、試験に落ちた場合でも、無料で試験に再挑戦できる「再チャレンジプラン」に申し込むことができる。
CTCTテクノロジー 2010年度新人研修のポイントは“資格取得” |
1.「新人研修パック」では、約1カ月半で最大4資格取得可能(1人1台の機材を用意) 2.講習前の内定者研修や講習後のフォローアップで各種サービスを用意 3.セミナー参加者には、無料で試験に再挑戦できる「再チャレンジプラン」特典有り! |
富士通ラーニングメディア | |
低予算・短期間でITの基礎スキルを習得できるPICK UPコースを新設 |
富士通ラーニングメディアは、新入社員の育成に当たり、(1)社会人としてのマインドを醸成、(2)業務に必要なIT基礎知識・スキルを徹底習得、(3)社会人としてのビジネススキルの習得−−という3つのコンセプトを掲げている。同社の研修サービスは、約2カ月半の長期間コースがメインだ。同社では、15年以上にわたってさまざまなタイプの新入社員を育成してきたノウハウを生かし、豊富なメニューときめ細かい指導によって、現場で求められる人材の育成を支援する。
同社では、ユーザーからの要望や市場のニーズに対応しながら、これまでも柔軟にサービスメニューの拡充を図ってきたが、2010年度に向けては、新入社員育成おすすめコースとして、新たに「PICK UPコース」の提供を開始する。このコースは、長期の研修コースとは別に、業種や担当業務、スキルレベルに応じ、必要な知識・スキルを短期間で提供するコースである。 同コースでは、昨年度の受講実績などを参考に、実用性やニーズの高いカリキュラムをピックアップする。Word、Excel、PowerPointなど業務で使用するITの基礎を習得するコースと、Java、C言語、VB、COBOLといったプログラミングに必要な基礎スキルを習得するエンジニア向けコースの2つのコースがある。
富士通ラーニングメディア ナレッジ・コー・クリエイティング推進本部 サービス部 部長 三原乙恵氏 |
「PICK UPコースの各カリキュラムは、新入社員専用ではないが、今回、新入社員も受講しやすいように4〜6月にスケジューリングした。このコースをうまく活用することで、教育予算が少ない企業でも効果的に新入社員のスキルアップを図ることができる。おすすめは、4月上旬にビジネススキルトレーニングを受講してグループ演習を経験した後、PICK UPコースを組み合わせるプラン。これにより、社会人としてのビジネスマインドとIT技術の基礎スキルの両方を、最小限のコストと期間で身に付けることができる」(ナレッジ・コー・クリエイティング推進本部 サービス部 部長の三原乙恵氏)という。
このほか、新入社員育成おすすめコースでは、ITエンジニア向けの「技術深掘り推奨カリキュラム」も提供している。このカリキュラムは、配属後の担当業務に応じた必要な知識・スキルを習得できるもので、インフラ構築技術、プログラミング技術、アプリケーション開発技術の3コースがある。新入社員研修だけでなく、現場配属後のスキルアップにも活用できるコースとなっている。
さらに、メインとなる長期の新入社員研修サービスについては、2010年度は「新入社員」「新入社員育成担当者」「研修実施者」による“三者一丸”での研修をより強化し、育成担当者の求める新入社員の情報をタイムリーにフィードバックできる体制を整えていく考えだ。
なお、同社では10月19日より新入社員研修サービスのセミナーを開催する予定である。新たに提供するPICK UPコースなど、詳しい情報をこのセミナーでチェックしてほしい。
富士通ラーニングメディア 2010年度新人研修のポイントは“PICK UPコース” |
1.約2カ月半の長期コースと、必要な講習をPICK UPできる短期コースの2パターンを用意 2.配属後の担当業務に応じて、必要なスキルを習得できる「技術深掘り推奨カリキュラム」を新設 3.新入社員の情報をタイムリーにフィードバックできる“三者一丸”体制を徹底 |
◇◇◇
2010年度に向けてそれぞれ独自の“エコ新人研修”プログラムを用意している各社だが、最近の新人の傾向についてはどう見ているのだろうか。各社とも、「主体性がない」「様子見をする」「応用力が弱い」「グループワークが苦手」といった傾向を指摘する。そして、「2010年度の新人はこの傾向がさらに強まるだろう」と口を揃える。
そのため、2010年度の新人研修は、いままで以上に手厚く指導することが求められる。つまり、より現場の業務に近い実習内容のニーズが増えているということだ。教育予算が削られたとはいえ、新人研修の質だけは落としたくないというが教育担当者の本音だ。新卒の採用数を抑える一方、1人当たりの教育費用は減らしていない企業が多い。
しかし、不況の影響を大きく受けている中小企業では、新卒採用を減らすとともに、教育予算の大幅カットを余儀なくされている。そうした企業にこそ、今回紹介した“エコ新人研修”プログラムの活用をおすすめしたい。予算の減少圧力に負けて新人研修をおざなりにすれば新人はうまく育たない。最終的にリスクを負うのはその企業自身である。
経済環境は厳しいが、教育担当者には、企業の方向性と新人の将来を鑑みて、ベストな新人研修プログラムを選択してほしい。
株式会社ウチダ人材開発センタ | |
|
CTCテクノロジー株式会社 | |
|
提供:株式会社ウチダ開発人材センタ
シーティーシー・テクノロジー株式会社
株式会社富士通ラーニングメディア
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2009年11月2日
CTCテクノロジー株式会社 | ||
|