Tech総研
2009/3/4
倒産する会社を見分けるコツ |
倒産に巻き込まれると、いろいろ面倒な問題に襲われる。そんな状況に陥らないために、倒産する会社は事前に見分けたいもの。倒産する会社の兆候とは何か。そのポイントを前出の東京商工リサーチ 友田氏が教えてくれた。
■チェックポイント編
1.キャッシュフロー
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記事の冒頭でも述べたとおり、黒字倒産の企業が増えています。そこでチェックしてほしいのは「キャッシュフロー計算書」。それを見れば一目瞭然(りょうぜん)です。キャッシュフローが良くない会社は、危険な会社と判断して間違いないでしょう。非上場企業では、キャッシュフロー計算書のチェックができません。その場合は決算書や資金繰り表、業績を見るしかありません。売り上げと利益、従業員数と業績の伸びなどのバランスが取れているかをチェックしましょう。
2.商品(技術)の市場性
競合他社が多いかどうか、またその企業が持つ技術力がどのくらいなのか。競合する会社が多い場合は、その会社の商品が伸びる可能性は小さくなります。
3.メインバンク
金融機関の支援を受けられるかどうかは、会社の将来性に大きくかかわってきます。そこでチェックしてほしいのはメインバンクがメガバンクなのか地方銀行なのか。メガバンクであれば、ある程度の支援が受けられると判断できます。一方、地方銀行の場合は、大きな支援が受けられる可能性は低くなります。さらに銀行そのものの経営状態が悪いと支援の期待はしにくくなりますので、銀行の経営状態も見てみましょう。
4.株主構成
ファンドが入っているかどうか。特に注意したいのはここ10年ぐらいの間に設立したファンドが入っている場合。金融機関は与信対象として難色を示す場合があるので、資金援助が受けられなくなる可能性があるからです。
■前兆編
1.幹部クラスの動きがおかしくはないか
普段、社内にいる幹部が外に出掛けることが多くなったり、会議の時間が長くなったりするなど、動きが慌しくなると危険信号でしょう。また長期的な展望のある戦略、発言がきちんとされているかどうかも1つの目安です。幹部クラスが相次いで退職するような事態に陥った場合は、かなり倒産危険度は増していると考えた方がよいかもしれません。
2.社内の風紀が乱れていないか
倒産に至る会社は、その過程において社内の風紀がどんどん乱れていくもの。それをチェックするのも倒産の前兆を見分けることにつながるでしょう。
3.業績が伸びているか
「売り上げが伸びている会社が必ずしもいい会社ではない」という発言と相反すると感じるかもしれませんが、これも1つの見分けるポイント。自社の動向だけではなく他社の動向も含め、商品の市場性の動きをチェックするのです。そこで自社商品の将来性、成長性を予測することができるからです。
倒産にまつわるリスクを回避する5つのアドバイス |
最後に、今回取材した4人の専門家(友田氏、秋田社労士、影島弁護士、黒田リクナビNEXT編集長)から聞いた、倒産にまつわるリスクを回避するためのアドバイスを紹介する。
1.外部の人から見た会社の評判を聞くことも大切。そのためにも取引先など外部ネットワークを広げよう(友田氏) 2.名前や規模、賃金の高さなどの見栄えの情報に惑わされないこと(友田氏) 3.倒産でなくてもリストラ、解散、M&Aなど何があるか分からない。普段から状況を判断し、将来を予測しておくのも自己防衛手段の1つ(黒田リクナビNEXT編集長) 4.常にキャリアの棚卸しをしておくこと。採用は年々厳しくなっている。自分の技術を陳腐に語るようでは、採用される可能性が低くなるからだ(秋田社労士) 5.少なくとも半年分の給与明細、就業規則、タイムカードのコピーはもらっておくこと。雇用の実態を証明することができ、賃金の確保につなげられる(影島弁護士) |
☆突然の倒産で窮地に追い込まれないように | |
昨年から急速に経済が悪化しているのは周知のとおり。業績が好調なはずだった企業すら倒産している。景気とはさほど関係なさそうな大学ですら、金融危機の影響を受けたところがあるという。次はどの会社や団体が経営難を発表するか、予測できない状況だ。 業績悪化の要因は複雑だ。見分けるのは難しいかもしれないが、できるだけ知識や勘を養っておきたい。記事中のチェックポイントがいい目安になりそうだ。業績が伸びているように見える企業でも、お金がどう流れているのか、そこに不健全さはないか、キャッシュフローを読めるようになっておきたい。 本来あってはならないことだが、外部に公開しているデータが正しいとも限らない。決算が粉飾されている場合もある。それが明るみになるころには相当深刻な状況となっているはず。一般社員は日々の業務に集中していて気付かないかもしれないが、怪しいことをしていれば、経営者の態度にも不審な点が出てくるだろう。経営難の予兆は早めに気付いておきたい。 万が一、会社が倒産あるいは経営難になったとき、機敏かつ正しい行動を取れるようにするためにも、こうした知識は熟知しておこう。 (加山恵美) |
この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています |
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