Tech総研
2010/10/26
自己投資にお金をかける 外資系コンサルタント |
勤務先企業の業種や、エンジニアの職種によって自己啓発費に違いはあるだろうか。業種別でトップは「外資系SIer/NIer、コンサルファーム」の6万2417円。ついで「国内系大手SIer/NIer、コンサルファーム、ベンダ」2万3218円、「インターネット関連企業」1万5722円などと続く。外資系のダントツぶりは、外資系企業の給与が高いことの表れと見ることもできる。あるいは、自己啓発代を企業がサポートする割合が多い国内大手企業に異なり、自己責任原則が徹底する外資系は自腹を切って勉強しなければならない、という“苛酷な”状況の反映かもしれない(表1)。
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職種別の比較でも、「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」の3万7420円に対して、通信インフラ設計・構築の7429円では約5倍の開きがある。コンサル系は統合業務パッケージソフトやデータベースソフトなど、有力ベンダの資格をもっていることが強みになるため、その取得に費用がかかるのでは、という想像も可能だ。
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「会社の支援なし」63%の 悲しい現実 |
ITエンジニアの勉強意欲は旺盛だ。「今年取得したいと思っている技術スキル、資格は?」という設問には、「情報処理技術者」「ネットワークスペシャリスト」「システムアーキテクト」などの国家資格のほか、Oracle、SQL、Java、CCNA、VMware、Windows Serverなどのベンダ資格がずらりと並ぶ。英語に対する関心も強く、TOEICの得点目標を具体的に挙げる人が多かった。
簿記、銀行業務検定、中小企業診断士、社労士などのビジネス系の専門資格を挙げる人もいた。より上流のSE/コンサルタントになるためには、技術資格だけでなく、広く企業経営や財務・経理・労務などが分かる必要があるということなのだろうか。変わったところでは、宅建、小型船舶、ワインソムリエ資格などがある。ビジネスパーソンとしての技量と人脈を広げるための資格と考えれば、これも立派な自己啓発だ。
趣味的な資格は別としても、仕事につながる資格取得については、そのためにいくばくかの補助を会社にしてもらいたいと考えることだろう。「あなたの会社では、技術力アップやキャリアアップのためにどんな支援制度がありますか?(例/技術セミナー参加費補助、iPadなどの購入補助、資格取得支援、好きなPC購入など)」という設問には、さまざまな回答が寄せられた。やはり多いのは「セミナー参加費補助」と、資格試験料補助や問題集購入、合格時の祝い金、資格手当などを含む「資格取得支援」の制度だ。PCやスマートフォンなどの現物支給は少なかった。
残念なのは、会社からの支援は「特にない」という回答が全体の63%を占めること。会社も自己啓発支援のための余裕が以前に比べなくなっているという事情は分かるが、これは悲しい現実だ(図2)。
図2 会社から技術力アップや キャリアアップのための 支援制度があるか |
Webを使ってセミナーや 勉強会を探し出せ |
国家資格やベンダ資格の受験にはお金はかかるが、お金をかけない自己啓発の方法もある。最近はIT系企業や技術者団体が無料で開催するセミナーや勉強会も増えてきた。時間の都合をつけることさえできれば(これが一番難しいのだが)、積極的に参加したいものだ。こうしたセミナーや勉強会の開催告知は、Twitterやブログを通して頻繁に行われるようになった。リクルートが運営するWebサービス「ATND(アテンド)」も、ITエンジニア向けのイベントに関しては貴重な情報源になっている。
それ以外でも、お金をかけない情報収集、人脈づくりの方法はいくらでもある。調査では「終業後、社内で開かれる自主的な勉強会に参加する」「転職前の会社の同期と定期的に連絡を取る」「Twitterなどを使って、多くの業界人とコミュニケーションをとる」「技術系のメルマガ購読、Web記事チェック、メーリングリストへの参加」などのコメントが挙げられた。
1人コツコツと勉強するのもいいが、やはり同じ目標に向かって進んでいる仲間がそばにいると、励まされるし、やる気も出ようというもの。自己啓発と仲間づくりは、表裏一体のものとして、エンジニアの新たな課題になっている。
この記事は、Tech総研/リクルートの2010年8月20日公開の記事を 再編集して掲載しています |
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