エンジニアのキャリアアップに役立つ!
連載:最新の人材サービス活用法 第2回
やりたいこととできること
辻俊彦(@ITジョブエージェント担当)
2002/1/26
人材会社での勤務経験がある筆者(現@ITジョブエージェント担当)が、現在最も注目しているもの。それはキャリアコンサルティングなどの人材会社による人材サービスだという。そんな人材サービスの最新動向を紹介するとともに、エンジニアがキャリアアップを実現するために、どのようにサービスを利用していけばいいのかを解説する。 |
前回(「第1回 キャリア志向かスキル志向かで異なる人事制度」)、あるシステム開発会社のユニークな人事制度と人材紹介/派遣会社が行っているキャリアコンサルティングの活用法を紹介しました。今回は、やりたいこと(願望)とできること(能力)の話です。
■4種類の組み合わせ
大ざっぱに仕事をたった2つに分類すれば、“やりたいこと(願望)”と“できること(能力)”になるのではないでしょうか。
それでは、やりたいことかどうかは、どうやって判断するのでしょうか? それは、自分に明確な目標があり、それに基づいた仕事かどうか、あるいは取り組んでいるときにストレスがない(快適)かどうかで判断します。次に、できることかどうかですが、こちらは将来性を含め適性があるかどうかで判断します。やりたいことと比較すると、できることの方がより客観的に判断できるものです。
この2つの軸(願望・能力)で現在の仕事を分類すれば、4つの事象に分けることができます。多少強引にそれを表すと、図1のようになります。このとき、仕事への願望と能力が一致(やりたいことかつできること)している人は問題ありませんが、そのような人は滅多にいません。一般的に考えると、願望よりも能力を優先するか、能力よりも願望を優先するか、そのどちらかです。
図1 仕事を4つの事象に分類する |
しかし、ある人にとってできない仕事とは、ずっとできないままなのでしょうか? そんなことはありません。企業に新卒で入社した新人も、年とともにできることが広がるベテランになるように、能力は上がるものだからです。また、最初はやりたくてもできなかったことが、次第にできるようになることがあります。これがまさにスキルアップですし、キャリアアップといえます。そしてその手段の1つとしてあるのが、転職ということになります。
■やりたいことがない/分からない
やりたいこととできることとが一致しない場合に、仕事から人生の充実感を得るためには、まずはやりたいことを優先し、できないことをできるようにすればいいのです。つまり、スキルアップしていくのです。しかし、世の中で圧倒的に多いのは、やりたいことがない、またはやりたいことが分からないという人です。これでは、スキルアップの方向性(自分戦略)もつかめないことになります。
こうした自分がやりたいことを見極めるために有効な手段が、キャリアコンサルティングといえるでしょう。キャリアコンサルティングでは、まずはやりたいことを話し合いながら見つけ、それに従って当面の目標である3年後・5年後のキャリアゴールを決めることもあります。それによって、自分がやりたいことを確認するとともに、ゴールに到達するまでのプロセス(仕事)をやりたいこととして認識し、モチベーションが高まることになります。
■好きこそものの上手なれ
やりたいことやゴールが決まると、すべてはいい方へと循環するようになります。“下手の横好き”であった仕事(やりたいことだが、できなかった仕事)も、積み重ねるうちに、できるようになります。まさに“好きこそものの上手なれ”の世界です。
これを転職の際の会社選択に当てはめてみると、ゴールに近づくための仕事(やりたいこと)ができるかどうか、できない仕事でも、徐々に取り組ませてもらえるような企業かどうかが、重要なポイントになります。企業側の理屈でいえば、採用する人がある仕事ができないと判断しても、その仕事をさせてみようと考えるのは、その人のポテンシャル(潜在的能力)をどの程度評価するかによります。
とにかく、年齢による制限もあるので、早めに自分の願望を見極めることが重要で、そのために通常は無料で提供されるキャリアコンサルティングを受けることが有効な手段だといえるでしょう。例えば弊社の@ITジョブエージェントでも、パートナー企業のコンサルティングサービスを匿名で受けることができます。
筆者紹介 |
辻俊彦 ●2001年3月まで、エンジニア派遣大手企業で事業企画に携わり、 企業のニーズに合わせた育成プロジェクトを立ち上げる。エンジニアの自己実現をサポートするというポリシーの下に、@ITジョブエージェントのサー ビス企画にも関与。 |
「最新の人材サービス活用法」 |
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