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エンジニアのキャリアアップに役立つ!
連載:最新の人材サービス活用法 第4回
一般募集で得られないキャリアのフィードバック

辻俊彦(@ITジョブエージェント担当
2002/3/20

 人材会社での勤務経験がある筆者(現@ITジョブエージェント担当)が、現在最も注目しているもの、それはキャリアコンサルティングなどの人材会社による人材サービスだという。そんな人材サービスの最新動向を紹介するとともに、エンジニアがキャリアアップを実現するために、どのようにサービスを利用していけばいいのかを解説する。

一般募集に対する応募と人材会社への登録

 前回(「第3回 コンサルティングで初めて見えてくるキャリア」)では、コンサルタントとの対話によって、自分のキャリアゴールやキャリアプランが明確になり、幸せなキャリアを築くことができるようになると書きました。

 ただし、そうした個人のキャリア形成を重視し、幸せな転職を支援している人材会社は意外と少なく、一般には今回紹介する転職実現(内定獲得)の支援のみを行う会社が大半というのが実情です。半面、自らの目標が決まっている人にとっては、転職実現の支援だけで十分なので、今回はその内容について紹介したいと思います。

 現在のところ、多くの求職者は求人広告(Web・雑誌・新聞など)やハローワークで求人情報を得て、求人企業に直接応募し、内定を勝ち取るのが現実だと思います。実際のところ、求人情報誌は分厚く、新聞にもよく求人広告が掲載されています。懸賞気分であこがれの企業に応募してみる人は、いきなり人材会社へ登録するより心理的ハードルは低いのかもしれません。

 しかし、人気企業の人気職種は一般募集されず、エージェントが独占するケースも最近では多くなりました。その場合当然、そうした仕事情報は人材会社へ登録しないと得ることはできません。

 では、なぜ人材会社が独占できるのでしょうか? それは、人気職種で一般募集をした場合、募集ポスト人員の何百倍もの応募といったタレントオーディション並みの事態も予想され、その場合不合格通知を出すだけでも大変になるからです。また、あこがれの企業に応募したものの理由も告げられず不合格になった場合、その企業への好感度が下がることはあっても、上がることはあまりないようです。

 このような事情で、人気企業は人材会社のフィルタリング(選別)機能を活用することになります。また、利害関係から考えると、求人企業自体はなかなか求職者の味方になってもらえませんが(場合によっては敵)、人材会社は転職成功という共通目標があるので、確実に味方になってもらえます。しかも人材会社は、求人企業の採用側の事情をよく知っているとても頼りになる味方であり、強力な支援を得ることができるのです。

採用側の事情を知る強み

 兵法を持ち出すまでもなく、敵(求人企業)を知ることは内定獲得の近道です。人材会社は、広告だけでは伝わらない求人の背景や、真に求めている人材像などを把握しているので、求職者も自分に合った求人情報なのかどうかを、より正確に判断できます。さらに、採用側が求めているキャリアを職務経歴書で強調したり、面接でどういうふうに振る舞えば内定が出やすいかなど、より具体的な傾向と対策の指南を受けることができます。そもそも経歴書などは、応募企業ごとにアピールするポイントを変えるなどしてカスタマイズする必要があります。効果的なカスタマイズをするうえで、採用側の事情が分かっていることは大きな強みです。就職情報誌などを見て、同じ職務経歴書を何通もさまざまな企業に送っている人は、考え直してほしいポイントです。

 また、面接をする人も人間ですから、身だしなみに関心が高い人、声の大きさに神経質な人、表情に着目している人などなど、タイプも十人十色です。つまり面接する人のタイプに応じた対策が求職者に求められるのです。こうした情報は、人材会社からしか得られないものといえるでしょう。

一次面接は実質的に二次面接

 一般応募の場合、多くの応募があったり、たまたまほかに優秀な人が多かったりなど、偶然の結果で書類選考をパスできないことがあります。他方、人材会社の場合、採用側との良好な関係を保つためには、まずは合格圏内の人しか企業面談まで持ち込みません。そういう意味では、企業との面談までこぎ着ければ、最初の面接は実質的に二次面接であって、採用側の人材会社に対する信用による恩恵を求職者は受けることができます。

 人材会社にフィルタリング機能を期待している企業ほどその影響力は大きく、採用の可否について迷っている場合、追加情報を得やすい人材会社からの紹介者の方が採用されやすい結果となります。

キャリアアップ・スキルアップの方向性

 仮に面談に至らない場合でも、スキル不足・キャリア不足を正確に指摘してもらうことで自分に足りないものが認識できて、次のステップに進みやすくなります。この点は、一般応募で書類がパスしなかった場合、「今回は、貴方の希望に添えず……」といった形式的な通知だけで、理由を明記してもらえない場合と大きな違いです。求人企業側の事情でいえば、募集広告を出すときに想定していた合格ラインに達している人であっても、偶然優秀な人が多数応募してきた場合、前述したように書類で落とさざるを得ないケースは実際に多いのです。

 いずれにしても、不合格の原因が明確に分からないと、キャリアアップ・スキルアップの方向性が見えにくいものです。不合格の原因のフィードバックの質は、人材会社の評価ポイントとしても重要なもので、きちんとしたフィードバックのないエージェントは、採用企業との関係も薄いと考えられます。

成功する転職と幸せな転職の違い

 このように人材会社は、採用側との関係を生かして転職の成功確率を高めてくれます。しかし、転職成功と幸せな転職が違うということは、常に意識しておく必要があります。本当に幸せな転職とは、これまでも紹介したように(「第2回 やりたいこととできること」)、キャリアゴール(やりたいこと&できること)へ向けたプロセスに位置付けられるもので、そのルートから外れた転職は、仮に成功だとしても幸せには結び付きません。

 従って、今回紹介したような個別の仕事情報・求人企業との関係だけに強みを発揮する人材会社との付き合いは、自分のゴールを固めてからの方が適切です。より具体的に転職を考えている方も転職成功が人生の幸せに結び付けられるよう、人材会社のキャリアコンサルティングを受けられることをお勧めいたします。実際に自分の個性を把握して、その結果に応じたキャリアプランニングを行い、コンサルティングを受けることが、幸せなキャリアアップを実現する確実な方法だと思うからです。なお、弊社の@ITジョブエージェントでも、転職支援前のコンサルティングに秀でた人材紹介会社を登録者の方に紹介しています。

筆者紹介
辻俊彦 ●2001年3月まで、エンジニア派遣大手企業で事業企画に携わり、 企業のニーズに合わせた育成プロジェクトを立ち上げる。エンジニアの自己実現をサポートするというポリシーの下に、@ITジョブエージェントのサー ビス企画にも関与。

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