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転職。決断のとき

第47回 埋めようのない、会社との意識の差。どうする?

加山恵美
2008/3/14


転職が当たり前の時代になった。それでも、転職を決断するのは容易なことではない。スキルを上げるため、キャリアを磨くため、これまでと異なる職種にチャレンジしたり、給料アップを狙ったり――。多くのエンジニアが知りたいのは、転職で思ったとおり仕事ができた、給料が上がった、といったことではなく、転職に至る思考プロセスや決断の理由かもしれない。本連載では、主に@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに、転職の決断について尋ねた。


今回の転職者:北山智成氏(仮名・31歳)
幼いころからパソコンに親しみ、大学時代からは自分のWebサイトで自作ツールを公開、コミュニティ活動を行っていた。卒業後システム開発会社に就職し、本業と趣味の両方からスキルを高める。しかし仕事と私生活のバランスに関しての会社との意識のずれを痛感し、転職を決意する。

 今回登場する転職者、北山智成氏は、エンジニアを職業にする前から趣味でプログラミングを行っていたパソコン好き。ツールを自作し、Webサイトを開設して公開。訪問者の質問にも対応していた。

 そんな北山氏にとって、仕事以外の自分の時間はとても大切なものだった。しかし、新卒で入社した会社で地位が上がるにつれ、私生活に関する考え方が自分とほかの社員とで大きく異なることに気付くようになった。

 このことをきっかけに転職を決意し、活動の末に新天地へ。価値観の多様な環境で、希望していた職種に就き、大いに活躍している。北山氏の転職の過程を見てみよう。

趣味から本業へ

 北山氏にエンジニアを選んだ理由を聞いたところ、特別なきっかけはなかったという。しかし、幼いころから常にパソコンは身近にあった。父親が所有するパソコンを見て育ち、遊びでプログラミングを経験した。大学生になると塾講師のアルバイトで得た収入でパソコンを購入し、趣味で使うようになった。

 ちょっとしたツールを自作することもあった。Windows XPやWindows Vistaなら画像ファイルのサムネイル一覧は標準機能だが、当時のWindows 95にはまだ搭載されていなかった。こういう機能を、APIを活用して自分で作っていたという。「日曜大工のような感覚でした」と北山氏。

 だが、もともと将来の職業としてエンジニアを考えていたわけではない。法学部に在籍していた北山氏は、法曹になって「困っている人を救いたい」と考えていたのだ。だが、実際の裁判官などの職務内容について情報を得るにつれ、自分のイメージと違うような気がして、ほかの選択肢を探り始めた。

 頭に浮かんだのがアルバイトをしていた塾講師と、趣味でスキルを付けたエンジニアだったのだ。

サークルのような雰囲気でシステム開発

 就職活動中にIT業界の就職活動フェアに足を運び、数社に応募。その中から就職先を決めた。

 就職したのは社員が20〜30人のシステム開発会社だった。エンジニアは20代が中心で、大学のサークルのような雰囲気があり、人間関係の良好さが気に入ったという。「社長の顔が見える」会社の規模も安心感につながった。当時はまだ北山氏の中で小さい会社の方が好感を持てた。

 北山氏は在庫管理や販売、eコマース関連システムなどに幅広く携わり、スキルを吸収していった。業務はそこそこ忙しかったが、「ほかのメンバーよりは早く帰宅していた」という。きっと手際がよかったのだろう。システム開発の仕事は、凝ってしまうとなかなか終わらない。北山氏は必要な作業を見極めるのが上手だったのかもしれない。

マイクロソフトからMVPとして表彰

 同僚より仕事を早く切り上げていても、パソコンに携わる時間は変わらないか、もしかしたら長かったかもしれない。ツールの自作という趣味が、就職してからも続いていたからだ。

 趣味とはいっても、費やす時間や労力は相当のものだったろう。北山氏はツールを自作するだけでなく、その技術ノウハウをWeb上で開示していたのだ。当時はまだブログやSNSはなく、Microsoft Office FrontPageなどを使い、自分のWebサイトを作成していた。掲示板を開設し、訪問者の質問や相談にも応じるようになっていた。

 趣味と実益を兼ねる形で、北山氏はぐんぐんとマイクロソフト関連技術を習得していた。すべて独学である。ほとんどは書籍やマニュアルから知識を得た。これが就職してからもずっと続き、ある年にはマイクロソフトからMVPとして表彰された。主にWebサイトを通じたコミュニティ活動が評価されたためだ。

 MVP受賞を北山氏は心から喜び、これが自信につながった。めったに表彰されるものではないので当然だろう。表彰された後にはTech・Edへの招待や製品の供与もあり、こうした副賞もとてもうれしかったという。

仕事も私生活も大事、だが会社は……

 このように、北山氏は本業と趣味の両方でめきめきと力を付けていった。数年もすると開発だけでなく、顧客から直接機能要件などを聞き出すようにもなった。プロジェクトリーダー的な業務も担当するようになり、会社での地位も上がっていった。

 順風満帆に見えるが、北山氏が転職を考えるようになったのはこのころのことだ。きっかけはある会議。年に一度開催される、会社の方針などを話し合うものだ。リーダー業務も行うようになった北山氏は、入社以来初めてその会議に出席することになったのだ。

 そこで北山氏は、自分の考え方と会社全体の考え方の違いを肌で感じた。それまで漠然と抱いていた違和感が、決定的なものになったのだ。それは仕事と私生活のバランスに関するものである。

 「最近ではワークライフバランスという言葉があります。私にとってワークもライフも同等で、どちらも大切だと思います。しかし同僚を見ると……」と北山氏は口ごもる。それまでは自分の価値観を話せば理解してもらえると考えていたが、この会議で意識の差が思ったより大きいと痛感したのだ。

 会社の居心地はとても良かったが、仕事に追われる先輩や上司たちを見ると、「ああはなりたくない」という不安が募った。また会社が小規模であるため、将来も心配になってきた。社会人になったばかりのころは、社長の顔が見える会社の規模に安心感を覚えていたが、このときは違っていた。

 北山氏は転職先として、ある程度の規模があり、マイクロソフト系のスキルが生かせる会社を目標とした。2006年の秋ごろ、@ITジョブエージェントに登録。いくつかのスカウトメッセージを受け取った中から、好印象だったテクノブレーンのコンサルタントを選び、サポートを受けながら年内の転職を目指して転職活動を始めた。

   

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