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転職。決断のとき

第47回 埋めようのない、会社との意識の差。どうする?

加山恵美
2008/3/14

ITアーキテクトを目指したい

 当時の職場で開発者が苦労する姿を見ていたため、転職先では顧客だけではなく開発者も恩恵が得られるような仕事がしたかった。職種としては、開発プロジェクトで標準化やシステムの基盤に携わるような立場をイメージした。いわばITアーキテクトである。

 転職先として、3社を候補に考えた。うち2つは大手システムインテグレータ(SIer)で、1つはマイクロソフトだ。マイクロソフトは得意な技術の本家ではあるが、当時の募集職種が北山氏の希望には合わず、断念した。

 本格的に転職活動をしたのは、SIerの2社である。北山氏にはMVP表彰やマイクロソフトの認定資格など、自己アピールに有利な条件がそろっていた。転職は有利に運ぶと思われた。

 面接には、少し強気なくらい堂々とした態度で臨むことにした。ITアーキテクトとしてシステムのかじ取りをすることをイメージして、応募先の企業にアピールしようと考えたからだ。はっきりと意見を述べられる自分を見てもらいたかった。

 だが、これが裏目に出た。自信に満ちた態度を見せようとしたつもりが、強引な印象を面接官に与えてしまったようなのだ。

面接でまさかの失敗、そしてリベンジ

 まさかの失敗だった。書類選考の段階でも好感触を得ており、きっと内定を取れると期待していただけに、断りの通知をもらったときにはがく然とした。最初の転職面接で、思い切り出鼻をくじかれてしまった形だ。

 普通ならこれで撤退である。最初の転職面接であるし、まだほかにも候補はある。残念な結果ではあるが、「意気込みすぎては失敗する」と教訓を得て終わっていたところだろう。だがここで、テクノブレーンのコンサルタントが行動を起こした。実力も評価も高いエンジニアであること、面接でやる気を見せすぎてしまったことなどを先方の会社に伝え、再度面接を実施してもらえるよう掛け合ってくれたのだ。

 そうして奇跡的にも、再び面接をすることになった。今度は強気に押すことのないようにと気を付けた。その後、先方の会社は相当悩んだらしい。何といっても北山氏は優秀なエンジニアだ。だが内部で意見が割れたようだ。最終的には採用通知を出すには至らなかった。

 敗者復活は成し遂げられなかったが、北山氏は「1人で転職活動していたら不可能なことでした。感謝しています」と話す。

転職後の最初のアサインは前職の現場

 もう1社、並行して転職活動をしていたSIerがあるが、その社員が当時の北山氏と同じプロジェクトに加わっていた。面接時、そのことを面接官に告げると、その話が北山氏と同じ現場にいる社員にも伝わった。もちろん、採用がほぼ確実なのを見越してのことだ。

 常識的には、退職が決まるまで当人の働く現場には伝わらず、当人が退職したらその現場とかかわることはまずない。だが北山氏の場合は違った。よほど人間関係や会社間の関係が良好だったのではないだろうか。実際に採用が決まり、転職すると、北山氏の最初の現場はこれまで働いていたプロジェクトとなった。

 つまり所属のみが変わり、転職後も転職前と同じ現場で働くことになったのだ。そのプロジェクトが終了するまでの数カ月の間ではあるが。システム開発の現場にいろいろな会社の人間が混在することは多いが、今回のようなことはかなり珍しいだろう。究極の円満退社といえるかもしれない。

新天地での仕事が始まり、期待と不安

 そのプロジェクトが終わると、あらためて新天地での生活が始まった。当初願っていたとおり、いまはITアーキテクトとして新たなプロジェクトに携わっている。

 北山氏は転職先について、「望んでいたITアーキテクトの仕事ができるようになり、待遇も良くなり、また大企業であるので組織や仕事のやり方が確立しており、安定感や安心感が持てるようになりました」と話す。

 大企業であるため、世界は広い。社員や関係者の価値観や仕事内容にしても幅広い。今後、北山氏は新しい環境で、自分に合う働き方や自分に合う仲間を見つけていくことだろう。

担当コンサルタントからのひと言

 北山さんに初めてお会いしたとき印象に残ったのは、マイクロソフト技術を駆使した長年の業務経験とMVP受賞やコミュニティ活動に裏付けられた、技術への強いパッションでした。真っすぐで技術者らしい良いものをお持ちだと思い、同時にその自信をうまく表現する必要がありそうだと感じました。

 残念なことに、目指すスペシャリストのキャリアパスは当時在籍されていた会社では実現が難しく、それが可能な環境として、総本山であるマイクロソフトをはじめマイクロソフト技術に強みを持つSIerに絞ってご提案し、転職活動を始めました。が、ご本人のコメントにあるとおり、最初の面接では少々意気込みすぎたのか、協調性および柔軟性に欠けるのではという懸念を持たれてしまったのです。

 北山さんの本当の姿を知る私は、落ち込む北山さんを励ましながら再チャレンジの場を設定したり、ほかの大手SIerのマイクロソフト技術に強い部門の長とミーティングをした際に北山さんを紹介したりと、裏方として活動しました。一時期、転職について弱気になってしまったこともありましたが、北山さんの力が正当に評価される環境を提供できるようサポートすることで、スムーズに現在の大手SIerへの入社が決まりました。

 転職後にもお会いしましたが、マイクロソフト関連の技術支援をされていて、さらに自信をお持ちのようでした。またお会いできるのが楽しみです。


 

今回のインデックス
 会社との意識の差にがく然(1ページ)
 ITアーキテクトとして、自分に合った働き方を (2ページ)

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