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転職目的別・これが私の生きる道

第11回 「居心地が悪いから転職したい」をうまくいい換える

アデコ 山口孝之
2009/10/14

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「日本的」になじめない!

 外村さん(仮名)は帰国子女。中学生のころ、父親の仕事の都合でアメリカに渡り、現地の大学を卒業したタイミングで帰国しました。現在はITエンジニアとして働いています。年齢は26歳。10代でアメリカのITバブルを経験し、学生のころから将来はITエンジニアとして活躍することを希望していたそうです。

 日本で就職した会社は情報系の大手メーカーでした。コミュニケーションスキルが高く、物おじしない外村さんは見事、大手メーカーの採用内定を勝ち取ったそうです。

筆者 「外村さん、転職を考えられている理由は何ですか?」

外村さん 「いまの会社は居心地が悪いというか、社風が自分に合わないように感じるためです」

筆者 「合わないなと感じるのはどういうところですか?」

外村さん 「なんというか、日本的な習慣になじめないのです」

 外村さんが違和感を覚えたのは、いわゆる「日本人的な仕事の考え方」でした。サービス残業や年功序列、終身雇用、社内イベントへの強制的な参加、結果責任が不明瞭……。海外生活の長い外村さんにとって、こうした日本企業特有の慣習がどうしても受け入れられなかったのです。

 外村さんには、田村さんのケース同様、アプローチを変えて前向きな表現に志望動機を変えることを勧めました。例えば「結果責任の明瞭な職場で自分の力を存分に発揮したい」というように。その結果、うまく面接試験を乗り切り、外資系のソフトウェアベンダから採用内定を勝ち取りました。

貪欲にキャリアアップしたいんだ

 27歳の佐々木さん(仮名)はベンチャー企業を志望していました。新卒で入社した業務系パッケージソフトの企画開発会社でシステムエンジニアとして働いていたのですが、やはり居心地の悪さを感じ、転職カウンセリングのために当社を訪れました。

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佐々木さん 「いまの職場で浮いているような気がするのです……。居心地が悪いというか……」

筆者 「答えづらいかもしれませんが、どんなときに浮いているなと思うのでしょう?」

佐々木さん 「張り切りすぎてしまうときでしょうか。周りの人はわたしを、ちょっと変わった目で見ている気がします」

 どうやら佐々木さんは上昇志向が強いようです。与えられた仕事だけではなく、ITスキルやビジネススキルを貪欲(どんよく)に吸収し、キャリアアップを図っていこうと日々、意欲的に仕事をしているとのことでした。

 しかし、こうした貪欲な姿勢は、ともすれば周りの社員と「気持ちのギャップ」を生むことがあります。意欲的に働くのは良いことなのですが、場合によっては、普通に働いているほかの社員を見下してしまったり、仕事をもっと任せてもらおうと上長に働き掛けたり……。どうやら、「浮いてしまった」原因はこのあたりにありそうです。

 佐々木さんには、努力するからには認められたいという思いがあり、そう思うのが当然と考えているようでした。ただ、佐々木さんが在籍する会社はベンチャースピリッツがあるわけではなく、どちらかというと地道にステップアップしていく社風。仕事感の違いが、居心地の悪さにつながっているようでした。

 筆者は「もう少し実力主義の会社、例えば、認められれば短期間で上にいける会社を志望したら良いのではないでしょうか」とアドバイスしました。佐々木さんのケースもまた、前向きな表現に変えることが重要だと考えたのです。佐々木さんは「居心地が悪い」を「実力主義の会社で働きたい」といい換え、転職を成功させました。

居心地の良さは人それぞれ

 田村さんも外村さんも佐々木さんも、考えていることは違います。ですが、転職理由は「居心地の良い会社で働きたい」に集約されます。

 ここで注意すべきなのは、「居心地の良さをむやみに要求してはいけない」ということです。確かに自分の価値観や性格に合った職場と巡り合えたら、それはすてきなことです。モチベーションも上がるでしょうし、仕事も順調に進むかもしれません。

 しかし、企業において正社員で働くのであれば、何らかの我慢が必要になることが多いものです。「あれもこれも自分には合わない」では、正社員としてキャリアを形成していくこと自体が危ぶまれてしまいますからね。

 

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筆者プロフィール
アデコ 人材紹介サービス部 コンサルタント
山口孝之
千葉県出身。大学卒業後、建設会社にて人事、経理などの管理業務を経験。その後ITエンジニアに特化したスカウト型の人材紹介会社に転職し、キャリアアドバイザー業に従事する。その後アデコに参画し現在に至る。キャリアアドバイザーとしては一貫してIT業界、インターネット業界を担当。ギャップのない転職を支援するための情報収集能力、転職者側と採用企業側の両方の目線で行うカウンセリングには定評がある。

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