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キャリアを切り開くためのビューチェンジ

第2回 「ああいう人になりたい!」がキャリアづくりの第一歩

樋口研究室
山口紀子

2010/9/15

「転職」や「起業」はキャリアアップの重要な手段です。どのような視点を持っていれば、「転職」や「起業」を上手に活用できるのでしょうか。

 積極的に自分のキャリアをつくっていくなら、「転職」や「起業」を、自身を成長させる道具として活用する発想がとても大切になります。

 今回は、「転職」や「起業」をうまく自身のキャリアアップに役立てるためのビューチェンジを紹介します。

■ 「ああいうカッコいいエンジニアになりたい!」

 樋口研究室に通っている加藤さん(仮名)の事例を紹介しましょう。加藤さんは大手のソフトウェアメーカーでセールスとして働いています。セールスといっても、技術を武器に製品を売る、テクニカルセールスや技術営業などと呼ばれる職種です。

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 加藤さんはこれまで、2度の転職を経験しており、現在は起業に向けて準備中です。

 加藤さんは大学を卒業した後、大手システム会社に新卒で入社し、プログラマになりました。入社当時は、Webシステムやオープンシステムの潮流が起こり始めていたころでした。

 入社して5年ほどたったころのことです。顧客企業のアプリケーションをオープンシステム化する案件がスタートしました。そのとき、加藤さんにとって最初のキャリアチェンジの機会が訪れました。加藤さんはいいます。

 「ユーザー企業の情報システム部に、とてもカッコいいエンジニアがいたのです」

 「カッコいいエンジニア」とは、どのような人だったのでしょうか。加藤さんは「その人は、イキイキと仕事をしていました」と説明します。

 その人は、自社システムをこんな感じに開発したいとか、作り替えたいとか、加藤さんに元気に語ってくれる人だったそうです。でも加藤さんは、その人の説明を何度聞いても、勉強不足でまったく理解できませんでした。

 検索エンジンを使って世界中のドキュメントを調べたり(もちろん英語)、ベータ版のツールをダウンロードしてテストプログラムを作って試したり、その結果をメンバーに説明したり……その人の行動を見て、加藤さんは強いあこがれを抱いたそうです。

 「ああいうカッコいいエンジニアになってみたいなあ……」

 いまの会社でも、お手本となるようなエンジニアがいるかもしれない、と加藤さんは考えました。ところが、加藤さんのイメージに近い先輩や上司は、社内に1人もいませんでした。

 加藤さんは決意しました。会社を辞めて、そのエンジニアのように仕事ができる環境を探そう、と。

■ 採用面接で、会社を査定する

 受託開発ではなく、ユーザー企業の情報システム部で、みんなをまとめるリーダーの立場で仕事する。そして、自分の力でシステムを企画し、開発まで進める。加藤さんのやりたい仕事は明確でした。

 加藤さんは早速、転職活動をスタートしました。たくさんの就職エージェントと接触し、自分でもさまざまな企業の採用ホームページをチェックしたそうです。

 採用面接では、必ず相手に「わたしにはやりたい仕事があります。この会社ではその仕事ができますか?」と尋ねました。

 まるで応募者が会社の査定をしているようですが、キャリアアップを見据えた転職の場合、会社の求める仕事が自分の求める仕事とどれぐらいマッチしているかを見極めるのは重要です。

■ カッコいいテクニカルセールスとの出会い。2度目の転機

 半年ほどの転職活動の結果、加藤さんは大手流通会社の情報システム部に採用されました。自分の願いに合った仕事を手に入れたのです。加藤さんの新しい仕事は、とても難しく、厳しいものだったそうです。それでも加藤さんは、自分の希望どおりの仕事にまい進しました。

 それから3年。加藤さんに、第2の転機が訪れました。

 あるコンピュータメーカーのエンジニアが、加藤さんの職場にシステム案件のプレゼンのために訪れました。加藤さんはそのエンジニアの姿を見て、「カッコいい!」と感動したそうです。

 身なりや手振りがカッコよかったというわけではありません。エンジニアとしての、信頼できる対応に感銘したといいます。

 加藤さんはこのエンジニアに対して意図的に、少し意地悪なお願いを何度かしてみたそうです。例えば「この新しい機能を追加してくれたら、あなたの会社の製品を購入してもよい」というようなお願いでした。

 その機能は特殊で、それほど簡単に採用はできないだろうな、と加藤さんは感じていました。しかしそのエンジニアの対応は、とても清々しいものでした。

 即答できないときは、持ち帰って調べるのは当然ですが、そのエンジニアは必ず24時間以内に回答してきたそうです。時間がかかる返答も、24時間ごとに小まめに調査や進ちょく状況を知らせてきたそうです。

 そのエンジニアの、きっちり正しく仕事をこなす姿は、深く印象に残りました。

 結局、加藤さんのお願いはかなわなかったのですが、加藤さんがそのエンジニアについて調べてみると、エンジニアだと思っていたその人は、実はセールス職だったそうです。

 エンジニアではなくセールスが、技術的な内容を調べ上げ、逐一連絡してきてくれたのか……。加藤さんは思いました。

 「ああいう人になってみたいなあ」

 このとき、加藤さんの脳裏に、2度目の転職という選択肢が芽生え始めたそうです。

 前回の転職と同じく、加藤さんのやりたい仕事は明確。加藤さんはセールスのやり方などにはまったく無知でしたが、気持ちは明るかったといいます。

 「製品の知識は、その会社に入ってから学ぶしかない」

 しばらく転職活動を続けたところ、企業向けのパッケージソフトウェア会社と出会いました。加藤さんは、その会社の採用担当や受け入れ先の上司にとても気に入られたそうです。そして、テクニカルセールス(技術営業)として転職を果たしました。

■ そしてリーマンショックが……

 それからしばらくして、リーマンショックが起こりました。

 加藤さんはしっかり仕事をしていたのですが、取引先の案件や売り上げは減っていきました。自社の売り上げ達成も難しくなってきました。その影響を受けて、昇格や昇進のチャンスが減ってきたそうです。

 かくして加藤さんは樋口研究室を訪れ、新たなキャリアビジョンを実現させるべく、起業を考えているところです。

 いま、加藤さんの頭にあるのは「経営」という言葉です。リーマンショックを契機に経済の仕組みを真剣に勉強した加藤さんは、「経営者」という仕事をしたいと思うようになったのです。

 「キャリアづくりと会社づくりは、結構似ていますね」

 起業に向けて準備中の加藤さんは、そう語ります。

■ なりたい自分を見つけるビューチェンジ

 キャリアづくりを成功させるためには、今回の加藤さんのように、

 「ああいう人になりたい!」

と思える人を見つけ出すことが大切です。

 人でなくても構いません。ああいうことをやりたい、ああいうふうに仕事を進めたいなど、自分の強い願望を見つけ出すことが、キャリアをつくるときに原動力となります。

 以下に説明する「なりたい自分を見つけるビューチェンジ」を使って、あなたの仕事やその周辺に、あなたの目指すべきものはないか、探してみましょう。

図 なりたい自分を見つけるビューチェンジ

1. なりたいビュー

 あなたがなってみたいと感じる人物や役職を探してください。

2. やりたいビュー

 あなたが「できなさそうだな」と思いつつも、やってみたいと感じていることを思い出してください。

3. 変えたいビュー

 「このままではいけない」「変えないと良くならない」という出来事や仕組みを見つけ出してください。

筆者プロフィール
山口紀子●樋口研究室の認定コーチ。ヒューマンマネジメントの分野で活躍しているコンサルタント。IT分野の知識も豊富で、エンジニアに信頼が厚い。

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