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なぜ、彼らは転職を考えたのか

第8回 正当に評価されないので、会社辞めます

アデコ
藤田孝弘

2007/12/7

ITエンジニアは、どのような理由で転職を考えるのか。いくつかの事例から、転職者それぞれの課題と解決のプロセスを紹介する。似たような状況に陥ったときの参考になるだろう。

 2007年も残すところあとわずか、ボーナスの時期ですね。会社からの評価に満足できた人、満足できなかった人、いろいろな人がいると思います。

 今回は、社内での評価が低かったことを理由に転職を考えたあるITエンジニアの事例、その解決までのプロセスを紹介します。

上司が自分を見てくれない

 昨年(2006年)末、若手のSE(システムエンジニア)が弊社に相談に来ました。彼の名は山下さん(仮名)。中規模のシステム開発会社に勤務するSEで、新卒で入社して5年目になるそうです。相談内容は、「会社の評価に不満があるので、相談に乗ってほしい」というものでした。何とも難しい相談に戸惑いながらも、その意味を理解するため、まずは話を聞いてみることにしました。

 山下さんは大学で情報学科を専攻し、かねて夢であったシステム開発会社へ就職しました。幅広い経験を積んで知識を得ることが一流のSEへの道であると考えたため、さまざまな開発を経験できるという点でその会社を選んだそうです。相談に来た当時は、損害保険会社の情報システム部門に常駐し、既存システムの保守と追加開発を中心に担当していました。

 山下さんの心に不安が芽生え始めたのは、さらにその1年前のことでした。入社以来、希望どおりさまざまなプロジェクトにアサインされていた山下さん。プログラム開発が中心でしたが、覚えることが多く、非常に充実していたそうです。

 入社から数年が経過し、それまでの経験と身に付けた技術をベースに、もう少し上流の仕事をしたいと考えるようになりました。ところがアサインされる仕事は、短期間のプロジェクトが多く、コーディング〜テスト工程がほとんどです。もっと新しいことを任せてほしいと上司に相談を持ちかけましたが、まったく取り合ってもらえません。おまけにその年、山下さんへの会社からの評価は、そう高いものではなかったそうです。

 ユーザー企業に常駐して行う仕事が多い山下さんの会社では、上司は現場にはいません。「本当に自分の活動を見て評価をしているのかどうかも分からない」と山下さんはいいました。そしてこのままでは、能力を伸ばすことができないのではないかと思い始めたそうです。

 さらに悪いことにその年は昇給がなく、年収は前の年と同等で、残業の分が上昇しただけでした。「残業代で給与を上げるしかないのか」という絶望感とともに、会社が自分を正当に評価していないのではないかと、ますます不満を感じるようになったそうです。

山下さんの第一希望は

 私は山下さんの課題を明確にするため、山下さんの希望と会社の特徴について、紙に書き出してみることにしました。

山下さんの希望

  1. 新しい仕事にチャレンジしたい(上流工程での経験を積みたい)
  2. 現場の分かる上司に評価してほしい
  3. 成果に見合った報酬を手にしたい

山下さんの会社の特徴

  • ユーザーに常駐
  • 開発案件が短期間であり、上流工程を経験するチャンスが少ない
  • 運用で常駐する場合、機能追加などの小規模プロジェクトになる
  • 協力会社から人がアサインされるため自社のメンバーと仕事をすることがない
  • プロジェクトマネージャやリーダーは元請け企業やユーザー企業の社員が行う
  • 上司のミッションは営業と複数のプロジェクトに派遣しているメンバーの管理を行うこと
  • 上司とは月に1回程度顔を合わせるくらいで細かい管理や教育・指導は一切ない

 山下さんの希望の優先度は上記のとおりです。第一に上流工程の仕事をしたい、それを実現するために、第二の希望として上司に評価してもらいたい、そして第三の希望として成果に見合った報酬を手にしたいということでした。つまり、「会社の評価に不満がある」ことより、「上流工程の仕事ができない」ことの方が大きな不満となっていたのです。

 しかし、同時に書き出した山下さんの会社の特徴、そして上司に掛け合ったときの反応を見ると、山下さんの希望を満たす方法は見当たりません。もしかすると、この問題を社内で解決することは難しいかもしれません。

 そこで私は、過去会ったことのあるAさんの事例を山下さんにお話しすることにしました。

「本当の不満」を把握した山下さん。それをどう解決する?  


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