第3回 目指せベトナム最大の日系IT企業! 元SE社長の挑戦
菅原英治(シグマコンサルティング)
2010/12/13
ALXV社の吉崎氏のインタビューをご紹介します。以下のポイントに従って質問し、ご回答いただくという形式でインタビューを行いました。
- 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
- ベトナムで仕事をするに至った経緯
- 現在の心境と将来的な展望
- 日本で働くエンジニアに一言
■ 「ベトナムに日系最大のIT企業をつくる」ことが目標のグルメ社長
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ALXV社の取締役社長である吉崎氏は石川県のご出身。現在48歳で、食べ歩き、飲み歩きを趣味にされています。ベトナムの食事がおいしいからというのもありますが、仕事上の人脈づくりにもなるそうです。ベトナムに駐在している日本人はまだ数が少ないので、駐在日本人ネットワークができており、その仲間で飲むのも楽しいのだとか。
「ベトナムに来て初めて本当に自分のやりたいことが見つかった」と熱く語る様子から、吉崎氏のベトナムにかける思いが伝わってきました。
ALXV社の取締役社長、吉崎敏氏 |
● 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
07:00 起床
08:30 出社
12:00 昼食。1万8000VND(約80円)の弁当を食べる
20:00 退社。飲みに行く
22:00 帰宅
休日:ジムで運動したり、バイクで出掛けたりする
● ベトナムで仕事をするに至った経緯
ALXV社を立ち上げる前に勤めていた、前職時代のお話からさせていただきます。わたしは、日本のシステム開発会社で汎用機系のSEをしていました。携わった仕事は、ホテルの総合管理システム、新聞社の業務管理システム、流通系のシステム開発やグループウェアの企画、設計などです。当時はCOBOLでプログラムを作っていました。
2002年にベトナム駐在を命じられたのが、ベトナムに来たきっかけです。現在は日系企業がたくさん進出していますが、当時は10社もありませんでした。6年間のベトナム駐在後、日本に呼び戻されることになりましたが、ベトナムへの思いがあきらめきれませんでした。そこで社内の提案制度を利用し、「ベトナムでビジネスがしたい」と提案しましたが、リーマンショックの影響のためか、受け入れられませんでした。そこで、会社を辞めることにしました。
退職後、何とかベトナムでビジネスをする方法はないだろうかと模索しているとき、アレクシード社と出合いました。アレクシード社は、もともと前職時代の顧客だったのですが、「ちょうどベトナムで事業を始めてみたいと考えているので、うちにおいでよ」とお声掛けいただきました。「ぜひやらせてください!」とお願いし、ALXV社を設立させていただきました。
● 現在の心境、将来的な展望
弊社は、もう間もなく設立1周年を迎えます。やっとこれだけのオフィスのスペースと社員がそろえられたところです。現在は本社のオフショア開発の仕事を着実にこなしているだけですが、目標はまだまだ先だぞ、という心境です。
将来的な目標としては、ベトナムで一番の日系企業をつくりたいですね。具体的な規模としては、自分へのプレッシャーという意味も込めて、社員数100人、売り上げで3億円です。
ただし、会社を大きくすることが目的ではありません。このような目標を掲げているのは、社員に「ベトナムで最大の会社で働いている」という誇りを与えたいからです。そして、ベトナムで最高のSEを育てたいと考えています。そのためには、現状のままではダメだと考えています。ベトナム内需のビジネスをするなど、その方法を模索して挑戦中です。
一緒にベトナムで頑張っている中井平和氏と |
● 日本で働くエンジニアに一言
ベトナムでの生活は、日本では感じられなかった一体感があり、とても楽しんでいます。特に、ベトナム駐在の日本人は数が少ないので、同じ釜の飯を食べた仲間として良い関係が築けています。この関係は、日本に戻っても続くでしょう。また、こちらでは日本企業特有のしがらみがなく、また通勤ラッシュもないので、のびのびと過ごせています。
わたしが日本で働いていたころは、日々の仕事に追われ、目標に追われ、何のために働きたいかがよく分かりませんでした。ところが、ベトナムに駐在したことがきっかけで、初めて「自分が何をしたいか」に気付くことができました。
「海外に出たがらない若者が増えている」という話を聞きますが、それが本当だとしたら、ちょっと残念です。もしいま、日本で働き方に悩んでいるなら、前向きな気持ちで仕事を辞めて、海外に出てみることにチャレンジしてほしいです。
以上、吉崎氏のインタビューでした。
筆者は吉崎氏のお話を伺いながら、人生は何がきっかけとなるか分からないものだな、と感じました。きっと10年前の吉崎氏は、自分がベトナムで会社をつくることになるとは、想像すらしていなかったのではないでしょうか。目標に向かって行動することで、おのずと道は開かれていくもの。それを実践している吉崎氏の姿を、まぶしく感じました。
筆者プロフィール | |
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