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転職プランを自分で立てる方法

あなたの「転職活動」は間違っている!

〜転職は「4つのステップ」で考えよう

堀内浩二(「起-動線 for atmarkIT」エバンジェリスト)
2004/3/16

いまスグ転職したい人も、いまスグの転職を考えていない人も、自分のキャリアを見直す意識が不可欠だろう。ここで紹介する「転職プランセルフチェック」を参考に、いままでのキャリア、そして今後のキャリアを具体的に考えてみよう!

転職アドバイスメールで分かったこと

 @IT自分戦略研究所では、「転職アドバイスメール」というイベントをこれまで2回開催しています(2004年から常時受付中!)。これは、@ITのスタッフと私が、転職を考えている方からメールで相談を受け付け、@ITジョブエージェントへの登録情報を参考に48時間にメールでアドバイスするものです。

起-動線 for atmarkITは、自分戦略をつかみ、実現するための情報やサービスを提供しています。詳しくは起-動線 for atmarkITのコーナーをご覧ください。

 転職アドバイスメールのほかにも、連載コラム「自分戦略を考えるヒント」の取材などで、転職を考える多くのITエキスパートとキャリアについて語り合う貴重な機会を得ることができました。

 これらの経験を振り返って、「転職」の2文字が頭をよぎったときに考えてほしいポイントをまとめてみたいと思います。

転職は将来を考える“好機”である

 現在の仕事への不満、漠然とした不安、あるいは友人・書籍からの触発。人はいろいろなきっかけで「転職」を考えます。転職すれば働く環境はガラリと変わるので、「何かを変えなきゃ!」と感じたときに真っ先に頭に浮かぶ選択肢の1つかもしれません。

 しかし、単に働く環境を変えれば問題が解決するわけではありません。転職を考えることは、その先の「自分の将来」を考えることにつながります。実際、転職アドバイスメールでも、次の仕事の相談よりも、「自分はこれからどちらに向かうべきか」という相談がとても多かったと感じています。

 それに応えるため、キャリアを査定するのではなく、「この人は転職で何を解決したいのか?」を登録情報から読み取れるようにしたのです。

 ある人には現職に留まったままでもできる挑戦を提案したり、またある人にはズバリ転職をお勧めしたり……。「転職ありき」でないアドバイスを心掛けました。

 自分戦略といっても、なかなか「平時」に考え続けられるものではありません。何かのきっかけで転職を考えるようになったならば、単に条件を比べるだけでなく、「転職の先に何があるのかを考えるチャンス」と思ってみてはいかがでしょうか。

 例えば、「いまの職場では新しいことが学べないので、新たなチャレンジをするために転職したい!」という相談をしてきた人がいました。しかし、この方は転職で再スタートしたいという思いを持つと同時に、@ITジョブエージェントに登録する際には、「立場は保証され、給与もアップする仕事に就きたい」といった“相反する”考え方を持っているのです。この2つはなかなか両立できるものではありません。

自分なりの「物語」が迷いを減らす

 ただ、転職を考える第一歩としては、相反する考え方を持っていても構いません。最初から妥協する必要はないからです。そのような希望を持つに至った“シナリオ”を自分なりに持てればいいのです。

 実際の転職活動では、「希望職種ではないけれど、現在保有しているスキルを生かして報酬がアップする転職先」「条件は良くないけれど、自分を伸ばすチャレンジができそうな転職先」など、希望とは違う転職先が候補に出てくることでしょう。そのときは、「どの条件を堅持し、どの条件ならば譲歩できるのか」が、転職先選びの重要なポイントになります。

 採用面接では、「いままではこういう経歴だったのに、どうしてウチの会社で働きたいのですか?」と聞かれるかもしれません。

 そこで、起-動線 for atmarkITがお薦めするのは、自分なりの「転職物語」を作り、次の仕事に対して自分が抱く「期待のありか」を明確にすることです。なぜ、物語仕立てで考えるのかといえば、「ロジックのほころびや一貫性のない部分を自分で見抜きやすくなる」というメリットがあるからです。さらに、物語にすれば頭の中にイメージしやすいので他人に説明することも容易になります。

 将来を物語仕立てで考えることは、不確かな将来に向けてカジを切る方法の1つとして、企業も経営政略を立てる際に「シナリオ・プランニング」という名称で行っています。これは採用面接を乗り切るコツというよりは、納得のいくキャリアを積んでいくために必要な作業です(後で詳しく説明します)。

動くことで新しい考えが生まれる

 転職アドバイスメールを通じて、実際に「ちょっと動いてみる」ことの効果を実感しました。例えば、「いまの職場に不満があるならば上司に掛け合ってみる」「仕事の幅を広げたいならば多少条件が悪くても引き受けてみる」「独立を志すならば人的ネットワークを意識的に築く」といったことです。

 相談メールを送ることも、「動いてみる」ことの1つです。先日相談メールをくれた人と直接話す機会がありました。その人は、「最初はなかなか敷居が高い」と感じたそうです。しかし、思い切って相談したら予想外の視点からのコメントがあり、とても役立ったと話していました。

 「自分が本当はどんな仕事をしたいのか」「どんな会社に転職したいのか」ということは、ただじっと考えているだけでは見えてこないものです。いったん自分なりの物語を作ったら、それをどんどん修正するつもりで「動いてみる」。そうすれば、「先を考える」材料が手に入るのではないでしょうか。

「転職プランセルフチェック」でシナリオ作り

 上記のように、@IT自分戦略研究所を通じて出会った方とのやりとりで得られた知見は、今回の@IT自分戦略研究所のリニューアルにも生かされています。今回は、自分なりの「転職物語」の作り方を支援する「転職プランセルフチェック」というサービスについて説明しましょう。

 「転職」で始まる名称ですが、内容は自分戦略作りのツールとして多くの方に有用なものです。新しい@ITジョブエージェントで入力する情報はこれまでとほぼ同じ、「転職希望条件」「スキル」「職歴」などです。

 @ITジョブエージェントでは、まず転職希望条件を書いて、それからスキル・経歴といった「周辺情報」を埋めていきますが、「転職プランセルフチェック」では、これらの情報を並べ替え、シナリオ仕立てで眺め直すことによって、自分なりの転職ロジックを明確にしていきます。そのシナリオは、下図のような4ステップとしました。

●転職プランは「4つのステップ」で考えよう!
図1 「将来のビジョンを持つ」ことで、現時点で「次の一歩を定める」ことができる。将来を起点に現在を考えることにより、目標設定を行いやすくなる

 ステップ1は「これまでを振り返る」。いわゆる経歴書を作成するステップです。そして次のステップ2「手持ちのスキルを整理する」では、その経歴の蓄積である現有スキルを確認します。

 その次のステップ3は「将来のビジョンを持つ」。そこから現在を振り返ってステップ4「次の一歩を定める」となっています。

 「過去→現在の延長」で転職を考えてしまうと、どうしても選択肢が「できそうなこと」に偏ってしまいがちです。そこで、視点を一度高くし、将来から現在地点を見直します。そうすることで、次の一歩の「向き」と「歩幅」について納得のいく「目標設定」ができると考えています。これはコラム「目標を確実に達成する手法」でも紹介した「バックキャスティングの手法」です。

 さて、お気づきのように、@ITジョブエージェントで最初に入力した「転職希望条件」は、「転職プランセルフチェック」では一番最後(ステップ4)になっています。

 あなたの「次の一歩」である「転職希望条件」は、ほかのステップとつなげてみたときに、1つのシナリオを描いているでしょうか?

 「転職希望条件」が最後に来ていますので、直近で転職を考えていない方も、空欄を埋めてみることでシナリオ作りに役立つと思います。ステップ3までの見方は同じで、ステップ4では「転職」でなく社内での昇進や異動など、自分の環境に合わせた「次の一歩」を考えてみてください。


転職アドバイスメール:転職に関するお悩みに@ITスタッフがメールでアドバイス
転職プランセルフチェック:業務経歴、スキル、ビジョンから次の転職プランの妥当性を自己診断
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筆者紹介
堀内浩ニ●アーキット代表取締役、「起-動線 for atmarkIT」エバンジェリスト。早稲田大学大学院理工学研究科(高分子化学専攻)修了。アクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)にて、多様な業界の基幹業務改革プロジェクトに参画。1998年より米国カリフォルニア州パロアルトにてITベンチャーの技術評価プロジェクトに携わった後、グローバル企業のサプライチェーン改革プロジェクトにEビジネス担当アーキテクトとして参画。2000年に帰国、ソフトバンクと米国VerticalNet社との合弁事業において技術および事業開発を担当。

 

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