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エンジニアライフ コラムニストに聞く(1)
後藤和彦――「下流から見たIT業界」

岑康貴
2009/1/13

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SIerの実態

 「SEとPG、どっちが頭がいい?(2)」は、特に多くの反響があったコラムだ。2008年のエンジニアライフアクセスランキングで1位を獲得。はてなブックマークでは「SIerの実態を正しく書ききっている」「すばらしい考察」「他人事じゃない」といった評価を得た一方、「システムエンジニア(SE)の作業を軽視しすぎでは」「こんな現場ばかりではない」という反論の声も上がった。

 後藤氏は「反響の大きさに驚いた」と語る。と同時に、「自分よりすごい環境で働いている人もいるんだな」と感じたという。

 コラムニストになったことで大きく変わったことはあったかと尋ねると、「実はそんなに大きな変化はない」そうだ。しかし、「自分の考えを文章にまとめることによって、頭の中が整理されたのは確か」だという。ただし、文章化するに当たって当初の問題意識がどんどん発展していくため、横道にそれないように書くのが大変だと語る。

 また、エンジニアライフではコラムニスト同士の交流会を行っているが、「個人事業主として働いているとなかなかエンジニア同士の交流が持てないため、非常に良かった」という。

「プログラマは職人だ」

 「ひどいプロジェクトマネージャ(PM)がたくさんいた」と語る後藤氏。PMに向けてお願いしたいのが、「技術はしっかりと押さえておいてほしい」ということだ。

 「例えば、技術的に未熟な技術者がプロジェクトに入ってきたとします。そのとき、その人をどう戦力化するかが重要な課題。これはPMの大切な仕事です」

 30代のPMと仕事をすることが多いという後藤氏。少し話せば、そのPMが「技術が分かっているかどうか、すぐに分かる」のだという。

 一方で、「プログラマは職人だ」と後藤氏は断言する。技術は星の数ほどあり、習得には膨大な時間がかかる。「3年から5年くらいはかかるのではないでしょうか」と話す後藤氏は、プログラマとしての仕事に誇りを持っている様子がうかがえた。「コンピュータが思いどおりに動いたときが一番楽しい」とうれしそうに語る。

 個人事業主としては「雑用をしなくて済むし、キャリアをある程度、自分の思いどおりに設計できるのがメリット」だという。一方で「仕事がまったくないときがあるため、貯金が必要」と切実に語る。とはいえ、不況の波が厳しい現在、「IT業界はまだマシな方だと思う」という。

Webの世界、SIerの世界

 2008年は「IT業界ネタ」を数多く執筆した後藤氏だが、今後は新しいテーマに取り組むと意欲を見せる。

 「Webの世界とSIerの世界の違いが顕著になっている。SIerの世界の話は一段落させて、Web系の話が増えていくと思う」

 かつて作家を志望していたことがあるというだけあって、長文のコラムを、構成を破たんさせることなく書く後藤氏(エンジニアライフのコラムに関して、編集部は最低限のチェックをするにとどめており、構成には原則的に関与しない)。今後もその鋭い視点と文章力を発揮し、「下流から見たIT業界」を描き出してくれることだろう。

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