エンジニアライフ コラムニストに聞く(4)
ベテラン技術者に聞く
「息の長いエンジニア」の秘けつ
岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/4/28
■テストエンジニアは「一発カマせ」
続いて、ヨギ氏の「テストエンジニア」としての側面に迫ろう。
「テストエンジニアは正直、客先では蔑視(べっし)される傾向にあります。『誰にでもできる仕事だ』と思っているんでしょうね。舐(な)められているんです」
このような状況では、快適な仕事などできるはずもない。ヨギ氏は2点、工夫していることがあるという。
「1つは、開発ミーティングに参加したときに『一発カマす』ことです。大体、テスターの意見を聞かせて、というふうに話を振られるので、そのときに『こいつ、開発の経験をかなり積んでいるんだ!』と思わせるような発言をするのが大事」
テストエンジニアというだけで、開発者からは下に見られてしまいがち。舐められてはいけないのだ。
「もう1つはテスト駆動開発の推進ですね。単体テストのレベルで自動化します。テストエンジニアの側から、開発効率の向上を推進していきます」
いずれにせよ、「できるテストエンジニア」とは、開発経験がものをいうのである。また、開発経験があれば「開発者の大変さが分かる」ため、相手の立場に立って仕事ができるのだ。
「バグっていうのは、本当の意味でのバグと『要望』の2つに分かれます。当然、本当のバグをつぶすのが優先されるわけですが、『要望』を改善できると顧客満足度が上がります。テストエンジニアは『要望』の部分もちゃんと見なければならない。『ヨギさんの意見を取り入れたら、お客さんがすごく喜んだよ』っていわれるとうれしいですね」
テストエンジニアのやりがいについて、ヨギ氏はそう語る。「誰にでもできるバグ取り要員」を越えなければ、テストエンジニアの地位はいつまでも現状のままだろう。
■「ブログ」ではなく「コラム」、というのが良かった
プロフィール画像(本人画) 娘に書いてあげたものだという |
ヨギ氏はエンジニアライフのコラムニストに応募したきっかけについて、次のように話してくれた。
「もともと、文章を書くのが好きだったんです。実はヨガ系のブログを個人で持っているんです。でも、読者層がよく分からないし、反応も、妙に波があっていまいちで……」
そんなとき、エンジニアライフのコラムニスト募集を見て「これだ」と感じたという。
「『ブログ』じゃなくて『コラム』、というところが良かったんです。ブログは好き勝手に書けるイメージですが、コラムとなると、誠意ある内容を書かないと、という気持ちになりますから。それに、@ITの読者層に向けて、エンジニアとしての話が書けるというのも魅力でした」
実際、コラムを書くたびに、さまざまな反応が返ってくる。通常のブログのような無意味な嫌がらせのコメントはなく、批判があったとしても「ほとんどがまともなご意見。本当の意味での『叱咤(しった)』」なのだという。
コラムを書くようになって、辞書を引くようになったり、本を読んでいて分かりにくいと感じた文章を自分なりに書き直し、元の文章と比べたりするようになった、とも語る。
■息の長いエンジニアを目指して
「息の長いエンジニアでゆこう」というコラムタイトルは、自分へのメッセージなんです、とヨギ氏は話す。現在43歳。定年退職まで、まだ17年もある。エンジニアとして長く働き続ける、ということを、ヨギ氏は追求し続けている。
「若いITエンジニアの皆さんは、絶対に無理をしないでほしい。若いころの無理は、本人は忘れたつもりでも、体はずっと覚えていて、いつかネガティブな形で吹き出します。わたしはたまたまヨガに出合って、いい先生に出会えたから、なんとか病気を治せるところまできましたが、必ずしもそうなるとは限らない」
昔はビル・ゲイツにあこがれ、彼のようになりたかったというヨギ氏。だが、ゲイツと自分は違う。無理をして倒れてしまったら、それまでなのだ。
「息の長いエンジニア」であろうと思う読者は、彼のコラムに触れ、そのヒントを見つけてほしい。
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